7 / 111
第七話
しおりを挟む
ウェインの低く鋭い声を聴いた女性は、表情をきりっとしたものへと変えて、すっと立ち上がっていた。
そして、ウェインに向かって敬礼をした後にはっきりとした口調で言うのだ。
「アチサミサチーエルチス。アラクセドノミーサリアオミニラマーゲミフ。アクタク、アグセドニアネカウィスオムンエヒアツ、エットモウコキズンエグ、イアサドゥキスルヨーヲトクシゾウコユソニケシザソフオユツンアドゥクフンアディシクチルオ。エチソス、ウセドニアチカダチエテサセアクテチソトジゾニミゲミハガウィキサウル!!」
華火には女性が何を言ったのかはさっぱり分からなかったが、ウェインの表情からあまりよくない話が女性の口から飛び出たことが察せられた。
短い沈黙ののちに、ウェインは大き目の溜息を吐きながら何かを口にすると、女性はパッと表情を輝かせたのだ。
「アッタカウ。エットモウコキズンエグ、ウコトウンイノニケシズテイル。エチソス、ウレアタオウンイノニエオグンエコジズコズンエソヌオジハナビ」
「ウタフ!!」
ピンと背筋を伸ばし、敬礼をする女性を見ていた華火は、急にこちらを向いた女性と視線が合い、ドキリとしてしまう。
改めて見る女性はとても綺麗だった。
すらりとした長い手足と女性にしては高い身長、身に纏っている青を基調とした軍服は、まるで男装の麗人のようだった。
そんな、美しい女性の翠眼の瞳に見つめられた華火は、綺麗すぎるその瞳にドキドキとしてしまう。
しかし、その女性はニコリと微笑みを華火に向けた後に、ウェインに再び敬礼をしてから部屋を出て行ってしまったのだ。
部屋に二人きりになってしまった華火は、改めてこの状況をどうしたらいいのかと頭を悩ませることとなる。
今までのことで分かったのは、今いる場所が華火の知っている世界とはまったく別の世界ということ。それだけだった。
空気すら違っているのだから、言葉が分からなくてもここが異世界だと理解できたのだ。
ただ、空気を吸うたびに体が重くなる感覚は、何故かウェインが傍に居ると軽減された。
だからこれは仕方ないことなのだと、華火は誰かに言い訳でもするように口の中で呟くのだ。
「これは仕方ないことなの。うぇいんさんが傍に居ると苦しくないから。だから、これは必要なことなのよ……」
そう言いながら、ソファーの上でウェインに抱っこされている状況に言い訳をするのだ。
軍服の美女が部屋から出て行って少しした後、華火が軽く咳き込んだことが切っ掛けだった。
華火の咳を聞いたウェインは、あっという間に華火を膝の上に乗せていたのだ。
ウェインの体温を感じるほど近い距離に最初は逃げ出したいという気持ちでいっぱいだった華火だったが、ウェインが傍に居ると呼吸が楽になっていくことに気が付いてしまったのだ。
それからは、恥ずかしいという気持ちはありながらも、その腕の中に大人しく納まっていたのだ。
のんびりとした空気が流れ始めた時、部屋の扉をノックする音が響いたのだ。
ウェインが何かを言った後に開かれた扉から現れたのは、先ほどの美女だった。
ただし、現在は何故か黒のロングワンピースにフリルの付いたエプロンという、所謂メイド服に変わっていたのだ。
そして、ティーセットが乗ったワゴンを押しながら部屋に入ってきたのだ。
華火とウェインの座るソファーのテーブルの上に、慣れた手つきでセッティングをしていく。
可愛らしい小さな花が描かれたティーカップに甘い香りのお茶を注ぎ、色とりどりのフルーツがたくさんのったケーキを華火の目の前に用意したのだ。
どうしたらいいのか分からずに、ウェインを振り向くと優しい笑みを向けられる。
ウェインの様子から、これは華火のために用意されたものなのだとなんとなく理解できたが、口を付けることにためらいがあった。
華火が迷っている間に、ウェインがティーカップに手を伸ばしていた。
