上 下
43 / 111

第四十三話

しおりを挟む
 こうして、ウェインの元に文字通り飛んできた華火だった。
 華火の話を聞いたウェインは、複雑そうな顔をした後、困ったような表情で言うのだ。
 
アクオスそうか……。アッタカチアオメロ俺も会いたかったオィーセルエテアインハナビハナビに会えて嬉しいよ

 そう言って、華火をぎゅっと抱きしめたのだ。
 それでも、これだけは言わせてくれと怒った顔を華火に向けた。
 
エルケディアニスオマハユツム無茶はもうしないでくれ

「はい……」

オテロスそれとアニアナラナベレカナラマヤインハナビハナビに謝らなければならないな……」

「え?」

アッタミセヅンオキカモウハナビウコィクテキニアヅンオモニアケソニタテロ俺たちの世界の問題に結局ハナビを巻き込んでしまった……。イアナムスすまない

 ウェインの言葉に、華火はぷうっと頬を膨らませていた。
 そして、ウェインの瞳を見つめて、言い切ったのだ。
 
「わたしの問題でもあります。だって、わたしは、この世界で、うぇいんさんの隣で生きるって決めたんです。だから、巻き込んだなんて思わないでください。わたしのこの力は、きっとこの時のために与えられたんだって思えたんです。だから、わたしは巻き込まれたなんて思ってません!!」

ウオタギラありがとう

「はい!」

 話の区切りが付いたところで、ウェインは、華火が気を失っている間の出来事を話してくれたのだ。
 
 華火が瘴気を払ってくれたお陰で、今のところ結界の復旧が出来たということ。
 そのため、様子見として一部の部隊は残留させて、ウェインは報告のために王都に戻ることになったことをだ。
 そして、この瘴気問題の根本的解決について、王都で話し合うことを聞いた華火は、決意を込めた瞳でウェインに言っていた。
 
「わたしに、手伝わせてください!!」

 最初は断ろうとしたウェインだったが、華火が意外と頑固なことを知ってしまった今、どうしたものかと返事を迷っていた時、マリアに言われてしまったのだ。
 手を借りればいいと。そして、華火を守ればいいのだと。
 
 こうして、華火をウェインに引き合わせることとなった問題は解決へと向かっていくこととなるのだ。
 
 
 王都に戻るにあたり、テレポートを使うことを提案しようとした華火だったが、使い慣れない力に体の方がついて行かず、酷い頭痛のせいで数日の間、超能力を使えなくなっていたのだ。
 
 王都に戻るころには、テレパシーを使えるほど回復していた。
 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大好きな第三王子の命を救うため全てを捨てた元侯爵令嬢。実は溺愛されていたことに逃げ出した後に全力で気付かされました。

バナナマヨネーズ
恋愛
ラファ侯爵家の双子の妹として生まれたアストレイアには、六歳の時に一目見て恋に落ちた相手がいた。 その相手とは、このセブンスディス王国の第三王子、ヴィラジュリオ=ラス・セブンスディス。アストレイアが恋に落ちた相手は、一番次期国王に相応しく、そして最もその座に遠いと人だった。人々は、そんな彼のことを悲運の王子と呼んだ。 そんなヴィラジュリの運命を変えるべく、アストレイアはその持ちうる全てを持って立ち向かうのだ。 その結果が、裏切りと離別だとしても。 この物語は、好きになった人の幸せのために必死に頑張る元侯爵令嬢と、好きになった人に伝えたくても伝えられない想いを抱えた第三王子の長い長いすれ違いの末に幸せを掴む、そんな恋の物語。 ※序盤に物語の展開上BLっぽい?BLに見せかけた?BLな展開がありますが、この物語は間違いなく男女間での恋愛物語です。 全35話 ※R18版をムーンライトノベルズ様で掲載中です。

聖女様から「悪役令嬢竹生える」と言われた男爵令嬢は、王太子の子を身籠ってしまったので、全力で身を隠すことにしました。

バナナマヨネーズ
恋愛
聖女召喚によって召喚された少女は、魔王討伐のために勇者パーティーとして集められた三人の人物を見て目を丸くしたのだ。そして、魔法使いとしてその場にいた男爵令嬢のジグリールを見て言ったのだ。 「うわ~。男爵令嬢まじかわ。これで悪役令嬢なんて草、大草原不可避を通り越して、竹生える。あっ、でも、もしかしてここって、製品版の方じゃなくて、同人時代の方? あちゃ~、そうなると、シナリオちょっと変わってくるかも? 私、製品版の方しかプレイしてないしなぁ。しかも、同人版って、悪役令嬢存在しないし……。まぁ、なんとかなるよね?」と謎の言葉を発したのだ。 その後、王太子率いる勇者パーティーが魔王討伐のため旅立ったのだ。 聖女の的確な助言によって、あっという間に魔王討伐を果たす勇者パーティーだった……。 魔王討伐から三年、ジグと名乗る少女は、二歳になる息子のイヴァンと共に、ハジーナ村でスローライフを送っていたが、そこにかつての仲間が偶然やってきて? 全13話 ※小説家になろう様にも掲載しています。

