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第一部 第六章
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部屋に入ってきたセリナを邪険に扱うギルベルトに苦笑いをしつつ、レイラは挨拶をする。
「えっと、私はレイラと言います。よろしく?」
「姉さん、こいつに挨拶なんて不要だ。すぐに出て行かせる」
「んまぁ!! 婚約者に対して、なんと冷たい。くふふ。でも、そこかいいんですけど」
セリナの反応に、うんざりした顔をしたギルベルトだったが、反論はしっかりとしていた。
「元だ」
「そんなことを言っていられるのも今のうちですわ。私の魅力で、ギルベルト様をメロメロに……。まぁ、それは置いておいて、レイラ様? 本当に? 生きていらっしゃったのですか?!」
セリナの自由奔放なおしゃべりにギルベルトは、盛大なため息を吐きながらも訂正だけはきちんとする。
「姉さんは、死んだ……。この子は……」
「私は、レイラの生まれ変わりみたいです。なので、私のことはレイラと、呼んでください」
言い淀んだギルベルトの後を引き継ぐように、レイラがそう言うと、セリナは、目を丸くして驚いて見せたのだ。
「まぁ……、そうだったんですのね」
「そういうことだから、セリナ嬢は自分の部屋にお戻りやがれ」
そう言ったギルベルトは、セリナをあっという間に部屋から追い出してしまっていたのだ。
セリナも、再び叫ぶのは愚策だと承知していたようで、その場は大人しく去っていったのだ。
しかし、ギルベルトを単独で追ってきただけのことはあり、翌日、レイラとギルベルトが宿を出たところを待ち構えていたのだ。
「ふふふ。私、お二人について行きますわ!」
「なっ! 付いてくるな!」
「嫌ですわ!!」
ギルベルトが何度付いてくるなと言っても聞く耳を持たないセリナのことが面倒になったのか、途中からギルベルトは、何も言わなくなっていた。
ただし、セリナのことをいないものとして扱ってはいたが。
道中、セリナは、貴族のご令嬢とは思えないような根性をギルベルトとレイラに見せつける。
ギルベルトの馬に付いて来れるのはもちろん、野宿にも文句を言うことなく、ひたすら後ろを付いてきていたのだ。
ただし、独り言にしては大きな独り言を発してはいたが。
そんな根性を見せるセリナをレイラはすごいと感心するのだ。
いつしか、ぐいぐいと距離を詰めてきたことで三人旅のような状態となっていた。
目的の街まであと一日ほどで着くとところまで来ていた三人は野宿をすることになったのだ。
ギルベルトは、いつものようにレイラを膝に乗せて、甲斐甲斐しく世話をしていた。
レイラもそれを何の疑問も持たず、受け入れていたのだ。
ただ、セリナは違ったのだ。
今まで思っていても口には出さなかったが、それでも言わずにはいられなかったのだ。
「あのぉ。私、常々思っておりましたの……。それ、おかしくありません?」
そう言われたレイラとギルベルトは、お互いを見てから首を傾げた。
「えっと、何がおかしいですか?」
「えっ? お気づきではないと?」
レイラの言葉に、セリナは目を丸くして驚いていたのだ。
そして、眉間の皺を伸ばすように指を当てて苦悶の声で言うのだ。
「レイラ様とギルベルト様のそのありようですわ! レイラ様がおひとりで歩けないのは理解しております。ですが、どうしてですの? 休憩するときも、食事をするときも、寝るときも! 何故、常に御姫様抱っこなのです!! お二人は、そういう関係ですの?!」
セリナの言葉に、レイラは首を傾げていた。しかし、ギルベルトは、「ちっ! 余計なことを」と小さく呟いてから、レイラに言うのだ。
「何もおかしなところなんてないさ」
「えっと、そうなのかな?」
「ああ」
レイラをギルベルトが丸め込もうとしていることが見え見えだった、セリナは、すかさず突っ込みを入れるのだ。
「おかしいんですわ!! 普通は、そんな風にはしませんもの!! 恋人同士なのであれば別ですが、お二人は姉弟ですわよね? 姉弟の間で、それはおかしいことですわよ!!」
セリナの言葉に、レイラは目を丸くしてギルベルトの瞳を見つめて言うのだ。
「えっ? これって、変なの? 姉と弟では、こういう風にはしないものなの?」
「いや―――」
「そうですわ!!」
ギルベルトの言葉を遮ったセリナの言葉を聞いたレイラは、愕然としていた。
そして、ギルベルトに決意の籠った瞳で言うのだ。
「私……、独り立ちする!!」
「ね、姉さん?!」
こうして、その日からレイラは、ギルベルトの抱っこを嫌がるようになったのだ。
