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7章
7.どうしてなのか、わからない。
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私が彼に振り下ろした刃は、
風を切って、
彼の喉元に近づく、
一瞬の事のはずなのに
まるで、永遠のように感じた。
どうして、こうなってしまったんだろう‥
彼は、私にとって患者であり、友人であり、
弟のような存在だった。
可愛らしくて、優しくて‥
いつも、私を想ってくれる。
私は彼が大好きだった。
なのに‥彼は‥彼は‥
私を拉致して、犯した‥
グレンと幸せになれる寸前に‥
今は‥彼が憎くてたまらない。
最低の人‥。
身勝手で、狂ってて、
人を人とも思わない
暴力的な強姦魔‥
‥ても‥でも‥
それは‥私が‥私が‥
私のせいで‥
刃が彼の喉元に触れる。
そして、
ピタリと止まった。
手が震えて、
メスが手から溢れて、
シーツの上に沈んだ。
「……う‥うぅ‥」
私は顔を抑えて、へたりと座りこむ。
…できない‥
私は、彼を殺さないといけないのに
銀のトレイに手を伸ばして
彼が手に取ろうとした注射器を取る。
そして、苦しむ彼にそれを投与する。
これが、
彼を助ける行為なのはわかっているのに‥
ジョザイアの苦しそうな表情は
やわらいで行き、苦しそうな呼吸音は
穏やかな寝息に変わった。
「……………」
私はそれを呆然と眺める。
安心とも不安とも
憎しみとも恐怖ともつかない
感情が渦巻いて、
脳を締め付ける。
‥私は彼を助けてしまった‥
グレンにもう会えないかもしれない‥
また、ジョザイアに犯される‥
もしかしたら、殺されてしまうかもしれない‥
なのに‥馬鹿な真似をしている。
せっかくの逃げれるチャンスだったのに‥
けれど、もう一度
メスを握る気にもなれなかった‥
私はガシャンと檻に寄りかかり
自分の血塗れになった服をみる。
白く、柔らかかったネグリジェは、
彼の血でべっとりと濡れて
ヌルヌルと肌の上を滑り、まとわりつく。
私はジョザイアの寝顔を見た。
穏やかで、美しい。
‥それが憎くて仕方がない‥
彼を生かしてしまうなんて、
自分の甘さに腹が立ってくる。
あんなに酷い事をされたのに‥
絞められた首に、
まだ彼の手の感触が残ってる。
針の掠めた傷から薄く血が滲む。
折られた脚がズキズキと痛む。
膣には、何度も貫かれ
中に吐き出された
感覚が、ずっと残っている‥
恐怖と憎しみが精神を犯していく。
なのに‥殺せなかった‥
勝手に涙が溢れてくる‥
私はジョザイアから一番遠い
檻の端で、横になり、小さく丸まる
そして呟いた。
「‥グレン‥ジェシー‥‥ 」
大切な人達の事を想いながら目を閉じる‥
全てが夢だったらいい‥
私はこの悪夢が醒めたら、
グレンの腕の中に居るんだ。
それから
ジェシーからの電話で、
慌てて飛び起きて‥
グレンと教会に向かうの‥
‥‥いえ、きっと無理ね‥永遠に‥
私はジョザイアに飼い殺される‥
そんな事を考えながら
檻のようなベットの中で
私は意識を落としていった。
風を切って、
彼の喉元に近づく、
一瞬の事のはずなのに
まるで、永遠のように感じた。
どうして、こうなってしまったんだろう‥
彼は、私にとって患者であり、友人であり、
弟のような存在だった。
可愛らしくて、優しくて‥
いつも、私を想ってくれる。
私は彼が大好きだった。
なのに‥彼は‥彼は‥
私を拉致して、犯した‥
グレンと幸せになれる寸前に‥
今は‥彼が憎くてたまらない。
最低の人‥。
身勝手で、狂ってて、
人を人とも思わない
暴力的な強姦魔‥
‥ても‥でも‥
それは‥私が‥私が‥
私のせいで‥
刃が彼の喉元に触れる。
そして、
ピタリと止まった。
手が震えて、
メスが手から溢れて、
シーツの上に沈んだ。
「……う‥うぅ‥」
私は顔を抑えて、へたりと座りこむ。
…できない‥
私は、彼を殺さないといけないのに
銀のトレイに手を伸ばして
彼が手に取ろうとした注射器を取る。
そして、苦しむ彼にそれを投与する。
これが、
彼を助ける行為なのはわかっているのに‥
ジョザイアの苦しそうな表情は
やわらいで行き、苦しそうな呼吸音は
穏やかな寝息に変わった。
「……………」
私はそれを呆然と眺める。
安心とも不安とも
憎しみとも恐怖ともつかない
感情が渦巻いて、
脳を締め付ける。
‥私は彼を助けてしまった‥
グレンにもう会えないかもしれない‥
また、ジョザイアに犯される‥
もしかしたら、殺されてしまうかもしれない‥
なのに‥馬鹿な真似をしている。
せっかくの逃げれるチャンスだったのに‥
けれど、もう一度
メスを握る気にもなれなかった‥
私はガシャンと檻に寄りかかり
自分の血塗れになった服をみる。
白く、柔らかかったネグリジェは、
彼の血でべっとりと濡れて
ヌルヌルと肌の上を滑り、まとわりつく。
私はジョザイアの寝顔を見た。
穏やかで、美しい。
‥それが憎くて仕方がない‥
彼を生かしてしまうなんて、
自分の甘さに腹が立ってくる。
あんなに酷い事をされたのに‥
絞められた首に、
まだ彼の手の感触が残ってる。
針の掠めた傷から薄く血が滲む。
折られた脚がズキズキと痛む。
膣には、何度も貫かれ
中に吐き出された
感覚が、ずっと残っている‥
恐怖と憎しみが精神を犯していく。
なのに‥殺せなかった‥
勝手に涙が溢れてくる‥
私はジョザイアから一番遠い
檻の端で、横になり、小さく丸まる
そして呟いた。
「‥グレン‥ジェシー‥‥ 」
大切な人達の事を想いながら目を閉じる‥
全てが夢だったらいい‥
私はこの悪夢が醒めたら、
グレンの腕の中に居るんだ。
それから
ジェシーからの電話で、
慌てて飛び起きて‥
グレンと教会に向かうの‥
‥‥いえ、きっと無理ね‥永遠に‥
私はジョザイアに飼い殺される‥
そんな事を考えながら
檻のようなベットの中で
私は意識を落としていった。
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