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第一部 第二章
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ギルベルトの魔術展開が素早く行われたため、黒ずんだ箱から放出された黒いマナは薄れたのだった。
しかし、一刻も早く箱の中にあるだろう核を壊さなければ、女性の生命力を媒体にまた黒いマナが作られる可能性があったのだ。
ギルベルトは、一気に箱に駆け寄り、身体強化を最強強度で展開して、鉄製の箱を粉砕していた。
レイラは、思いもよらなかったギルベルトの力技に目を丸くする。
しかし、粉砕された箱の粒子に交じって、ボロボロの布に包まれた何かがポトリと地面に落ちたことに、レイラの意識は向かっていた。
遠目ではあったが、レイラにはその布が何なのか分かったのだ。
それの正体に気が付いていないギルベルトは、不審なぼろ布に眉を寄せて警戒する。
レイラは、ギルベルトに指示を出していた。
「ギル、それは、封印布だ! それをこっちに持ってきて」
聞いたことのない言葉に疑問は浮かんだギルベルトだったが、すぐにぼろ布を持ってレイラの元に戻っていた。
手を差し出していたレイラに、そっとそのぼろ布を渡す。
レイラは、手渡された封印布につつまれた何かを見て眉を寄せる。
「う~ん。厄介だなぁ」
レイラのその言葉にギルベルトすぐに物騒な提案をする。
「それなら、俺が一瞬でこれを砕こうか?」
レイラは、ギルベルト提案にとんでもないと首を振る。
「な、なんて危ないことを考えているんだ君は……。はぁ……。ギルには、教えなかったっけ? 特殊な術式を展開させるのに使う核、魔術核ね。それで、このボロボロの布はそれを封印する封印布だよ。封印布は、中に入っているものの力で封印の力を発揮するんだけど、それを破るには、封印布を傷つけずに、中のものを見通す必要があるんだ……」
レイラの説明を聞いたギルベルトは、眉を吊り上げてレイラのしようとしていることを止めようとする。
「駄目だ! もしかしなくても、魔操術を使って、読み取るつもりだな?! 危険すぎる。彼女には悪いが、これは再封印してしまった方がいい」
血相を変えてそう進言するギルベルトにレイラは首を振った。
「駄目だ。再封印しても、いつこの魔術核を使った術式が展開されるかわからない。これは危険だ。どう見ても危険な術式に見える。だから、術式は解体しないといけない」
「でも!」
「いい子だから、私を信じて任せてくれないかな?」
レイラは、そう言って心底レイラを心配するギルベルトの頬を撫でる。
そして、安心させるようにこう言うのだ。
「いろいろな記憶はないけど、魔術のこと、魔操術の知識だけは豊富だから。お姉ちゃんに任せなさい! って言っても知識があるだけで、魔術は使えなくなっちゃったんだけどね~。でもでも、魔操術はばっちり使えるはずだから!」
そう言って、にこりと微笑むのだ。
何を言っても、もうやると決めたレイラをギルベルトに止めることは出来なかった。
だから、ギルベルトはレイラの横に座り胡坐をかいた。
そして、胡坐をかいた足の上にレイラを座らせて、後ろから抱きしめるようにして、封印布を握るレイラの手をそっと両手で覆ったのだ。
「分かった。姉さんが戻ってこられるように、俺は呼び続けるから。だから、無茶だけはしないでくれ。危険だと思ったら、記録を読んでいる途中でも必ず戻ってきてくれ……。もう、俺の前から居なくならないでくれ……。お願いだ、姉さん」
祈るような眼差しでそう訴えるギルベルトに視線を向けたレイラは頷く。
「うん。約束する。ギルとの約束、絶対に守る。だから私の手、何があっても離さないでね」
「ああ。約束する」
「うん。行ってきます」
そう言ったレイラは、封印布の中に閉じ込められているものに意識を流し込む。
体からレイラの意識が封印布の中のものに流れていくと、レイラは力を失ったようにギルベルトの胸にぐったりと寄り掛かる。