そして、華火の目の前で、湯気を登らせる甘い匂いのするお茶にふぅっと息を吹きかけたのだ。
熱いお茶を飲みやすい温度にするように、そうやって息を吹きかけたウェインは、何故か華火を見つめてにこりと微笑むのだ。
訳が分からずに小さく首を傾げる華火だったが、ウェインがティーカップを華火の口元に近づけたことで彼の行動の意味をようやく理解するのだ。
「えっ? えーーー?! ままままま、まさか、これって……。ふーふーしたお茶をわたしに? えっ? えっ?」
ウェインの腕の中で戸惑いに顔を赤くしている華火だったが、ウェインに引く気配はなく、お茶を飲まないことには後にも先にも進まないということがわかり、覚悟を決める。
恥ずかしさに自然と瞳を潤ませてしまう華火は、ウェインの大きな手にそっと触れた後、口元に固定されていたティーカップに唇を触れさせた。
ウェインは、華火が飲みやすいようにティーカップを少しだけ傾けてくれた。
程よい温度のお茶は、どこかキャラメルを思わせる、甘さとほろ苦さがあった。飲んだことのない不思議なお茶は、とても美味しく、喉が渇いていたこともあり、華火はコクコクと夢中で飲んでしまっていた。
半分ほど飲んだ後に、ティーカップから唇を離す。
唇に付いたお茶を舌でペロリと舐めた後に、ハッとしてウェインに視線を向ける。
ウェインは、眉間に皺を寄せて何か怒ったような表情になっていた。
華火は、自分の行儀が悪くウェインを不快な思いにさせたと考え、シュンとしてしまう。
肩を落とす華火だったが、今度は目の前に差し出されたケーキに困惑することとなるのだ。
小さく食べやすい大きさに切られたケーキがウェインによって差し出されていたのだ。
今回も引く気配のないウェインに華火の方が折れていた。
差し出されていたケーキをパクリと口にすると、フルーツの甘みが口いっぱいに広がった後に、カスタードクリームの甘さとふわふわのスポンジケーキの美味しさに瞳を輝かせる。
あまりの美味しさに、頬を押さえて震えていると、頭上からぷっと噴き出す声が聞こえてきた。
視線を向けると、ウェインが楽しそうに笑っていたのだ。
そこでようやく、華火はウェインに子供っぽい行動を笑われてしまってことに気が付くのだ。
(恥ずかしい……。うわぁぁ……。めちゃくちゃ恥ずかしい……)
耳まで真っ赤にさせた華火は両手で顔を覆ってしまっていた。
華火は、子供っぽい行動でウェインに笑われたと考えていたが、実際には違っていた。
正確には、腕の中の可愛らしい華火の行動にウェインが悶えていただけだったのだが、意思疎通がままならない華火にはそのことを察することはできなかった。
ただし、意思疎通ができたとしても華火がこのことを察せられたかは微妙なところではあったが。
そして、ウェインに向かって敬礼をした後にはっきりとした口調で言うのだ。
「アチサミサチーエルチス。アラクセドノミーサリアオミニラマーゲミフ。アクタク、アグセドニアネカウィスオムンエヒアツ、エットモウコキズンエグ、イアサドゥキスルヨーヲトクシゾウコユソニケシザソフオユツンアドゥクフンアディシクチルオ。エチソス、ウセドニアチカダチエテサセアクテチソトジゾニミゲミハガウィキサウル!!」
華火には女性が何を言ったのかはさっぱり分からなかったが、ウェインの表情からあまりよくない話が女性の口から飛び出たことが察せられた。
短い沈黙ののちに、ウェインは大き目の溜息を吐きながら何かを口にすると、女性はパッと表情を輝かせたのだ。
「アッタカウ。エットモウコキズンエグ、ウコトウンイノニケシズテイル。エチソス、ウレアタオウンイノニエオグンエコジズコズンエソヌオジハナビ」
「ウタフ!!」
ピンと背筋を伸ばし、敬礼をする女性を見ていた華火は、急にこちらを向いた女性と視線が合い、ドキリとしてしまう。
改めて見る女性はとても綺麗だった。