美形王子様が私を離してくれません!?虐げられた伯爵令嬢が前世の知識を使ってみんなを幸せにしようとしたら、溺愛の沼に嵌りました

葵 遥菜
恋愛
道端で急に前世を思い出した私はアイリーン・グレン。 前世は両親を亡くして児童養護施設で育った。だから、今世はたとえ伯爵家の本邸から距離のある「離れ」に住んでいても、両親が揃っていて、綺麗なお姉様もいてとっても幸せ! だけど……そのぬりかべ、もとい厚化粧はなんですか? せっかくの美貌が台無しです。前世美容部員の名にかけて、そのぬりかべ、破壊させていただきます! 「女の子たちが幸せに笑ってくれるのが私の一番の幸せなの!」 ーーすると、家族が円満になっちゃった!? 美形王子様が迫ってきた!?  私はただ、この世界のすべての女性を幸せにしたかっただけなのにーー! ※約六万字で完結するので、長編というより中編です。 ※他サイトにも投稿しています。

妹に全てを奪われた令嬢は第二の人生を満喫することにしました。

バナナマヨネーズ
恋愛
四大公爵家の一つ。アックァーノ公爵家に生まれたイシュミールは双子の妹であるイシュタルに慕われていたが、何故か両親と使用人たちに冷遇されていた。 瓜二つである妹のイシュタルは、それに比べて大切にされていた。 そんなある日、イシュミールは第三王子との婚約が決まった。 その時から、イシュミールの人生は最高の瞬間を経て、最悪な結末へと緩やかに向かうことになった。 そして……。 本編全79話 番外編全34話 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

嫌われ貧乏令嬢と冷酷将軍

バナナマヨネーズ
恋愛
貧乏男爵令嬢のリリル・クロケットは、貴族たちから忌み嫌われていた。しかし、父と兄に心から大切にされていたことで、それを苦に思うことはなかった。そんなある日、隣国との戦争を勝利で収めた祝いの宴で事件は起こった。軍を率いて王国を勝利に導いた将軍、フェデュイ・シュタット侯爵がリリルの身を褒美として求めてきたのだ。これは、勘違いに勘違いを重ねてしまうリリルが、恋を知り愛に気が付き、幸せになるまでの物語。 全11話

追放された公爵令嬢はモフモフ精霊と契約し、山でスローライフを満喫しようとするが、追放の真相を知り復讐を開始する

もぐすけ
恋愛
リッチモンド公爵家で発生した火災により、当主夫妻が焼死した。家督の第一継承者である長女のグレースは、失意のなか、リチャードという調査官にはめられ、火事の原因を作り出したことにされてしまった。その結果、家督を叔母に奪われ、王子との婚約も破棄され、山に追放になってしまう。 だが、山に行く前に教会で16歳の精霊儀式を行ったところ、最強の妖精がグレースに降下し、グレースの運命は上向いて行く

竜王の加護を持つ公爵令嬢は婚約破棄後、隣国の竜騎士達に溺愛される

海野すじこ
恋愛
この世界で、唯一竜王の加護を持つ公爵令嬢アンジェリーナは、婚約者である王太子から冷遇されていた。 王太子自らアンジェリーナを婚約者にと望んで結ばれた婚約だったはずなのに。 無理矢理王宮に呼び出され、住まわされ、実家に帰ることも許されず...。 冷遇されつつも一人耐えて来たアンジェリーナ。 ある日、宰相に呼び出され婚約破棄が成立した事が告げられる。そして、隣国の竜王国ベルーガへ行く事を命じられ隣国へと旅立つが...。 待っていたのは竜騎士達からの溺愛だった。 竜騎士と竜の加護を持つ公爵令嬢のラブストーリー。

この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~

柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。 家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。 そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。 というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。 けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。 そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。 ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。 それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。 そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。 一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。 これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。 他サイトでも掲載中。

処理中です...