大好きな第三王子の命を救うため全てを捨てた元侯爵令嬢。実は溺愛されていたことに逃げ出した後に全力で気付かされました。

バナナマヨネーズ

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 素直になれないアストレイアではあったが、それでもヴィラジュリオを突き放すことができす、曖昧な返事をしてしまいそうになる。
 そんな弱い自分を心の中で笑いながらも唇を噛み締める。
 アストレイアが強く唇を噛んでいるのに気が付いたヴィラジュリオは、親指の腹でアストレイアの唇に触れた。
 
「ヴィオ、そんなに噛んでは駄目だ」

「殿下……」

「くっ……。そんな顔をされたら……。抑えられなくなるだろうが……」

「えっ?」

「なんでもない。それよりも……、ジュリアのことだが……」

 困ったような表情をした後、一度深呼吸をしたヴィラジュリは、気になっていたことを口にしていた。
 ヴィラジュリオからの質問に、アストレイアは迷った末に嘘を交えながらそれに答えていた。
 
「ぼくの娘です……」

 その答えにヴィラジュリオは、息をのむ。そんなヴィラジュリオに考える隙を与えないように、アストレイアはさらなる答えを口にした。
 
「実の子です。ぼくひとりで育てています。何の問題もなく、親子二人で暮らしているので、殿下が心配されることはないです」

「そ……そうか……。あっ……。その……奥方のこと聞いても?」

「ふえ? オクガタ…………? あっ、ああ、えっ?」

「え?」

 アストレイアの疑問の混じる声を聴いたヴィラジュリオは、今更ながらにアストレイアの現在の姿をきちんと見たのだ。
 
 ふんわりとした紺色のワンピースとそれに合わせたフリルが可愛い白いエプロン。
 真っ白な髪は緩く三つ編みに結わえていた。
 昔から変わらない大きな緑色の瞳を縁取る睫毛は長く、小さな鼻と、さくらんぼのように愛らしい唇は思わずキスをしてしまいたいと思わせた。
 身長は、ヴィラジュリオより頭二つ半ほどの差があり、胸元の膨らみは微かだが認められた。
 
 アストレイアの全身をゆっくりと見つめたヴィラジュリオは、微かな膨らみを見せる胸を凝視して思わずその膨らみに手を伸ばしてしまう。
 
「小さいが柔らかい……」

 そう口にしたヴィラジュリは、無意識に何度もアストレイアの胸を揉んでいた。
 ヴィラジュリオは、どこかで触れた感触に何かを思い出そうと手の中の柔らかさに集中していた。

「どこかで……? しかし、何か違うような……、そう…………すべすべで柔らかく……、しかし、なにか硬い…………粒? あれはいったい…………? ん? なにか手のひらに硬い感触が……?」
 
 まさかのヴィラジュリオの行動に頭が真っ白になってしまっていたアストレイアは、敏感なところを刺激されて小さく声を上げてしまう。
 
「ぁん…………」

「えっ? あっ!! あああ!! す、すまん!!!」

 膝から崩れ落ちるアストレイアの腰を慌てて抱き寄せるヴィラジュリオだったが、慌ててアストレイアの胸から離した手を右手を凝視してしまう。
 ヴィラジュリオは、柔らかい感触に記憶の奥深いところを刺激され、何か大切なことを思いだせそうだったが、それが何か全く思い出せないことに焦りを感じていた。
 
 そんなヴィラジュリオに向かってアストレイアは、真っ赤な顔で涙目になりながらも健気になんでもなかった風を装って言うのだ。
 
「だ……だいじょうぶです……。お、男同士なのに……、変な声を出してしまって……。恥ずかしいです……」

「いやいやいや! 無理があるだろう!! えっ、ヴィオ? だが、お前は間違いなく男だったはず……。昔、一緒に水浴びをしたとき確かに俺は見た……。小さかったが、確かにあった……」

 そう言ったヴィラジュリオは、何かを思い出すように目を瞑り、そして、目を見開いてアストレイアの股間を凝視する。
 ヴィラジュリオが見せる混乱状態が甚だしい一連の行動にアストレイアは、股間を両手で隠しながら困った声で言うのだ。
 
「えっと……。そんなに見られては、いくらぼくでも恥ずかしいです……」

 そう言われたヴィラジュリオは、自分が犯した数々の無礼極まりない行動に慌ててアストレイアを床に座らせた後に、床に額を付けた姿勢で謝罪の言葉とともに本音をこぼしていた。
 
「すまん!! 本当にすまん!! 喜んで責任を取るから俺と結婚して欲しい!!」
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