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美味い酒に誘われて
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俺の名はシューニャ。灰色の髪と榛色の瞳の美少年だ。いや、もう年齢的には、美青年だけど、見た目は美少年と言った方がしっくりくる。
そんな美少年な俺が仕える、世界一大切なお姫様がテンペランス帝国の皇帝さんと結婚してから、三年の月日が経過していた。
俺は今日も変わらずに、お姫様のメイド兼護衛騎士としてお仕えしている日々を送っていた。
お姫様の幸せそうな姿を見るだけで、俺も心から幸せだと感じていた。
だから、何の不満もない満たされた毎日を送っていると断言できる。
そんな俺だが、最近の楽しみは、テンペランス帝国の宰相、セドル・ジルコンと酒を飲むことだった。
出会った頃のあいつは、俺の顔を見るたびに好きだとか、嫁になってくださとか言ってきてうざかったが、最近は出来が良すぎて逆におバカな兄のような、年上の男友達のような、そんな友人関係を築いていると俺は思っていた。
ちょっと訳ありな俺は、男ではあるが心から忠誠を誓うミリアリア皇妃殿下の傍に居るために女装して、メイドとしてお仕えしている。
そんなお姫様の夫である皇帝さんも俺の事情を知っていて俺の女装を黙認してくれていた。
そんな訳で俺は、大切なお姫様にお仕えするという充実した毎日を過ごしていた。
そんなある日のことだった。
明日は休みということで、その日は、セドルの屋敷で飲むことになっていた。
セドルのやつ、宰相だけあって安酒じゃなく、高級でいて味は最高に美味いという酒をいつも用意してくれるから、ついつい誘いに乗ってしまうのだ。
特に、次の日が休みとなれば浴びるほど飲めると思うと、余計にただ酒が上手く感じた。
セドルの屋敷に着いた俺は、勝手知ったるといった感じで、セドルの部屋に入って行ったのだ。
セドルの部屋に入ると、既に酒とつまみの用意がされていた。
しかし、肝心のセドルがいなかったが、それを特に気にせず俺は酒の置かれているテーブルのソファーに腰掛けてセドルの帰りを待っていた。
だけど、なかなかセドルが来ないから、酒を飲んで待っていようかと思い始めたころ、ようやくセドルがやってきたのだ。
「シューニャさん。お待たせしました。帰りがけに、ちょっと部下に捕まってしまって」
そう言って、申し訳なさそうに部屋に入ってきたセドルに俺は視線を向けた。
セドルは、栗色の髪と緑の瞳のいわゆるイケメンと呼ばれる部類の人間だ。
長身ではあるが、宰相という役柄体を鍛える時間がないのか細身な体つきをしていた。
そんなセドルは、頭のおかしいことに何故か俺が男だと知った後も俺のことが好きだと言い続けたのだ。
その所為で、いまだに独身だった。
まぁ、セドルが結婚しようがしまいが俺には関係ないけどな。
それよりも今は、目の前の美味そうな酒の方が大事だよな。
「おかえり。ほいじゃ、飲もうぜ」
「そうですね。今日のは年代物のいいワインなんですよ」
「へぇ。そいつは楽しみだ」
こうして、和やかに酒宴が始まったのだった。
そんな美少年な俺が仕える、世界一大切なお姫様がテンペランス帝国の皇帝さんと結婚してから、三年の月日が経過していた。
俺は今日も変わらずに、お姫様のメイド兼護衛騎士としてお仕えしている日々を送っていた。
お姫様の幸せそうな姿を見るだけで、俺も心から幸せだと感じていた。
だから、何の不満もない満たされた毎日を送っていると断言できる。
そんな俺だが、最近の楽しみは、テンペランス帝国の宰相、セドル・ジルコンと酒を飲むことだった。
出会った頃のあいつは、俺の顔を見るたびに好きだとか、嫁になってくださとか言ってきてうざかったが、最近は出来が良すぎて逆におバカな兄のような、年上の男友達のような、そんな友人関係を築いていると俺は思っていた。
ちょっと訳ありな俺は、男ではあるが心から忠誠を誓うミリアリア皇妃殿下の傍に居るために女装して、メイドとしてお仕えしている。
そんなお姫様の夫である皇帝さんも俺の事情を知っていて俺の女装を黙認してくれていた。
そんな訳で俺は、大切なお姫様にお仕えするという充実した毎日を過ごしていた。
そんなある日のことだった。
明日は休みということで、その日は、セドルの屋敷で飲むことになっていた。
セドルのやつ、宰相だけあって安酒じゃなく、高級でいて味は最高に美味いという酒をいつも用意してくれるから、ついつい誘いに乗ってしまうのだ。
特に、次の日が休みとなれば浴びるほど飲めると思うと、余計にただ酒が上手く感じた。
セドルの屋敷に着いた俺は、勝手知ったるといった感じで、セドルの部屋に入って行ったのだ。
セドルの部屋に入ると、既に酒とつまみの用意がされていた。
しかし、肝心のセドルがいなかったが、それを特に気にせず俺は酒の置かれているテーブルのソファーに腰掛けてセドルの帰りを待っていた。
だけど、なかなかセドルが来ないから、酒を飲んで待っていようかと思い始めたころ、ようやくセドルがやってきたのだ。
「シューニャさん。お待たせしました。帰りがけに、ちょっと部下に捕まってしまって」
そう言って、申し訳なさそうに部屋に入ってきたセドルに俺は視線を向けた。
セドルは、栗色の髪と緑の瞳のいわゆるイケメンと呼ばれる部類の人間だ。
長身ではあるが、宰相という役柄体を鍛える時間がないのか細身な体つきをしていた。
そんなセドルは、頭のおかしいことに何故か俺が男だと知った後も俺のことが好きだと言い続けたのだ。
その所為で、いまだに独身だった。
まぁ、セドルが結婚しようがしまいが俺には関係ないけどな。
それよりも今は、目の前の美味そうな酒の方が大事だよな。
「おかえり。ほいじゃ、飲もうぜ」
「そうですね。今日のは年代物のいいワインなんですよ」
「へぇ。そいつは楽しみだ」
こうして、和やかに酒宴が始まったのだった。
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◇シューニャの大切なお姫様のお話◇
欠陥姫の嫁入り~花嫁候補と言う名の人質だけど結構楽しく暮らしています~
欠陥姫の嫁入り~花嫁候補と言う名の人質だけど結構楽しく暮らしています~
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