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第四話 幼馴染に初めてを奪われてしまった
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アイザックからの援助で、一時は借金もなくなっていた。
それでも、ことあるごとに金遣いの荒い父と兄が無駄な浪費を繰り返していた。
そのことで、アイザックには途方もないくらいの金銭面での借りがある。
それでも、シャロンはどうしてもアイザックの妻になるということだけは頷くことができなかったのだ。
だからこそ、売り言葉に買い言葉と言う訳ではないが、自分でも考えていない言葉が口をついて出ていた。
「貴方と結婚するくらいなら、もうすぐ死んじゃいそうなおじいちゃんと結婚した方がましよ! お金だって、おじいちゃんに言って、貴方に返すわよ! それなら―――」
シャロンが勢いに任せてそう口走った時だった。シャロンを見つめていたアイザックの漆黒の瞳が仄暗い光を孕んだのだ。
そして、シャロンは、あっという間にベッドに押し倒されていたのだ。
シャロンが逃げられないように、両手をベッドに縫い付けるようにしたアイザックは、上から見下ろすような体勢になっていた。
両脚でシャロンを跨ぐようにして、その動きを完全に封じる。
それでも逃げ出そうと藻掻くシャロンに、アイザックは低い声で言うのだ。
「君が俺以外と結婚するなんて許さない。君に触れていいのは俺だけだ」
そんな身勝手なことを口にするアイザックに対して、シャロンは腹が立って仕方がなかった。
「あんたには関係ない! わたしが誰と結婚して、えっちして、子供が生まれたって―――」
シャロンが激情に任せてそう口にすると、アイザックは、怒りに燃える瞳でシャロンを見つめて言うのだ。
「君は、俺の妻になるんだ。君が俺から逃げようとするなら、どんな手を使ってでもその相手を殺して、君を取り戻すからな。君が誰かと結ばれると言うのなら、その相手は無残な最期を遂げることになるだろうな。まぁ、君がそれを見たいというのなら好きにするがいい」
アイザックの脅迫するようなその言葉の数々にシャロンも黙ってはいられなかった。
「嫌い嫌い、大っ嫌い! 大っ嫌いよ! あんたなんて、あんたなんて!!」
シャロンの口から「大嫌い」という言葉を何度も聞くこととなったアイザックは、完全に頭に血が上ってしまっていた。だからこその暴挙に出ていたともいえる。
これ以上、シャロンの口から「嫌い」という言葉を聞きたくなかったアイザックは、彼女の小さな唇を塞いでいた。
呼吸さえ奪うような激しい口づけにシャロンは、パニックに陥っていた。
息苦しさに口を開けてしまったことで、アイザックの舌がシャロンの口内を蹂躙し始めたのだ。
甘くシャロンの舌を吸ったり噛んだりしたと思えば、舌を擦り付けることを繰り返す。
それだけでは飽き足らず、アイザックに舌の根を絡めるようにされると、不思議なことにお腹の奥の方がきゅんと痺れるような感覚に襲われて、シャロンは無意識に内腿をすり合わせる。
歯列を割り、上顎を嬲るように舐めあげられ、溢れる唾液を口の中で混ぜられ、それをアイザックによって啜られるのだ。
こんな恥ずかしいことなど生まれて一度でも経験したことなどないシャロンは、無意識にアイザックの服を掴んで助けを求めていた。
「あっ……。んぅ……、やぁ、はぁはぁ……。あっんん」
「ちゅっ。ん……。ちゅっ」
思う存分シャロンの唇を味わったアイザックは、最後に彼女の小さな唇を甘く噛んで、強く吸ってからようやくシャロンを解放したのだ。
生まれて初めてのキスがこんなにも欲情にまみれた深いものになるなど思っても見なかったシャロンは、肩で息をしながら慌ててごしごしと乱暴に唇を拭う。
キスで赤くなっていた唇は、乱暴にシャロンの服の袖で拭われて、さらに赤みを帯びる。
しかし、その行動はアイザックによってすぐに止められていた。