すらりとした長い手足と女性にしては高い身長、身に纏っている青を基調とした軍服は、まるで男装の麗人のようだった。
そんな、美しい女性の翠眼の瞳に見つめられた華火は、綺麗すぎるその瞳にドキドキとしてしまう。
しかし、その女性はニコリと微笑みを華火に向けた後に、ウェインに再び敬礼をしてから部屋を出て行ってしまったのだ。
部屋に二人きりになってしまった華火は、改めてこの状況をどうしたらいいのかと頭を悩ませることとなる。
今までのことで分かったのは、今いる場所が華火の知っている世界とはまったく別の世界ということ。それだけだった。
空気すら違っているのだから、言葉が分からなくてもここが異世界だと理解できたのだ。
ただ、空気を吸うたびに体が重くなる感覚は、何故かウェインが傍に居ると軽減された。
だからこれは仕方ないことなのだと、華火は誰かに言い訳でもするように口の中で呟くのだ。
「これは仕方ないことなの。うぇいんさんが傍に居ると苦しくないから。だから、これは必要なことなのよ……」
そう言いながら、ソファーの上でウェインに抱っこされている状況に言い訳をするのだ。
軍服の美女が部屋から出て行って少しした後、華火が軽く咳き込んだことが切っ掛けだった。
華火の咳を聞いたウェインは、あっという間に華火を膝の上に乗せていたのだ。
ウェインの体温を感じるほど近い距離に最初は逃げ出したいという気持ちでいっぱいだった華火だったが、ウェインが傍に居ると呼吸が楽になっていくことに気が付いてしまったのだ。
それからは、恥ずかしいという気持ちはありながらも、その腕の中に大人しく納まっていたのだ。
のんびりとした空気が流れ始めた時、部屋の扉をノックする音が響いたのだ。
ウェインが何かを言った後に開かれた扉から現れたのは、先ほどの美女だった。
ただし、現在は何故か黒のロングワンピースにフリルの付いたエプロンという、所謂メイド服に変わっていたのだ。
そして、ティーセットが乗ったワゴンを押しながら部屋に入ってきたのだ。
華火とウェインの座るソファーのテーブルの上に、慣れた手つきでセッティングをしていく。
可愛らしい小さな花が描かれたティーカップに甘い香りのお茶を注ぎ、色とりどりのフルーツがたくさんのったケーキを華火の目の前に用意したのだ。
どうしたらいいのか分からずに、ウェインを振り向くと優しい笑みを向けられる。
ウェインの様子から、これは華火のために用意されたものなのだとなんとなく理解できたが、口を付けることにためらいがあった。
華火が迷っている間に、ウェインがティーカップに手を伸ばしていた。
そして、華火の目の前で、湯気を登らせる甘い匂いのするお茶にふぅっと息を吹きかけたのだ。
熱いお茶を飲みやすい温度にするように、そうやって息を吹きかけたウェインは、何故か華火を見つめてにこりと微笑むのだ。
訳が分からずに小さく首を傾げる華火だったが、ウェインがティーカップを華火の口元に近づけたことで彼の行動の意味をようやく理解するのだ。
「えっ? えーーー?! ままままま、まさか、これって……。ふーふーしたお茶をわたしに? えっ? えっ?」
ウェインの腕の中で戸惑いに顔を赤くしている華火だったが、ウェインに引く気配はなく、お茶を飲まないことには後にも先にも進まないということがわかり、覚悟を決める。
恥ずかしさに自然と瞳を潤ませてしまう華火は、ウェインの大きな手にそっと触れた後、口元に固定されていたティーカップに唇を触れさせた。
ウェインは、華火が飲みやすいようにティーカップを少しだけ傾けてくれた。
程よい温度のお茶は、どこかキャラメルを思わせる、甘さとほろ苦さがあった。飲んだことのない不思議なお茶は、とても美味しく、喉が渇いていたこともあり、華火はコクコクと夢中で飲んでしまっていた。
半分ほど飲んだ後に、ティーカップから唇を離す。
