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第四章 恋に落ちた子犬王子(2)
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それは、本当に偶然だった。
ヴェルファイアがスターレットに連れられて王宮を出た後だった。
護衛と距離を空けて、スターレットが信用を置いている人物の屋敷向かってを歩いていると、それまで腕の中でおとなしくしていたヴェルファイアがそわそわしだしたのだ。
話すことはできずとも、ヴェルファイアの真紅の瞳を見ればなんとなく言いたいことがわかるスターレットでも、その時のヴェルファイアの考えを読むことはできなかった。
その時のヴェルファイアは、今まで嗅いだことのないような心を揺さぶるような甘くかぐわしい香りに困惑していた。
子犬になった後、人間の時とは違って五感が鋭くなっていたヴェルファイアは、その香りをどうしても確かめたくなっていた。
気が付いた時には、スターレットの腕の中から抜け出して走り出していたのだ。
匂いの方向に向かって走る。道の角を曲がったところで匂いの元だと思われる人物を視界にとらえたのだ。
その人物は、ふわふわの桜色をした髪の毛の少女だった。
後ろ姿を見る限り、どこにでもいるような平民の少女に見えた。好奇心からなのか、その少女をじっと見つめていると、偶然にもその少女は後ろを振り向いたのだ。
その時、ヴェルファイアは、少女のエメラルドグリーンの瞳を見た瞬間、体中の血が沸騰するような謎の感覚を味わっていた。
それと同時に、夢を見ているかのようなふわふわとした何とも言えない心地よさもだ。
夢に浮かされたような思いで少女を見つめていると、後ろから追いかけてきたスターレットに少し怒ったような声で言われたのだ。
「こら、ヴェル。一人で走り出してはダメだろう? おや? もしかしてあの子が気になるのかい?」
スターレットの何気ない、「あの子が気になるのかい?」という言葉に、自分がどうしたいのかを考えるヴェル。
答えはすぐに出ていた。ヴェルファイアは、気になる匂いの少女と声を交わしたい。触れ合いたい。そう考えたのだ。
瞳に強く、「あの子に近づきたい」という思いを込めてスターレットを見つめると、それを理解してくれたのか、スターレットは、ヴェルファイアを抱き上げながらこう口にした。
「ふむ。何とかしよう。見たところ、田舎から出稼ぎにでも来たかのような感じだな。ふむ、それじゃこうしようか」
そう言って、スターレットが提案したのは、あの少女にヴェルファイアを預けるというものだった。
本来ならば、身元の分からない者に第二王子であるヴェルファイアを預けることなどあってはならないことだったが、今まで我儘を言うことのなかったヴェルファイアからの願いを叶えたいという思いが勝った結果だった。
ただし、常にヴェルファイアの身を守れるように護衛の配置は忘れなかった。
こうして、ヴェルファイアは、アルシオーネの元で暮らすこととなったのだ。
アルシオーネの元に身を置くようになった日の夜、素顔のアルシオーネの可愛らしさに、恋心を自覚したヴェルファイアは、早く元の姿に戻り、愛おしい少女にこの思いを伝え結婚したいと思ったのだ。
外では、完璧な田舎娘に扮しているアルシオーネが自分にだけ見せる素の姿にヴェルファイアは、ますます好きという思いが募っていった。
それと同時に、独占欲も強まる一方だったが、子犬の姿ではどうすることもできなかった。
しかし、日々アルシオーネに世話をされる中で少しずつその身に変化が起きていた。
一時的にだが、人の姿に戻れることがあったのだ。
理由はわからなかったが、人間の姿に戻れるのは大抵深夜から明け方にかけての時間帯だった。
ヴェルファイアは、人間の姿に戻れた時に、外に控えていた護衛と連絡を取るようになっていた。
その時、ヴェルファイアは、一縷の望みをかけてスターレットにあることを依頼していた。
それは、アルシオーネがホークァンに売った薬を手に入れることだった。
このころには、一時的に人間の姿に戻れているのは、アルシオーネが子犬の世話に世話に使っている何かしらの物が関係していると予想していたからだ。
