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第三十八話 〃
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自分のとった行動の恥ずかしさから立ち直った華火は、いろいろ聞きたそうな表情をしているウェインに説明しようとしたが、今は時間がないことを思い出していた。
マリアから事前に聞いていた通りだと、少し離れた場所に充満する真っ黒な靄を見ながら思うのだ。
そして、今まで超能力を使おうとしなかったため、自分がどの程度の力を使えるのか未知数だったが、今はウェインと話す時間がどうしても欲しかったのだ。
何か言いたそうにしているウェインに笑顔を向けて一言だけ言葉をかける。
「ちょっとだけ待っていてくださいね」
そう言った華火は、両手を黒い靄に向かって突き出しすようなポーズをとった後に、超能力を使っていた。
「全力全開です!!」
気合を込めてそう言った華火は、周囲に見える黒い靄を念力で出来るだけ遠くに弾いた後、靄のなくなった範囲にバリアを展開させていた。
できるだけ広い範囲をバリアで覆いたかったが、力の使い過ぎなのか、酷い頭痛がしてぐらりとよろめいてしまっていた。
そんな華火を抱きとめたウェインは、泣き出してしまう寸前のような、苦し気な表情をしていた。
ウェインにそんな悲しそうな表情をしてほしくなかった華火は、震える手を伸ばして擦れる声で言うのだ。
「だいじょうぶ……ですから……」
しかし、そう言うのが精一杯だった華火は、酷い頭痛に表情を顰めた後、気を失ってしまっていた。
ウェインは、気を失った華火をぎゅっと抱きしめた後に、救護テントに向かって歩き出していた。
その後を何も言わずについて歩くマリアは、どうしたものかと頭を抱えながら、この先のことを考えるのだ。
救護テントに華火を運んだウェインは、意識のない華火に小さな匙で回復薬を飲ませながら、回復魔法を同時に掛けていた。
離れていた間は、約二週間ほど。魔素に対しての耐性が付いてきたとはいえ、華火の負担は相当だったようで、別れた時に比べると、顔色は悪く、体重も落ちていたことに、ウェインは自分に腹が立って仕方がなかった。
華火を好きだ、愛していると言いながら、華火を二の次にして、彼女をここまで衰弱させた自分が心底駄目な人間に思えて仕方なかったのだ。
そんな駄目な自分に会うために、どんな方法を使ったのかは分からなかったが、華火が空から降ってきたことが、嬉しくて仕方ない自分もいて、ウェインの表情はとても一言では言い合わらせない苦悩に満ちていたのだ。
それを見かねたのかは分からないが、ため息交じりにマリアは言うのだ。
「はあぁぁぁ……。閣下、情けない顔はしないでください。もし、目が覚めたハナビお嬢様の前でもそんな顔をした日には、そのご立派な×××をねじ切って、犬に食わせてしまいますからね?」
とんでもないことを口にするマリアだったが、情けない姿をさらし続ければ、今の話を実行しかねないと思うのと同時に、マリアなりにウェインを慰めているようにも思えなくもないセリフだった。
苦笑いを浮かべながら、ウェインは言うのだ。
「ああ、お前にあそこをねじ切られないように、情けない姿はもう、ハナビには見せないようにするさ」
「はい。それがよろしいです。これまでのハナビお嬢様の苦労を考えると…………、いえ、この話はハナビお嬢様が起きてからの方がいいでしょう」
「わかった……。だが……」
「いろいろ聞きたいと思いますが、我慢してください。ああ、でも、これだけは閣下に言いますけど」
「なんだ?」
「ふふふ。ハナビお嬢様とお話しできるのは、もう閣下だけではないということだけは言わせてもらいますよ。ふふふふ~ん♪」
「は?! なっ! まさか、お前、無理やりハナビを襲って?!」
「ちょっぉっと?! まるで私が野獣のようにハナビお嬢様を襲ったみたいな言い回しはやめてください!!」
「いやいや……、お前、自分が野獣のような凶暴な目をしているという自覚はなかったのか?」
「ふへ?」
「はぁぁ……。お前は、好意を向けている相手に腹をすかせた野獣のような獰猛な目を向ける時がある。まぁ、その相手はハナビと……」
