記憶喪失中の美少年は、眼帯青年を甘やかしたい!

バナナマヨネーズ

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第一部 第六章

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 セリナは、ギルベルトの用意したテントの中で服を脱ぐためレイラを連れて行こうとしたが、気が付けばすでに服だけがその場に残されていたのだ。
 まさか、その場で服を脱ぎ捨てて、温泉に入ってしまうとは思っていなかったセリナは、驚いてしまう。
 
「えっ? レイラ様? まさか、もう?」

 その声が聞こえたレイラは、温泉の中からのんびりとした声で言うのだ。
 
「ふわ~。すごく気持ちいいよ。セリナさんも早く!」

 子供のようなレイラの様子に、微笑みを浮かべたものの、淑女として、その場で服を脱ぐのに抵抗があったセリナは、テントに入って服を脱いでから温泉に入ったのだ。
 その温泉は、濁り湯のようで、お湯が白く、少しぬるっとしていた。
 しかし、肌にいいのは本当らしく、入ったとたんに肌が艶々としていたことに、セリナは、嬉しい悲鳴を上げるのだ。
 
「まぁ! お肌がツヤツヤですわ」

「うん。それに、体が内側からぽかぽかする。とっても気持ちいね」

 楽し気にそんなことを話しながら、お湯の中で並んで会話をする。
 
「レイラ様は、本当にお変わりになられましたわね……」

「え?」

「ふふふ。こんなことを言ってはあれですが、昔のレイラ様と、並んで温泉だなんて考えられませんことよ? なんというか、レイラ様は、孤高の存在でしたから」

「ふーん。そうなんだ。でも、私、全然そのあたり覚えていないんだよね? でも、今はこうして、セリナさんと楽しくお話しできてるし、私は、今の私でいられて嬉しいよ?」

「きゅ~ん。レイラ様は、お可愛らしいですわ!! 私が男だったら、頂いていましたのに」

 そう言って、セリナは、レイラに抱き着いてその華奢な体を抱きしめるのだ。
 
「ふふふ~。レイラ様は、小さくて、スベスベで、モチモチですわ~。でも、もう少しお胸があった方が……? あら? あららら?」

 そう言って、レイラに抱き着いていたセリナは、触れていた手を弄るのだ。
 思った以上にまっ平らな胸。小さなお尻。
 まさかと思ったセリナは、渾身の力でレイラの脇の下に手を入れて、その身を抱き上げたのだ。
 お湯から出したレイラの全身を見て、セリナは、呆然とする。
 白い肌は、お湯の所為で朱色に染まり、まっ平らな胸と細い腰、小さなお尻。
 そして、股間にある小さな陰茎に目が釘付けになってしまうのだ。
 
「れ…レイラ様? まさか、男の子でしたの?!」

 驚きながらもレイラの陰茎から目を逸らさずにそう言うセリナに、レイラは不思議そうに首を傾げるのだ。
 
「え? 見た通りだけど?」

「ですが! レイラ様は、美少女にしか見えませんわよ! それに、レイラ様の生まれ変わりなのに、男の子?」

「えっと……、男だと問題あるかな? ギルは何も言ってこないけど?」

 そう言われたセリナは、今までのギルベルトとレイラのやり取りを可能な限り思い出していた。
 
 ―――えっ? ギルベルト様は、レイラ様を男のこと知っていてあのあの扱いでしたの? いやいや、それなら私とお風呂を入らせるはずがございませんわ。でも……。分かりませんわ。そう言うプレイですの? これまでのギルベルト様の、まるで恋人に向けるような甘い声と眼差し、私に向ける嫉妬に燃える瞳……。
 ま、まさか、ギルベルト様はレイラ様を愛しておいでなの?
 
 セリナの中でそのように結論が出た瞬間、セリナは、大量の鼻血を吹き上げていたのだ。
 
「ぶひぃ~~~!! ギルベルト様の弟系鬼畜攻めとかって、最高ですわ~。王都で流行っているという、BがLするあれやこれがこれなのですわね~~」

 そう言って、何かに目覚めてしまったセリナは、周辺を血の海に変えながらも嬉しそうに気絶するのだった。
 それに驚いたレイラは、悲鳴を上げていた。
 
「えーーーーー?! セリナさん? た、大変!! ギル、ギルーーーーー!!」

 レイラの悲鳴で、駆け付けたギルベルトは、その惨状に眩暈がしていた。
 温泉の中のレイラの、薄い胸が濁り湯でギリギリ見えない姿と、鼻血を噴き出すセリナの姿にだ。
 
 結局、ギルベルトによって、セリナはお湯から上げられて、体を拭かれ服を着せられたのだった。
 ギルベルトがセリナの世話をしている間に、レイラは自分の身支度を整える。
 そして、湯に入る前よりも足が自由に動くことににこりと微笑みを浮かべるものの、気を失っているセリナを見て心配そうに呟くのだ。
 
「セリナさん、湯あたりしてしまったのかな? あんなに鼻血を出して……、心配だよ」

 しかし、そんなレイラの心配をよそに、意識のないセリナの表情はとても幸せそうだったのだ。

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