ただ、歩くことはままならないことに変わりはなかったが、出来るだけ一人で歩こうと、心に決めたレイラだった。
「えっと、私はレイラと言います。よろしく?」
「姉さん、こいつに挨拶なんて不要だ。すぐに出て行かせる」
「んまぁ!! 婚約者に対して、なんと冷たい。くふふ。でも、そこかいいんですけど」
セリナの反応に、うんざりした顔をしたギルベルトだったが、反論はしっかりとしていた。
「元だ」
「そんなことを言っていられるのも今のうちですわ。私の魅力で、ギルベルト様をメロメロに……。まぁ、それは置いておいて、レイラ様? 本当に? 生きていらっしゃったのですか?!」
セリナの自由奔放なおしゃべりにギルベルトは、盛大なため息を吐きながらも訂正だけはきちんとする。
「姉さんは、死んだ……。この子は……」
「私は、レイラの生まれ変わりみたいです。なので、私のことはレイラと、呼んでください」
言い淀んだギルベルトの後を引き継ぐように、レイラがそう言うと、セリナは、目を丸くして驚いて見せたのだ。
「まぁ……、そうだったんですのね」
「そういうことだから、セリナ嬢は自分の部屋にお戻りやがれ」
そう言ったギルベルトは、セリナをあっという間に部屋から追い出してしまっていたのだ。
セリナも、再び叫ぶのは愚策だと承知していたようで、その場は大人しく去っていったのだ。
しかし、ギルベルトを単独で追ってきただけのことはあり、翌日、レイラとギルベルトが宿を出たところを待ち構えていたのだ。
「ふふふ。私、お二人について行きますわ!」
「なっ! 付いてくるな!」
「嫌ですわ!!」
ギルベルトが何度付いてくるなと言っても聞く耳を持たないセリナのことが面倒になったのか、途中からギルベルトは、何も言わなくなっていた。
ただし、セリナのことをいないものとして扱ってはいたが。
道中、セリナは、貴族のご令嬢とは思えないような根性をギルベルトとレイラに見せつける。
ギルベルトの馬に付いて来れるのはもちろん、野宿にも文句を言うことなく、ひたすら後ろを付いてきていたのだ。
ただし、独り言にしては大きな独り言を発してはいたが。
そんな根性を見せるセリナをレイラはすごいと感心するのだ。
いつしか、ぐいぐいと距離を詰めてきたことで三人旅のような状態となっていた。
目的の街まであと一日ほどで着くとところまで来ていた三人は野宿をすることになったのだ。
ギルベルトは、いつものようにレイラを膝に乗せて、甲斐甲斐しく世話をしていた。
レイラもそれを何の疑問も持たず、受け入れていたのだ。
ただ、セリナは違ったのだ。
今まで思っていても口には出さなかったが、それでも言わずにはいられなかったのだ。
「あのぉ。私、常々思っておりましたの……。それ、おかしくありません?」
そう言われたレイラとギルベルトは、お互いを見てから首を傾げた。
「えっと、何がおかしいですか?」
「えっ? お気づきではないと?」
レイラの言葉に、セリナは目を丸くして驚いていたのだ。
そして、眉間の皺を伸ばすように指を当てて苦悶の声で言うのだ。
「レイラ様とギルベルト様のそのありようですわ! レイラ様がおひとりで歩けないのは理解しております。ですが、どうしてですの? 休憩するときも、食事をするときも、寝るときも! 何故、常に御姫様抱っこなのです!! お二人は、そういう関係ですの?!」
セリナの言葉に、レイラは首を傾げていた。しかし、ギルベルトは、「ちっ! 余計なことを」と小さく呟いてから、レイラに言うのだ。
「何もおかしなところなんてないさ」
「えっと、そうなのかな?」
「ああ」
レイラをギルベルトが丸め込もうとしていることが見え見えだった、セリナは、すかさず突っ込みを入れるのだ。
「おかしいんですわ!! 普通は、そんな風にはしませんもの!! 恋人同士なのであれば別ですが、お二人は姉弟ですわよね? 姉弟の間で、それはおかしいことですわよ!!」
セリナの言葉に、レイラは目を丸くしてギルベルトの瞳を見つめて言うのだ。
「えっ? これって、変なの? 姉と弟では、こういう風にはしないものなの?」
「いや―――」
「そうですわ!!」
ギルベルトの言葉を遮ったセリナの言葉を聞いたレイラは、愕然としていた。
そして、ギルベルトに決意の籠った瞳で言うのだ。
「私……、独り立ちする!!」
「ね、姉さん?!」
こうして、その日からレイラは、ギルベルトの抱っこを嫌がるようになったのだ。
ただ、歩くことはままならないことに変わりはなかったが、出来るだけ一人で歩こうと、心に決めたレイラだった。
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