「なっ?! ハナビお嬢様のことを見て、ちょーーーっとムラっとすることはありますけど、あの駄犬だけは違いますから!!」
「はぁ……。語るに落ちるとはこのことだな……」
「あっ……」
マリアから事前に聞いていた通りだと、少し離れた場所に充満する真っ黒な靄を見ながら思うのだ。
そして、今まで超能力を使おうとしなかったため、自分がどの程度の力を使えるのか未知数だったが、今はウェインと話す時間がどうしても欲しかったのだ。
何か言いたそうにしているウェインに笑顔を向けて一言だけ言葉をかける。
「ちょっとだけ待っていてくださいね」
そう言った華火は、両手を黒い靄に向かって突き出しすようなポーズをとった後に、超能力を使っていた。
「全力全開です!!」
気合を込めてそう言った華火は、周囲に見える黒い靄を念力で出来るだけ遠くに弾いた後、靄のなくなった範囲にバリアを展開させていた。
できるだけ広い範囲をバリアで覆いたかったが、力の使い過ぎなのか、酷い頭痛がしてぐらりとよろめいてしまっていた。
そんな華火を抱きとめたウェインは、泣き出してしまう寸前のような、苦し気な表情をしていた。
ウェインにそんな悲しそうな表情をしてほしくなかった華火は、震える手を伸ばして擦れる声で言うのだ。
「だいじょうぶ……ですから……」
しかし、そう言うのが精一杯だった華火は、酷い頭痛に表情を顰めた後、気を失ってしまっていた。
ウェインは、気を失った華火をぎゅっと抱きしめた後に、救護テントに向かって歩き出していた。
その後を何も言わずについて歩くマリアは、どうしたものかと頭を抱えながら、この先のことを考えるのだ。
救護テントに華火を運んだウェインは、意識のない華火に小さな匙で回復薬を飲ませながら、回復魔法を同時に掛けていた。
離れていた間は、約二週間ほど。魔素に対しての耐性が付いてきたとはいえ、華火の負担は相当だったようで、別れた時に比べると、顔色は悪く、体重も落ちていたことに、ウェインは自分に腹が立って仕方がなかった。
華火を好きだ、愛していると言いながら、華火を二の次にして、彼女をここまで衰弱させた自分が心底駄目な人間に思えて仕方なかったのだ。
そんな駄目な自分に会うために、どんな方法を使ったのかは分からなかったが、華火が空から降ってきたことが、嬉しくて仕方ない自分もいて、ウェインの表情はとても一言では言い合わらせない苦悩に満ちていたのだ。
それを見かねたのかは分からないが、ため息交じりにマリアは言うのだ。
「はあぁぁぁ……。閣下、情けない顔はしないでください。もし、目が覚めたハナビお嬢様の前でもそんな顔をした日には、そのご立派な×××をねじ切って、犬に食わせてしまいますからね?」
とんでもないことを口にするマリアだったが、情けない姿をさらし続ければ、今の話を実行しかねないと思うのと同時に、マリアなりにウェインを慰めているようにも思えなくもないセリフだった。
苦笑いを浮かべながら、ウェインは言うのだ。
「ああ、お前にあそこをねじ切られないように、情けない姿はもう、ハナビには見せないようにするさ」
「はい。それがよろしいです。これまでのハナビお嬢様の苦労を考えると…………、いえ、この話はハナビお嬢様が起きてからの方がいいでしょう」
「わかった……。だが……」
「いろいろ聞きたいと思いますが、我慢してください。ああ、でも、これだけは閣下に言いますけど」
「なんだ?」
「ふふふ。ハナビお嬢様とお話しできるのは、もう閣下だけではないということだけは言わせてもらいますよ。ふふふふ~ん♪」
「は?! なっ! まさか、お前、無理やりハナビを襲って?!」
「ちょっぉっと?! まるで私が野獣のようにハナビお嬢様を襲ったみたいな言い回しはやめてください!!」
「いやいや……、お前、自分が野獣のような凶暴な目をしているという自覚はなかったのか?」
「ふへ?」
「はぁぁ……。お前は、好意を向けている相手に腹をすかせた野獣のような獰猛な目を向ける時がある。まぁ、その相手はハナビと……」
「なっ?! ハナビお嬢様のことを見て、ちょーーーっとムラっとすることはありますけど、あの駄犬だけは違いますから!!」
「はぁ……。語るに落ちるとはこのことだな……」
「あっ……」
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