アイザックは、欲情にまみれた瞳を熱に潤ませてシャロンを甘く見つめて言うのだ。
「シャロン……。すまない」
それでも、ことあるごとに金遣いの荒い父と兄が無駄な浪費を繰り返していた。
そのことで、アイザックには途方もないくらいの金銭面での借りがある。
それでも、シャロンはどうしてもアイザックの妻になるということだけは頷くことができなかったのだ。
だからこそ、売り言葉に買い言葉と言う訳ではないが、自分でも考えていない言葉が口をついて出ていた。
「貴方と結婚するくらいなら、もうすぐ死んじゃいそうなおじいちゃんと結婚した方がましよ! お金だって、おじいちゃんに言って、貴方に返すわよ! それなら―――」
シャロンが勢いに任せてそう口走った時だった。シャロンを見つめていたアイザックの漆黒の瞳が仄暗い光を孕んだのだ。
そして、シャロンは、あっという間にベッドに押し倒されていたのだ。
シャロンが逃げられないように、両手をベッドに縫い付けるようにしたアイザックは、上から見下ろすような体勢になっていた。
両脚でシャロンを跨ぐようにして、その動きを完全に封じる。
それでも逃げ出そうと藻掻くシャロンに、アイザックは低い声で言うのだ。
「君が俺以外と結婚するなんて許さない。君に触れていいのは俺だけだ」
そんな身勝手なことを口にするアイザックに対して、シャロンは腹が立って仕方がなかった。
「あんたには関係ない! わたしが誰と結婚して、えっちして、子供が生まれたって―――」
シャロンが激情に任せてそう口にすると、アイザックは、怒りに燃える瞳でシャロンを見つめて言うのだ。
「君は、俺の妻になるんだ。君が俺から逃げようとするなら、どんな手を使ってでもその相手を殺して、君を取り戻すからな。君が誰かと結ばれると言うのなら、その相手は無残な最期を遂げることになるだろうな。まぁ、君がそれを見たいというのなら好きにするがいい」
アイザックの脅迫するようなその言葉の数々にシャロンも黙ってはいられなかった。
「嫌い嫌い、大っ嫌い! 大っ嫌いよ! あんたなんて、あんたなんて!!」
シャロンの口から「大嫌い」という言葉を何度も聞くこととなったアイザックは、完全に頭に血が上ってしまっていた。だからこその暴挙に出ていたともいえる。
これ以上、シャロンの口から「嫌い」という言葉を聞きたくなかったアイザックは、彼女の小さな唇を塞いでいた。
呼吸さえ奪うような激しい口づけにシャロンは、パニックに陥っていた。
息苦しさに口を開けてしまったことで、アイザックの舌がシャロンの口内を蹂躙し始めたのだ。
甘くシャロンの舌を吸ったり噛んだりしたと思えば、舌を擦り付けることを繰り返す。
それだけでは飽き足らず、アイザックに舌の根を絡めるようにされると、不思議なことにお腹の奥の方がきゅんと痺れるような感覚に襲われて、シャロンは無意識に内腿をすり合わせる。
歯列を割り、上顎を嬲るように舐めあげられ、溢れる唾液を口の中で混ぜられ、それをアイザックによって啜られるのだ。
こんな恥ずかしいことなど生まれて一度でも経験したことなどないシャロンは、無意識にアイザックの服を掴んで助けを求めていた。
「あっ……。んぅ……、やぁ、はぁはぁ……。あっんん」
「ちゅっ。ん……。ちゅっ」
思う存分シャロンの唇を味わったアイザックは、最後に彼女の小さな唇を甘く噛んで、強く吸ってからようやくシャロンを解放したのだ。
生まれて初めてのキスがこんなにも欲情にまみれた深いものになるなど思っても見なかったシャロンは、肩で息をしながら慌ててごしごしと乱暴に唇を拭う。
キスで赤くなっていた唇は、乱暴にシャロンの服の袖で拭われて、さらに赤みを帯びる。
しかし、その行動はアイザックによってすぐに止められていた。
アイザックは、欲情にまみれた瞳を熱に潤ませてシャロンを甘く見つめて言うのだ。
「シャロン……。すまない」
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