それを見たギルベルトは、きつく眉を寄せて祈るように言うのだ。
「姉さん、気を付けて」
しかし、一刻も早く箱の中にあるだろう核を壊さなければ、女性の生命力を媒体にまた黒いマナが作られる可能性があったのだ。
ギルベルトは、一気に箱に駆け寄り、身体強化を最強強度で展開して、鉄製の箱を粉砕していた。
レイラは、思いもよらなかったギルベルトの力技に目を丸くする。
しかし、粉砕された箱の粒子に交じって、ボロボロの布に包まれた何かがポトリと地面に落ちたことに、レイラの意識は向かっていた。
遠目ではあったが、レイラにはその布が何なのか分かったのだ。
それの正体に気が付いていないギルベルトは、不審なぼろ布に眉を寄せて警戒する。
レイラは、ギルベルトに指示を出していた。
「ギル、それは、封印布だ! それをこっちに持ってきて」
聞いたことのない言葉に疑問は浮かんだギルベルトだったが、すぐにぼろ布を持ってレイラの元に戻っていた。
手を差し出していたレイラに、そっとそのぼろ布を渡す。
レイラは、手渡された封印布につつまれた何かを見て眉を寄せる。
「う~ん。厄介だなぁ」
レイラのその言葉にギルベルトすぐに物騒な提案をする。
「それなら、俺が一瞬でこれを砕こうか?」
レイラは、ギルベルト提案にとんでもないと首を振る。
「な、なんて危ないことを考えているんだ君は……。はぁ……。ギルには、教えなかったっけ? 特殊な術式を展開させるのに使う核、魔術核ね。それで、このボロボロの布はそれを封印する封印布だよ。封印布は、中に入っているものの力で封印の力を発揮するんだけど、それを破るには、封印布を傷つけずに、中のものを見通す必要があるんだ……」
レイラの説明を聞いたギルベルトは、眉を吊り上げてレイラのしようとしていることを止めようとする。
「駄目だ! もしかしなくても、魔操術を使って、読み取るつもりだな?! 危険すぎる。彼女には悪いが、これは再封印してしまった方がいい」
血相を変えてそう進言するギルベルトにレイラは首を振った。
「駄目だ。再封印しても、いつこの魔術核を使った術式が展開されるかわからない。これは危険だ。どう見ても危険な術式に見える。だから、術式は解体しないといけない」
「でも!」
「いい子だから、私を信じて任せてくれないかな?」
レイラは、そう言って心底レイラを心配するギルベルトの頬を撫でる。
そして、安心させるようにこう言うのだ。
「いろいろな記憶はないけど、魔術のこと、魔操術の知識だけは豊富だから。お姉ちゃんに任せなさい! って言っても知識があるだけで、魔術は使えなくなっちゃったんだけどね~。でもでも、魔操術はばっちり使えるはずだから!」
そう言って、にこりと微笑むのだ。
何を言っても、もうやると決めたレイラをギルベルトに止めることは出来なかった。
だから、ギルベルトはレイラの横に座り胡坐をかいた。
そして、胡坐をかいた足の上にレイラを座らせて、後ろから抱きしめるようにして、封印布を握るレイラの手をそっと両手で覆ったのだ。
「分かった。姉さんが戻ってこられるように、俺は呼び続けるから。だから、無茶だけはしないでくれ。危険だと思ったら、記録を読んでいる途中でも必ず戻ってきてくれ……。もう、俺の前から居なくならないでくれ……。お願いだ、姉さん」
祈るような眼差しでそう訴えるギルベルトに視線を向けたレイラは頷く。
「うん。約束する。ギルとの約束、絶対に守る。だから私の手、何があっても離さないでね」
「ああ。約束する」
「うん。行ってきます」
そう言ったレイラは、封印布の中に閉じ込められているものに意識を流し込む。
体からレイラの意識が封印布の中のものに流れていくと、レイラは力を失ったようにギルベルトの胸にぐったりと寄り掛かる。
それを見たギルベルトは、きつく眉を寄せて祈るように言うのだ。
「姉さん、気を付けて」
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