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第三話 幼馴染に脅迫されてます
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アイザックがシャロンを連れて行った先は、セイロン伯爵家だった。
まだ早い時間ではあったが、使用人たちはすでに働き出していた。
そして、昨日の夜遅い時間に、とある知らせを受けたアイザックが血相を変えて飛び出したのを見送った執事は、ようやく帰ってきた主人が腕の中に大切に抱えている人物を見て、すべてを察した。
「旦那様。お帰りなさいませ。お二人分の朝食の準備をいたしますので、お嬢様がお目覚めになりましたらお呼びください」
「ああ……。頼む」
短いやり取りの後、シャロンを抱えたままアイザックは、自身の寝室へと向かった。
ぐっすりと眠る可愛い寝顔を見ていると起こすのが忍びないという思いからの行動だった。
そして、シャロンをそっと自分が普段使うベッドに降ろしたアイザックは、シャワーを浴びることにしてその場を離れた。
シャロンはと言うと、そのあとすぐに目が覚めていたのだ。
ぼーっとしながら、見慣れない部屋に首を傾げる。
のんきにベッドの上で伸びをした後、やっとのことで現状を思い出したのだ。
「あ……。そう言えば、アイザックに拉致られたんだっけ……。はぁ……。もしかして、お姉様との離婚のことでわたしに文句を言いに来たの? ふん。上等よ! 返り討ちにしてやるってもんよ!! 覚悟してなさいアイザック!!」
そんなことを考えていると、シャワーを浴びてすっきりしたアイザックがシャロンの前に現れたのだ。
シャロンは、猫のようなアーモンドアイの瞳でアイザックを睨みつける。
アイザックは、そんなシャロンの視線など気にも留めていない様子で平然と言ったのだ。
「シャロン。君には二つの道がある。一つは、自ら望んで俺の妻になると言う道。もう一つは、俺に孕まされて否応なく俺の妻になると言う道だ」
アイザックの言葉にシャロンは、思わず突っ込みを入れる。
「何よそれ!! 過程は違っても、結果は同じじゃないの!! 嫌よ! 絶対に嫌!!」
全力で否定するシャロンを見下ろしていたアイザックの漆黒の瞳は、冷たい光を孕んでいたが、それにシャロンが気が付くことはなかった。
シャロンは、ベッドから飛び降りて、アイザックから距離をとった状態で舌を出す。
「べーっだ!!」
シャロンの行動に眉をピクリと動かしたアイザックは、一歩で距離を詰めてシャロンの細い手首を掴み上げていた。
「シャロン。君は、俺の妻になる以外に道はないんだ。姉である、シェリーが役目を果たせなかったのだから、君が責任を取って、俺の子を産むんだ」
アイザックの上から目線の物言いに、シャロンは掴まれていない方の右手を振り上げていた。
アイザックの顔面を目がけて平手打ちをしようとしたが、それはアイザックによって簡単に防がれてしまっていた。
両手をアイザックに掴まれてしまったシャロンは、体を捻って何とかその拘束から抜け出そうと試みる。
しかし、アイザックによって両手を片手で拘束されて、細い腰を抱き寄せられてしまう。
近すぎる距離に顔を真っ赤にさせたシャロンは、声の限り拒絶の言葉を叫ぶ。
「嫌ったら嫌よ!! 誰があんたなんかと!!」
その言葉を聞いたアイザックは、鼻を鳴らしてシャロンを小馬鹿にでもするように言うのだ。
「ふーん。それなら、シェリーに責任を取ってもらうしかないな。現在は離縁しているが、そういう約束だったから、あいつを探し出して、俺の子を産んでもらうしかあるまい」
その言葉に、シャロンは怒りをあらわにしてアイザックを怒鳴りつける。
「お姉様を襲うつもりなの?! このド変態!」
「君は思い違いをしている。もともと、俺とシェリーの結婚の際の条件は、俺がアッサム子爵家に資金面の援助をすることと、妻であるシェリーが俺の子を産むことが織り込まれている。俺は、今まで結構な額を援助していたのだが?」
「うっ……」
アイザックの言葉の通りだった。
言いたくはないが、悪いのは約束を破った姉の方なのだ。