唇に付いたお茶を舌でペロリと舐めた後に、ハッとしてウェインに視線を向ける。
ウェインは、眉間に皺を寄せて何か怒ったような表情になっていた。
華火は、自分の行儀が悪くウェインを不快な思いにさせたと考え、シュンとしてしまう。
肩を落とす華火だったが、今度は目の前に差し出されたケーキに困惑することとなるのだ。
小さく食べやすい大きさに切られたケーキがウェインによって差し出されていたのだ。
今回も引く気配のないウェインに華火の方が折れていた。
差し出されていたケーキをパクリと口にすると、フルーツの甘みが口いっぱいに広がった後に、カスタードクリームの甘さとふわふわのスポンジケーキの美味しさに瞳を輝かせる。
あまりの美味しさに、頬を押さえて震えていると、頭上からぷっと噴き出す声が聞こえてきた。
視線を向けると、ウェインが楽しそうに笑っていたのだ。
そこでようやく、華火はウェインに子供っぽい行動を笑われてしまってことに気が付くのだ。
(恥ずかしい……。うわぁぁ……。めちゃくちゃ恥ずかしい……)
耳まで真っ赤にさせた華火は両手で顔を覆ってしまっていた。
華火は、子供っぽい行動でウェインに笑われたと考えていたが、実際には違っていた。
正確には、腕の中の可愛らしい華火の行動にウェインが悶えていただけだったのだが、意思疎通がままならない華火にはそのことを察することはできなかった。
ただし、意思疎通ができたとしても華火がこのことを察せられたかは微妙なところではあったが。
20
お気に入りに追加
1,132
あなたにおすすめの小説
大好きな第三王子の命を救うため全てを捨てた元侯爵令嬢。実は溺愛されていたことに逃げ出した後に全力で気付かされました。
バナナマヨネーズ
恋愛
ラファ侯爵家の双子の妹として生まれたアストレイアには、六歳の時に一目見て恋に落ちた相手がいた。
その相手とは、このセブンスディス王国の第三王子、ヴィラジュリオ=ラス・セブンスディス。アストレイアが恋に落ちた相手は、一番次期国王に相応しく、そして最もその座に遠いと人だった。人々は、そんな彼のことを悲運の王子と呼んだ。
そんなヴィラジュリの運命を変えるべく、アストレイアはその持ちうる全てを持って立ち向かうのだ。
その結果が、裏切りと離別だとしても。
この物語は、好きになった人の幸せのために必死に頑張る元侯爵令嬢と、好きになった人に伝えたくても伝えられない想いを抱えた第三王子の長い長いすれ違いの末に幸せを掴む、そんな恋の物語。
※序盤に物語の展開上BLっぽい?BLに見せかけた?BLな展開がありますが、この物語は間違いなく男女間での恋愛物語です。
全35話
※R18版をムーンライトノベルズ様で掲載中です。
聖女様から「悪役令嬢竹生える」と言われた男爵令嬢は、王太子の子を身籠ってしまったので、全力で身を隠すことにしました。
バナナマヨネーズ
恋愛
聖女召喚によって召喚された少女は、魔王討伐のために勇者パーティーとして集められた三人の人物を見て目を丸くしたのだ。そして、魔法使いとしてその場にいた男爵令嬢のジグリールを見て言ったのだ。
「うわ~。男爵令嬢まじかわ。これで悪役令嬢なんて草、大草原不可避を通り越して、竹生える。あっ、でも、もしかしてここって、製品版の方じゃなくて、同人時代の方? あちゃ~、そうなると、シナリオちょっと変わってくるかも? 私、製品版の方しかプレイしてないしなぁ。しかも、同人版って、悪役令嬢存在しないし……。まぁ、なんとかなるよね?」と謎の言葉を発したのだ。
その後、王太子率いる勇者パーティーが魔王討伐のため旅立ったのだ。
聖女の的確な助言によって、あっという間に魔王討伐を果たす勇者パーティーだった……。
魔王討伐から三年、ジグと名乗る少女は、二歳になる息子のイヴァンと共に、ハジーナ村でスローライフを送っていたが、そこにかつての仲間が偶然やってきて?