そして、花街の娘を治療した薬があれば、もしかすると元に戻れるかもしれないとも考えていたのだ。
その予想は半分当たった。
夜、人の姿に戻った時、アルシオーネに悪いとは思いつつも、粉薬や回復薬を飲んでみたのだが、人に戻れる時間が少し長くなるだけで完全には戻らなかったのだ。
そこで、アルシオーネが最高傑作として売り出した薬ならばという考えに至ったのだ。
こうして、スターレットに依頼してホークァンからなんとしてでもその薬を譲ってもらうようにしたのだ。
交渉は案外すんなりと決まった。
しかし、問題があった。それは、ホークァンが娘のために出した薬を売るための条件にあった。
それは、ホークアンの娘のリンコと侯爵家の一人息子との婚姻を認めるというものだった。
多少は、恋愛結婚も許される時世ではあったが、侯爵家のしかも一人息子となると話は違った。
しかも、貴族間でのものではなく、平民との婚姻だ。
それでも、ヴェルファイアのために何とかしたかったスターレットは、根回しのために方々を駆け回った。
その中で、侯爵家の一人息子の積極的な協力もあり思ったよりも早く結果を出すことができたのだ。
侯爵家の分家にあたる伯爵家にリンコを養女に出したうえでの婚姻に持っていくことができたのだ。
リンコと侯爵家の子息は互いに心から愛し合っていたようだった。
令息は、リンコが謎の奇病に苦しむ間、ホークアンとは別に奔走していたのだ。
結果、リンコはアルシオーネの薬によって助かったが、リンコを救ったアルシオーネには、心から感謝をしており、いつか必ずお礼をしたいと考えていたが、なぜかアルシオーネに近寄ることをスターレットに禁じられたいたのだ。
それについては、独占欲の強いヴェルファイアが自分以外の男とアルシオーネが関わるのがいやだったからという実に心の狭い理由だったが。
こうして、無事に薬を手に入れたヴェルファイアは、人の姿に戻ることに成功したのだった。
そして、ヴェルファイアを子犬に変えるというとんでもないことをしでかした頭の悪い男爵令嬢の行く末も決まることとなった。
頭の悪い男爵令嬢は、ある時から謎の奇病に侵されることとなった。
高熱が出て、体は急激にやせ細り、肌はただれていったのだ。
頭の悪い男爵令嬢は、病状が進行すると日増しに狂っていった。
そして、血を吐くように叫び続けたのだ。
「こんなのおかしい!! なんで邪魔なモブを苦しめる呪いが私に返ってくるのよ!!」
「私は、推しに告られて、他の攻略対象からもちやほやされて逆ハーで幸せになるはずなのに!」
「どうしてよ! なんで誰も助けに来ないのよ!!」
「転生した私はチートなはずなのに! なんでこうなるのよ!! 嘘つき! 私を元の世界に返してよ!!」
意味の分からないことを口に出し続ける頭の悪い男爵令嬢だったが、いくつか分かったことがあった。
頭の悪い男爵令嬢は、誰かを呪ってそれが返ってきたということ。
被害者はヴェルファイアだけではなかったということ。
そして、ヴェルファイアを襲った状況が呪いの類だったこと。
そのことから、他に呪いに苦しむ人間がいないか調査することとなり、結果、謎の病に苦しむ貴族令嬢が三名。平民の女性が一名見つかった。また、ヴェルファイアのように姿を替えられた貴族令息が他に三名、平民出身の騎士が一名、見つかった。
調査が済んだ時には、頭の悪い男爵令嬢の姿は、人といえる形をしていなかった。
右手は枯れ木のような肌になっており、顔は謎の鱗に覆われていた。
蛇のような尻尾が生え、頭の上には獣の耳、左手は剛毛に覆われた太く硬いものになっていた。
両脚は、鳥のように変わっており、髪はそのほとんどが抜け落ちているありさまだった。
まるでキメラのようなその姿に誰もが慄くこととなったのだ。
そして、頭の悪い男爵令嬢は、処刑されることとなるが、その遺体は見るものを恐れさせた。
そのため、灰になるまでその恐ろしい身を焼き、その灰を聖水に溶かしたのだ。
灰が混ぜられた聖水は考えられないほど汚く濁っていた。その汚水のような聖水は、教会によって十年かけて浄化されることとなる。