それでも、大好きなシェリーをアイザックに差し出すことも、自分がアイザックの妻になることも考えたくなかった。
まだ早い時間ではあったが、使用人たちはすでに働き出していた。
そして、昨日の夜遅い時間に、とある知らせを受けたアイザックが血相を変えて飛び出したのを見送った執事は、ようやく帰ってきた主人が腕の中に大切に抱えている人物を見て、すべてを察した。
「旦那様。お帰りなさいませ。お二人分の朝食の準備をいたしますので、お嬢様がお目覚めになりましたらお呼びください」
「ああ……。頼む」
短いやり取りの後、シャロンを抱えたままアイザックは、自身の寝室へと向かった。
ぐっすりと眠る可愛い寝顔を見ていると起こすのが忍びないという思いからの行動だった。
そして、シャロンをそっと自分が普段使うベッドに降ろしたアイザックは、シャワーを浴びることにしてその場を離れた。
シャロンはと言うと、そのあとすぐに目が覚めていたのだ。
ぼーっとしながら、見慣れない部屋に首を傾げる。
のんきにベッドの上で伸びをした後、やっとのことで現状を思い出したのだ。
「あ……。そう言えば、アイザックに拉致られたんだっけ……。はぁ……。もしかして、お姉様との離婚のことでわたしに文句を言いに来たの? ふん。上等よ! 返り討ちにしてやるってもんよ!! 覚悟してなさいアイザック!!」
そんなことを考えていると、シャワーを浴びてすっきりしたアイザックがシャロンの前に現れたのだ。
シャロンは、猫のようなアーモンドアイの瞳でアイザックを睨みつける。
アイザックは、そんなシャロンの視線など気にも留めていない様子で平然と言ったのだ。
「シャロン。君には二つの道がある。一つは、自ら望んで俺の妻になると言う道。もう一つは、俺に孕まされて否応なく俺の妻になると言う道だ」
アイザックの言葉にシャロンは、思わず突っ込みを入れる。
「何よそれ!! 過程は違っても、結果は同じじゃないの!! 嫌よ! 絶対に嫌!!」
全力で否定するシャロンを見下ろしていたアイザックの漆黒の瞳は、冷たい光を孕んでいたが、それにシャロンが気が付くことはなかった。
シャロンは、ベッドから飛び降りて、アイザックから距離をとった状態で舌を出す。
「べーっだ!!」
シャロンの行動に眉をピクリと動かしたアイザックは、一歩で距離を詰めてシャロンの細い手首を掴み上げていた。
「シャロン。君は、俺の妻になる以外に道はないんだ。姉である、シェリーが役目を果たせなかったのだから、君が責任を取って、俺の子を産むんだ」
アイザックの上から目線の物言いに、シャロンは掴まれていない方の右手を振り上げていた。
アイザックの顔面を目がけて平手打ちをしようとしたが、それはアイザックによって簡単に防がれてしまっていた。
両手をアイザックに掴まれてしまったシャロンは、体を捻って何とかその拘束から抜け出そうと試みる。
しかし、アイザックによって両手を片手で拘束されて、細い腰を抱き寄せられてしまう。
近すぎる距離に顔を真っ赤にさせたシャロンは、声の限り拒絶の言葉を叫ぶ。
「嫌ったら嫌よ!! 誰があんたなんかと!!」
その言葉を聞いたアイザックは、鼻を鳴らしてシャロンを小馬鹿にでもするように言うのだ。
「ふーん。それなら、シェリーに責任を取ってもらうしかないな。現在は離縁しているが、そういう約束だったから、あいつを探し出して、俺の子を産んでもらうしかあるまい」
その言葉に、シャロンは怒りをあらわにしてアイザックを怒鳴りつける。
「お姉様を襲うつもりなの?! このド変態!」
「君は思い違いをしている。もともと、俺とシェリーの結婚の際の条件は、俺がアッサム子爵家に資金面の援助をすることと、妻であるシェリーが俺の子を産むことが織り込まれている。俺は、今まで結構な額を援助していたのだが?」
「うっ……」
アイザックの言葉の通りだった。
言いたくはないが、悪いのは約束を破った姉の方なのだ。
それでも、大好きなシェリーをアイザックに差し出すことも、自分がアイザックの妻になることも考えたくなかった。
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