全13話
※小説家になろう様にも掲載しています。
美形王子様が私を離してくれません!?虐げられた伯爵令嬢が前世の知識を使ってみんなを幸せにしようとしたら、溺愛の沼に嵌りました
葵 遥菜
恋愛
道端で急に前世を思い出した私はアイリーン・グレン。
前世は両親を亡くして児童養護施設で育った。だから、今世はたとえ伯爵家の本邸から距離のある「離れ」に住んでいても、両親が揃っていて、綺麗なお姉様もいてとっても幸せ!
だけど……そのぬりかべ、もとい厚化粧はなんですか? せっかくの美貌が台無しです。前世美容部員の名にかけて、そのぬりかべ、破壊させていただきます!
「女の子たちが幸せに笑ってくれるのが私の一番の幸せなの!」
ーーすると、家族が円満になっちゃった!? 美形王子様が迫ってきた!?
私はただ、この世界のすべての女性を幸せにしたかっただけなのにーー!
※約六万字で完結するので、長編というより中編です。
※他サイトにも投稿しています。
妹に全てを奪われた令嬢は第二の人生を満喫することにしました。
バナナマヨネーズ
恋愛
四大公爵家の一つ。アックァーノ公爵家に生まれたイシュミールは双子の妹であるイシュタルに慕われていたが、何故か両親と使用人たちに冷遇されていた。
瓜二つである妹のイシュタルは、それに比べて大切にされていた。
そんなある日、イシュミールは第三王子との婚約が決まった。
その時から、イシュミールの人生は最高の瞬間を経て、最悪な結末へと緩やかに向かうことになった。
そして……。
本編全79話
番外編全34話
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
嫌われ貧乏令嬢と冷酷将軍
バナナマヨネーズ
恋愛
貧乏男爵令嬢のリリル・クロケットは、貴族たちから忌み嫌われていた。しかし、父と兄に心から大切にされていたことで、それを苦に思うことはなかった。そんなある日、隣国との戦争を勝利で収めた祝いの宴で事件は起こった。軍を率いて王国を勝利に導いた将軍、フェデュイ・シュタット侯爵がリリルの身を褒美として求めてきたのだ。これは、勘違いに勘違いを重ねてしまうリリルが、恋を知り愛に気が付き、幸せになるまでの物語。
全11話
追放された公爵令嬢はモフモフ精霊と契約し、山でスローライフを満喫しようとするが、追放の真相を知り復讐を開始する
もぐすけ
恋愛
リッチモンド公爵家で発生した火災により、当主夫妻が焼死した。家督の第一継承者である長女のグレースは、失意のなか、リチャードという調査官にはめられ、火事の原因を作り出したことにされてしまった。その結果、家督を叔母に奪われ、王子との婚約も破棄され、山に追放になってしまう。
だが、山に行く前に教会で16歳の精霊儀式を行ったところ、最強の妖精がグレースに降下し、グレースの運命は上向いて行く
竜王の加護を持つ公爵令嬢は婚約破棄後、隣国の竜騎士達に溺愛される
海野すじこ
恋愛
この世界で、唯一竜王の加護を持つ公爵令嬢アンジェリーナは、婚約者である王太子から冷遇されていた。
王太子自らアンジェリーナを婚約者にと望んで結ばれた婚約だったはずなのに。
無理矢理王宮に呼び出され、住まわされ、実家に帰ることも許されず...。
冷遇されつつも一人耐えて来たアンジェリーナ。
ある日、宰相に呼び出され婚約破棄が成立した事が告げられる。そして、隣国の竜王国ベルーガへ行く事を命じられ隣国へと旅立つが...。
待っていたのは竜騎士達からの溺愛だった。
竜騎士と竜の加護を持つ公爵令嬢のラブストーリー。
この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~
柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。
家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。
そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。
というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。
けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。
そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。
ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。
それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。
そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。
一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。
これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。
他サイトでも掲載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる