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第一部 第六章
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翌日、レイラたちがやってきたのは、温泉で有名な街だった。
食事が美味しいと評判のいい宿を取ったギルベルトは、レイラを抱き上げて街を見て回ろうとしたが、それに首を振るレイラがいた。
「ギル、前に用意してくれた松葉杖を出してくれないかな?」
「そんなもの必要ない。これからも俺が」
「ううん。今までギルに甘えすぎてた。これからは、出来ることは自分でやるようにする! 私は、ギルのお姉さんだからね」
にっこりとそういうレイラの意志が固そうなのを見たギルベルトは、ちらりとセリナの方を向いて「余計なことを」という表情をした後に、大きなため息を吐いていた。
「分かった……。でも、疲れたら言って。その時は俺が運ぶから」
レイラに松葉杖をしぶしぶ渡しながらそう言う、ギルベルトの頭を撫でながらレイラは言うのだ。
「うん。その時はお願いするよ」
こうして、松葉杖を突くレイラに合わせてゆっくりとした歩みで、温泉の街を見て回ることにした三人だった。
何軒かの店で、温泉まんじゅうや温泉卵を食べながら、ギルベルトはとある山の中の温泉の話に興味を持つのだ。
街の人の話だと、美肌効果の他に疲労回復、怪我にもいいと言う、秘湯があるらしいのだ。
しかし、最近はその秘湯を使うものはめっきり減っているのだというのだ。
ギルベルトが何故かと、その話題を振った温泉饅頭屋の店員に聞いたところ、温泉に行くまでの道の間に凶暴な熊が縄張りを張るようになって、以来近づけないのだというのだ。
熊などギルベルトにとっては、寝てても相手ができるような弱い存在だった。
だからこそ、レイラをその温泉に入れてあげたいと思ったのだ。
レイラの足のことを心配していたセリナもそれに同意した。
こうして、街に着いた日の翌日、ギルベルトは、レイラを抱いて山歩きをしていたのだ。
そして、その後ろにはニコニコとした表情のセリナも付いてきていた。
「レイラ様、温泉楽しみですわね」
「うん。ギル、ごめんね。松葉杖じゃ、歩けなくて……」
「いや、問題ない。姉さんは、軽くて心配になるくらいだから。宿に戻ったら、美味い物を食べような」
「うん。そうだね」
「ふふふ。それなら、スッポン鍋なるものがよろしいかと」
にやけ顔でそう言うセリナの言葉に、ギルベルトは嫌そうな顔をしながらも念のため確認をするのだ。
「なんだその鍋は? 変な物でも入ってないだろうな?」
「大丈夫だですわ! 元気が出る食材を使った、美味なる鍋らしいですわ!! ぐふふ。それを食べたギルベルト様に夜這いをかければ、既成事実作って、一気に結婚ですわ。ムフフ」
「おい、お前の嫌らしい妄想があふれ出てるぞ。俺はそんな危険な物口にはしないからな」
「まぁ! とっても美味しくて、お肌もプルプルになるというのに……。なら、レイラ様と二人で頂きますわ。ねえ、レイラ様」
話を振られたレイラは、美味しいものは大歓迎だと笑顔で言うのだ。
「うん。美味しい物なら私も食べたい」
「姉さんは、駄目だから。そんな危険な物よりももっと美味いものを食べさせるから」
ギルベルトに反対されてまで食べたいとは思っていないレイラは、ふにゃりと微笑んでそれに頷くのだった。
そんな会話をしつつ、途中で見かけた熊はギルベルトが軽く倒してしまう。
こうして、三人は秘湯と呼ばれる山中の温泉にたどり着くのだった。
もくもくと白い湯気を上げる温泉を見て、レイラとセリナは、歓喜の声を上げる。
「わあ~。広いお風呂だね。それにすごく開放的だね~」
「そうですわね。本当に自然の中の秘湯って感じですわね」
のんきにそんなことを言っている二人に対して、ギルベルトだけは動揺していたのだ。
まさか、隠すものが一つもない、天然すぎる温泉を目の前にしてしまったからだ。
とりあえず、野宿の時に使っているテントと衝立を取り出して設置した。
そして、少し距離を置いた場所に座って二人に向かって言うのだ。
「セリナ嬢、すまないが姉さんのことは頼む。俺は、ここで見張りをしている」
そんなことを言うギルベルトにレイラは首を傾げて言うのだ。
「えっ? みんなで入ろうよ? セリナさんはそれでいいよね?」
「ふえ? っえ……。ええ、もちろん! 私、いつでも準備万端ですわ!!」
思わぬ歓迎ぶりにギルベルトは、頭が痛くなっていた。
しかし、セリナはともかく、レイラの裸体を見て、暴走しないでいる自信がギルベルトにはなかった。
「駄目だ! 姉さん、慎みを持ってくれ」
「つつしみ?」
不思議そうに首を傾げるレイラを見て、セリナは笑ってしまっていた。
以前のレイラにはない、可愛らしい姿に、ほっこりとしてしまっていたのだ。
「まぁ、仕方ありませんわ。二人で温泉を楽しみましょう」