こうして、頭の悪い男爵令嬢による一連の事件は幕を閉じたのだった。
ただし、頭の悪い男爵令嬢がなぜこのような人を呪うような恐ろしい力をの持ったのだけは謎のままだった。
ヴェルファイアがスターレットに連れられて王宮を出た後だった。
護衛と距離を空けて、スターレットが信用を置いている人物の屋敷向かってを歩いていると、それまで腕の中でおとなしくしていたヴェルファイアがそわそわしだしたのだ。
話すことはできずとも、ヴェルファイアの真紅の瞳を見ればなんとなく言いたいことがわかるスターレットでも、その時のヴェルファイアの考えを読むことはできなかった。
その時のヴェルファイアは、今まで嗅いだことのないような心を揺さぶるような甘くかぐわしい香りに困惑していた。
子犬になった後、人間の時とは違って五感が鋭くなっていたヴェルファイアは、その香りをどうしても確かめたくなっていた。
気が付いた時には、スターレットの腕の中から抜け出して走り出していたのだ。
匂いの方向に向かって走る。道の角を曲がったところで匂いの元だと思われる人物を視界にとらえたのだ。
その人物は、ふわふわの桜色をした髪の毛の少女だった。
後ろ姿を見る限り、どこにでもいるような平民の少女に見えた。好奇心からなのか、その少女をじっと見つめていると、偶然にもその少女は後ろを振り向いたのだ。
その時、ヴェルファイアは、少女のエメラルドグリーンの瞳を見た瞬間、体中の血が沸騰するような謎の感覚を味わっていた。
それと同時に、夢を見ているかのようなふわふわとした何とも言えない心地よさもだ。
夢に浮かされたような思いで少女を見つめていると、後ろから追いかけてきたスターレットに少し怒ったような声で言われたのだ。
「こら、ヴェル。一人で走り出してはダメだろう? おや? もしかしてあの子が気になるのかい?」
スターレットの何気ない、「あの子が気になるのかい?」という言葉に、自分がどうしたいのかを考えるヴェル。
答えはすぐに出ていた。ヴェルファイアは、気になる匂いの少女と声を交わしたい。触れ合いたい。そう考えたのだ。
瞳に強く、「あの子に近づきたい」という思いを込めてスターレットを見つめると、それを理解してくれたのか、スターレットは、ヴェルファイアを抱き上げながらこう口にした。
「ふむ。何とかしよう。見たところ、田舎から出稼ぎにでも来たかのような感じだな。ふむ、それじゃこうしようか」
そう言って、スターレットが提案したのは、あの少女にヴェルファイアを預けるというものだった。
本来ならば、身元の分からない者に第二王子であるヴェルファイアを預けることなどあってはならないことだったが、今まで我儘を言うことのなかったヴェルファイアからの願いを叶えたいという思いが勝った結果だった。
ただし、常にヴェルファイアの身を守れるように護衛の配置は忘れなかった。
こうして、ヴェルファイアは、アルシオーネの元で暮らすこととなったのだ。
アルシオーネの元に身を置くようになった日の夜、素顔のアルシオーネの可愛らしさに、恋心を自覚したヴェルファイアは、早く元の姿に戻り、愛おしい少女にこの思いを伝え結婚したいと思ったのだ。
外では、完璧な田舎娘に扮しているアルシオーネが自分にだけ見せる素の姿にヴェルファイアは、ますます好きという思いが募っていった。
それと同時に、独占欲も強まる一方だったが、子犬の姿ではどうすることもできなかった。
しかし、日々アルシオーネに世話をされる中で少しずつその身に変化が起きていた。
一時的にだが、人の姿に戻れることがあったのだ。
理由はわからなかったが、人間の姿に戻れるのは大抵深夜から明け方にかけての時間帯だった。
ヴェルファイアは、人間の姿に戻れた時に、外に控えていた護衛と連絡を取るようになっていた。
その時、ヴェルファイアは、一縷の望みをかけてスターレットにあることを依頼していた。
それは、アルシオーネがホークァンに売った薬を手に入れることだった。
このころには、一時的に人間の姿に戻れているのは、アルシオーネが子犬の世話に世話に使っている何かしらの物が関係していると予想していたからだ。
そして、花街の娘を治療した薬があれば、もしかすると元に戻れるかもしれないとも考えていたのだ。
その予想は半分当たった。
夜、人の姿に戻った時、アルシオーネに悪いとは思いつつも、粉薬や回復薬を飲んでみたのだが、人に戻れる時間が少し長くなるだけで完全には戻らなかったのだ。
そこで、アルシオーネが最高傑作として売り出した薬ならばという考えに至ったのだ。
こうして、スターレットに依頼してホークァンからなんとしてでもその薬を譲ってもらうようにしたのだ。
交渉は案外すんなりと決まった。
しかし、問題があった。それは、ホークァンが娘のために出した薬を売るための条件にあった。
それは、ホークアンの娘のリンコと侯爵家の一人息子との婚姻を認めるというものだった。
多少は、恋愛結婚も許される時世ではあったが、侯爵家のしかも一人息子となると話は違った。
しかも、貴族間でのものではなく、平民との婚姻だ。
それでも、ヴェルファイアのために何とかしたかったスターレットは、根回しのために方々を駆け回った。
その中で、侯爵家の一人息子の積極的な協力もあり思ったよりも早く結果を出すことができたのだ。
侯爵家の分家にあたる伯爵家にリンコを養女に出したうえでの婚姻に持っていくことができたのだ。
リンコと侯爵家の子息は互いに心から愛し合っていたようだった。
令息は、リンコが謎の奇病に苦しむ間、ホークアンとは別に奔走していたのだ。
結果、リンコはアルシオーネの薬によって助かったが、リンコを救ったアルシオーネには、心から感謝をしており、いつか必ずお礼をしたいと考えていたが、なぜかアルシオーネに近寄ることをスターレットに禁じられたいたのだ。
それについては、独占欲の強いヴェルファイアが自分以外の男とアルシオーネが関わるのがいやだったからという実に心の狭い理由だったが。
こうして、無事に薬を手に入れたヴェルファイアは、人の姿に戻ることに成功したのだった。
そして、ヴェルファイアを子犬に変えるというとんでもないことをしでかした頭の悪い男爵令嬢の行く末も決まることとなった。
頭の悪い男爵令嬢は、ある時から謎の奇病に侵されることとなった。
高熱が出て、体は急激にやせ細り、肌はただれていったのだ。
頭の悪い男爵令嬢は、病状が進行すると日増しに狂っていった。
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「私は、推しに告られて、他の攻略対象からもちやほやされて逆ハーで幸せになるはずなのに!」
「どうしてよ! なんで誰も助けに来ないのよ!!」
「転生した私はチートなはずなのに! なんでこうなるのよ!! 嘘つき! 私を元の世界に返してよ!!」
意味の分からないことを口に出し続ける頭の悪い男爵令嬢だったが、いくつか分かったことがあった。
頭の悪い男爵令嬢は、誰かを呪ってそれが返ってきたということ。
被害者はヴェルファイアだけではなかったということ。
そして、ヴェルファイアを襲った状況が呪いの類だったこと。
そのことから、他に呪いに苦しむ人間がいないか調査することとなり、結果、謎の病に苦しむ貴族令嬢が三名。平民の女性が一名見つかった。また、ヴェルファイアのように姿を替えられた貴族令息が他に三名、平民出身の騎士が一名、見つかった。
調査が済んだ時には、頭の悪い男爵令嬢の姿は、人といえる形をしていなかった。
右手は枯れ木のような肌になっており、顔は謎の鱗に覆われていた。
蛇のような尻尾が生え、頭の上には獣の耳、左手は剛毛に覆われた太く硬いものになっていた。
両脚は、鳥のように変わっており、髪はそのほとんどが抜け落ちているありさまだった。
まるでキメラのようなその姿に誰もが慄くこととなったのだ。
そして、頭の悪い男爵令嬢は、処刑されることとなるが、その遺体は見るものを恐れさせた。
そのため、灰になるまでその恐ろしい身を焼き、その灰を聖水に溶かしたのだ。
灰が混ぜられた聖水は考えられないほど汚く濁っていた。その汚水のような聖水は、教会によって十年かけて浄化されることとなる。
こうして、頭の悪い男爵令嬢による一連の事件は幕を閉じたのだった。
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