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番外編(エゼク×リアム編)
002 木彫りの人形再び
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アンリエットは、手に持った木彫りの人形をリアムに渡して言ったのだ。
「はい。これは、願いの叶うと言われる木彫りの人形です。だから、これを持っていればきっと勇気が出ます。ゼク君は、お顔の傷を気にして、キスをする勇気が出ないだけだと思います。だから、リアムちゃんからキスをすれば、解決です」
そう言って、ニコニコと愛らしい笑顔をリアムに向けたのだ。
その、無垢な笑顔を見ていると、キスをねだる自分が少しだけ恥ずかしくなったリアムだった。
木彫りの人形。
それは、リアムとローグの融合を解いたアイテムだった。
あの日、エゼクとジェシカに貰った恋愛成就の木彫りの人形。
それは偶然だった。
偶然、リアムとローグの涙が木彫りの人形に落ちた時、人形が強い光を放ったその後、二人の融合が解けていたのだ。
その事を、アンリエットとガウェインに言うと、二人は目を丸くして驚いていた。
しかし、ガウェインは、何かを思い出すようにしながら言ったのだ。
「そう言えば、あの人形をエティが見つけた時、人形を売っていた老姥が、「中に当たりがいくつかって、その当たりは、解除不可能な呪いを解いたり、持ち主の負った不運を肩代わりしてくれるっていう、当たりがあるからよくお選び」って、言っていたような……?」
それを聞いたアンリエットは、ぽわぽわとした様子で言ったのだ。
「まぁ、運が良かったわ。偶然当たりを引けたみたいで。うふふ」
そう言って、ニコニコと微笑んでみせたのだ。
そんな事があったため、リアムの中で木彫りの人形は、有り難いアイテムに位置づけられていた。
だからだろうか、一瞬悩んだが、アンリエットの手にある木彫りの人形を受け取っていたのは。
リアムは、アンリエットに励まされたことで勇気が出たのか、貰った人形を抱きしめて、エゼクの部屋に向かっていた。
エゼクは、仕事で数日出掛けており、今朝方帰ってきたばかりだと聞いて、まだ会いに行っていなかったのだ。
まだ寝ているだろうと思いつつも、顔を見たくなったリアムは、勇気を出してエゼクの部屋の前まで来ていた。
しかし、まだ眠っていたらと考えると、扉をノックすることが躊躇われてしまっていた。
部屋の前でウロウロしていると、部屋の外の気配を察したエゼクが、扉を開けたのだ。
「リアム?どうしたんだ?」
そう言って、顔を出したエゼクは、ラフな格好に面頬を付けた姿だった。
休日モードのエゼクの格好に、胸がキュンとしたリアムは、しどろもどろになりながらも言っていた。
「えっと、あの……、エゼクさんに会いたくて……。来ちゃいました……」
そう言うと、エゼクは一度天井を見上げてから、リアムに視線を向けて目を細めて言った。
「とても嬉しいよ。お茶を用意するから、入って」
そう言って、リアムを部屋に入れてくれたのだった。
「はい。これは、願いの叶うと言われる木彫りの人形です。だから、これを持っていればきっと勇気が出ます。ゼク君は、お顔の傷を気にして、キスをする勇気が出ないだけだと思います。だから、リアムちゃんからキスをすれば、解決です」
そう言って、ニコニコと愛らしい笑顔をリアムに向けたのだ。
その、無垢な笑顔を見ていると、キスをねだる自分が少しだけ恥ずかしくなったリアムだった。
木彫りの人形。
それは、リアムとローグの融合を解いたアイテムだった。
あの日、エゼクとジェシカに貰った恋愛成就の木彫りの人形。
それは偶然だった。
偶然、リアムとローグの涙が木彫りの人形に落ちた時、人形が強い光を放ったその後、二人の融合が解けていたのだ。
その事を、アンリエットとガウェインに言うと、二人は目を丸くして驚いていた。
しかし、ガウェインは、何かを思い出すようにしながら言ったのだ。
「そう言えば、あの人形をエティが見つけた時、人形を売っていた老姥が、「中に当たりがいくつかって、その当たりは、解除不可能な呪いを解いたり、持ち主の負った不運を肩代わりしてくれるっていう、当たりがあるからよくお選び」って、言っていたような……?」
それを聞いたアンリエットは、ぽわぽわとした様子で言ったのだ。
「まぁ、運が良かったわ。偶然当たりを引けたみたいで。うふふ」
そう言って、ニコニコと微笑んでみせたのだ。
そんな事があったため、リアムの中で木彫りの人形は、有り難いアイテムに位置づけられていた。
だからだろうか、一瞬悩んだが、アンリエットの手にある木彫りの人形を受け取っていたのは。
リアムは、アンリエットに励まされたことで勇気が出たのか、貰った人形を抱きしめて、エゼクの部屋に向かっていた。
エゼクは、仕事で数日出掛けており、今朝方帰ってきたばかりだと聞いて、まだ会いに行っていなかったのだ。
まだ寝ているだろうと思いつつも、顔を見たくなったリアムは、勇気を出してエゼクの部屋の前まで来ていた。
しかし、まだ眠っていたらと考えると、扉をノックすることが躊躇われてしまっていた。
部屋の前でウロウロしていると、部屋の外の気配を察したエゼクが、扉を開けたのだ。
「リアム?どうしたんだ?」
そう言って、顔を出したエゼクは、ラフな格好に面頬を付けた姿だった。
休日モードのエゼクの格好に、胸がキュンとしたリアムは、しどろもどろになりながらも言っていた。
「えっと、あの……、エゼクさんに会いたくて……。来ちゃいました……」
そう言うと、エゼクは一度天井を見上げてから、リアムに視線を向けて目を細めて言った。
「とても嬉しいよ。お茶を用意するから、入って」
そう言って、リアムを部屋に入れてくれたのだった。
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