こうして、ギルベルトを残して、レイラとセリナが温泉に入ることとなったのだった。
食事が美味しいと評判のいい宿を取ったギルベルトは、レイラを抱き上げて街を見て回ろうとしたが、それに首を振るレイラがいた。
「ギル、前に用意してくれた松葉杖を出してくれないかな?」
「そんなもの必要ない。これからも俺が」
「ううん。今までギルに甘えすぎてた。これからは、出来ることは自分でやるようにする! 私は、ギルのお姉さんだからね」
にっこりとそういうレイラの意志が固そうなのを見たギルベルトは、ちらりとセリナの方を向いて「余計なことを」という表情をした後に、大きなため息を吐いていた。
「分かった……。でも、疲れたら言って。その時は俺が運ぶから」
レイラに松葉杖をしぶしぶ渡しながらそう言う、ギルベルトの頭を撫でながらレイラは言うのだ。
「うん。その時はお願いするよ」
こうして、松葉杖を突くレイラに合わせてゆっくりとした歩みで、温泉の街を見て回ることにした三人だった。
何軒かの店で、温泉まんじゅうや温泉卵を食べながら、ギルベルトはとある山の中の温泉の話に興味を持つのだ。
街の人の話だと、美肌効果の他に疲労回復、怪我にもいいと言う、秘湯があるらしいのだ。
しかし、最近はその秘湯を使うものはめっきり減っているのだというのだ。
ギルベルトが何故かと、その話題を振った温泉饅頭屋の店員に聞いたところ、温泉に行くまでの道の間に凶暴な熊が縄張りを張るようになって、以来近づけないのだというのだ。
熊などギルベルトにとっては、寝てても相手ができるような弱い存在だった。
だからこそ、レイラをその温泉に入れてあげたいと思ったのだ。
レイラの足のことを心配していたセリナもそれに同意した。
こうして、街に着いた日の翌日、ギルベルトは、レイラを抱いて山歩きをしていたのだ。
そして、その後ろにはニコニコとした表情のセリナも付いてきていた。
「レイラ様、温泉楽しみですわね」
「うん。ギル、ごめんね。松葉杖じゃ、歩けなくて……」
「いや、問題ない。姉さんは、軽くて心配になるくらいだから。宿に戻ったら、美味い物を食べような」
「うん。そうだね」
「ふふふ。それなら、スッポン鍋なるものがよろしいかと」
にやけ顔でそう言うセリナの言葉に、ギルベルトは嫌そうな顔をしながらも念のため確認をするのだ。
「なんだその鍋は? 変な物でも入ってないだろうな?」
「大丈夫だですわ! 元気が出る食材を使った、美味なる鍋らしいですわ!! ぐふふ。それを食べたギルベルト様に夜這いをかければ、既成事実作って、一気に結婚ですわ。ムフフ」
「おい、お前の嫌らしい妄想があふれ出てるぞ。俺はそんな危険な物口にはしないからな」
「まぁ! とっても美味しくて、お肌もプルプルになるというのに……。なら、レイラ様と二人で頂きますわ。ねえ、レイラ様」
話を振られたレイラは、美味しいものは大歓迎だと笑顔で言うのだ。
「うん。美味しい物なら私も食べたい」
「姉さんは、駄目だから。そんな危険な物よりももっと美味いものを食べさせるから」
ギルベルトに反対されてまで食べたいとは思っていないレイラは、ふにゃりと微笑んでそれに頷くのだった。
そんな会話をしつつ、途中で見かけた熊はギルベルトが軽く倒してしまう。
こうして、三人は秘湯と呼ばれる山中の温泉にたどり着くのだった。
もくもくと白い湯気を上げる温泉を見て、レイラとセリナは、歓喜の声を上げる。
「わあ~。広いお風呂だね。それにすごく開放的だね~」
「そうですわね。本当に自然の中の秘湯って感じですわね」
のんきにそんなことを言っている二人に対して、ギルベルトだけは動揺していたのだ。
まさか、隠すものが一つもない、天然すぎる温泉を目の前にしてしまったからだ。
とりあえず、野宿の時に使っているテントと衝立を取り出して設置した。
そして、少し距離を置いた場所に座って二人に向かって言うのだ。
「セリナ嬢、すまないが姉さんのことは頼む。俺は、ここで見張りをしている」
そんなことを言うギルベルトにレイラは首を傾げて言うのだ。
「えっ? みんなで入ろうよ? セリナさんはそれでいいよね?」
「ふえ? っえ……。ええ、もちろん! 私、いつでも準備万端ですわ!!」
思わぬ歓迎ぶりにギルベルトは、頭が痛くなっていた。
しかし、セリナはともかく、レイラの裸体を見て、暴走しないでいる自信がギルベルトにはなかった。
「駄目だ! 姉さん、慎みを持ってくれ」
「つつしみ?」
不思議そうに首を傾げるレイラを見て、セリナは笑ってしまっていた。
以前のレイラにはない、可愛らしい姿に、ほっこりとしてしまっていたのだ。
「まぁ、仕方ありませんわ。二人で温泉を楽しみましょう」
こうして、ギルベルトを残して、レイラとセリナが温泉に入ることとなったのだった。
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