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第三十七話
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もくもくと立ち上る土煙の中から現れたのは、目を回している華火と、凛々しい表情で華火をお姫様抱っこしたマリアだった。
微かに震える手で、マリアのメイド服を握りながら華火は涙目で言うのだ。
「まりあ、ごめんなさい……。テレポートは一度も使ったことなくて……」
「オユセドゥブオジアヅ! アヒサタウ、アラネマトナマスオジョハナビ、オユサメシメヅンオテッタダロス!」
―――大丈夫ですよ! 可愛い私のハナビお嬢様の為なら、火の中水の中、空だって落として見せますよ!! それに、お嬢様をこうしてぎゅっと出来て私は最高の気分です!!
「まりあ……。大げさだよ? それよりも、あんな高いところから落ちて怪我はない?」
「オユンエサミライアヅンオム」
―――問題ないです。私、結構頑丈なので。
「そうなのね。でも、後からどこか痛くなったら遠慮しないでいっ……て…………。う…うぇいんさん!! まりあ、ごめんなさい!!」
そう言って、マリアの腕から飛び降りた華火は、両手を大きく広げた格好で固まっていたウェインに駆け寄っていた。
一方、華火を受け止めるつもりが、美味しいところを全てマリアに持っていかれたような心境のウェインは、何故か勝ち誇ったような笑みを浮かべるマリアをひと睨みした後に、華火を抱きしめていたのだ。
「うぇいんさん、会いたかったです。ごめんなさい……、大変なことが起きているってまりあから聞いたのだけど、会いたくて、うぇいんさんの声が聞きたくて、来てしまいました……」
語尾を震わせて、抱き着く華火をぎゅっと抱きしめたながら、ウェインは甘く擦れる声で言うのだ。
「アア、ハナビ……。ダハナビオノノムンーフ……。アッタカチア、アッタカテルフ、アッタカナタキセツカチキカゲオコニミク……」
切なそうにそう言うウェインの言葉が分からず、華火が小さく首を傾げるのを見たウェインは、くすりと笑みを浮かべていた。
「アニーアワク……」
そうぽつりと呟いたウェインは、何の躊躇もなく、華火の小さな唇に触れていた。
啄むようなキスを繰り返しながら、離れていた分を取り戻すかのように華火の唇を味わうのだ。
ウェインからのキスは嬉しいと思う一方、近くにはマリアもいるし、他にも騎士の人たちが大勢いる中でのキスに華火は小さく抵抗していた。
「だ……だめぇ……。っん、み、みなさんが……みてますぅ……」
そう言って、ウェインの服をぎゅっと握った華火だったが、ウェインからのキスは激しいものになってきてしまい、どうしていいのか分からず、助けを求めるように元凶のはずのウェインに縋っていた。
「っん……。いやぁ……。だめです……、うぇいんさんのえっち……、ばかばかぁ……」
「ちゅっ。ンエモグ。オニルビサシフハナビオツオモータヅ……。ハナビ、アンネモグ、オメヅ、エカディソクスオム……」
「うぇいんさん……」
「ハナビ……」
長すぎるキスを終えたウェインは、突き刺さる視線を全く気にすることなく、華奢な華火をその腕に抱きしめていた。
そんなウェインに対して、マリアは呆れたように言うのだ。
「アハクタク、エヌセドゥオラユズキアノムオィスオディヌオツンーフ? アーフ……。ウセヅンーンナジヌオジフ。ハナビアベレカニエアセチシアチソーヲトコナクタカガマスオジョ、オロガミ、イノヌイオタテルムオホウオラヨスキエチアスズキツンエラフ……。イヌオジフ、ウセヅンーンナジヌオジフ」
マリアは、そう言いながらバキボキと指を鳴らしながら全く笑っていない目でウェインを射抜くように見つめたのだ。
いろいろと自覚のあるウェインは、マリアに向かってばつが悪そうに「イアナムス……」そう言った後、華火に向き合って心底申し訳なさそうに言うのだ。
「アンネモグ。エディクサグハナビ、エチグシクス、アッタカナキカギエシズ……。イローツイオンマリア、アナドゥオラヨスキエチアスズキツンエラハヘロ……」
しょんぼりとそう言うウェインが可愛く思えてしまった華火は、くすりと笑みを浮かべた後ににっこりと言うのだ。
「ふふ。わたしも、うぇいんさんが好きで好きで、どうしても会いたくて、飛んできてしまいました」
そう言った華火は、背伸びをしてウェインの頬に自らキスをしたのだが、自分の大胆な行動が恥ずかしくなり、最後には両手で顔を覆ってしまうのだった。
微かに震える手で、マリアのメイド服を握りながら華火は涙目で言うのだ。
「まりあ、ごめんなさい……。テレポートは一度も使ったことなくて……」
「オユセドゥブオジアヅ! アヒサタウ、アラネマトナマスオジョハナビ、オユサメシメヅンオテッタダロス!」
―――大丈夫ですよ! 可愛い私のハナビお嬢様の為なら、火の中水の中、空だって落として見せますよ!! それに、お嬢様をこうしてぎゅっと出来て私は最高の気分です!!
「まりあ……。大げさだよ? それよりも、あんな高いところから落ちて怪我はない?」
「オユンエサミライアヅンオム」
―――問題ないです。私、結構頑丈なので。
「そうなのね。でも、後からどこか痛くなったら遠慮しないでいっ……て…………。う…うぇいんさん!! まりあ、ごめんなさい!!」
そう言って、マリアの腕から飛び降りた華火は、両手を大きく広げた格好で固まっていたウェインに駆け寄っていた。
一方、華火を受け止めるつもりが、美味しいところを全てマリアに持っていかれたような心境のウェインは、何故か勝ち誇ったような笑みを浮かべるマリアをひと睨みした後に、華火を抱きしめていたのだ。
「うぇいんさん、会いたかったです。ごめんなさい……、大変なことが起きているってまりあから聞いたのだけど、会いたくて、うぇいんさんの声が聞きたくて、来てしまいました……」
語尾を震わせて、抱き着く華火をぎゅっと抱きしめたながら、ウェインは甘く擦れる声で言うのだ。
「アア、ハナビ……。ダハナビオノノムンーフ……。アッタカチア、アッタカテルフ、アッタカナタキセツカチキカゲオコニミク……」
切なそうにそう言うウェインの言葉が分からず、華火が小さく首を傾げるのを見たウェインは、くすりと笑みを浮かべていた。
「アニーアワク……」
そうぽつりと呟いたウェインは、何の躊躇もなく、華火の小さな唇に触れていた。
啄むようなキスを繰り返しながら、離れていた分を取り戻すかのように華火の唇を味わうのだ。
ウェインからのキスは嬉しいと思う一方、近くにはマリアもいるし、他にも騎士の人たちが大勢いる中でのキスに華火は小さく抵抗していた。
「だ……だめぇ……。っん、み、みなさんが……みてますぅ……」
そう言って、ウェインの服をぎゅっと握った華火だったが、ウェインからのキスは激しいものになってきてしまい、どうしていいのか分からず、助けを求めるように元凶のはずのウェインに縋っていた。
「っん……。いやぁ……。だめです……、うぇいんさんのえっち……、ばかばかぁ……」
「ちゅっ。ンエモグ。オニルビサシフハナビオツオモータヅ……。ハナビ、アンネモグ、オメヅ、エカディソクスオム……」
「うぇいんさん……」
「ハナビ……」
長すぎるキスを終えたウェインは、突き刺さる視線を全く気にすることなく、華奢な華火をその腕に抱きしめていた。
そんなウェインに対して、マリアは呆れたように言うのだ。
「アハクタク、エヌセドゥオラユズキアノムオィスオディヌオツンーフ? アーフ……。ウセヅンーンナジヌオジフ。ハナビアベレカニエアセチシアチソーヲトコナクタカガマスオジョ、オロガミ、イノヌイオタテルムオホウオラヨスキエチアスズキツンエラフ……。イヌオジフ、ウセヅンーンナジヌオジフ」
マリアは、そう言いながらバキボキと指を鳴らしながら全く笑っていない目でウェインを射抜くように見つめたのだ。
いろいろと自覚のあるウェインは、マリアに向かってばつが悪そうに「イアナムス……」そう言った後、華火に向き合って心底申し訳なさそうに言うのだ。
「アンネモグ。エディクサグハナビ、エチグシクス、アッタカナキカギエシズ……。イローツイオンマリア、アナドゥオラヨスキエチアスズキツンエラハヘロ……」
しょんぼりとそう言うウェインが可愛く思えてしまった華火は、くすりと笑みを浮かべた後ににっこりと言うのだ。
「ふふ。わたしも、うぇいんさんが好きで好きで、どうしても会いたくて、飛んできてしまいました」
そう言った華火は、背伸びをしてウェインの頬に自らキスをしたのだが、自分の大胆な行動が恥ずかしくなり、最後には両手で顔を覆ってしまうのだった。
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