My Dr -貴女は僕の全てになった、だから貴女から僕以外の全てを奪おう

創作屋 鬼聴

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7章

5.狂気と愛のロボトミー

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鉄格子に囲まれたベットの上、
ジョザイアは、私の胸の上に跨って、
眼窩に針をむける。

「…アイリーン‥大好き‥
痛くしないから‥いい子にしてね‥
僕のものになって‥?」


アイスピックの様なそれは、
鋭く光り、今にも目に触れそうなほど近い。


彼の狂気に染まった表情は
今にも私の目を針で突き刺してしまいそうだった。

無意識に身体が震え、

涙がシーツを濡らす。


「やめて‥!やめて‥ジョザイア‥」


私が懇願しても、
彼は微笑み、針を振り上げる。



「‥ひっ‥!!」


そして、針を思い切り振り下ろした。



「きゃああ!!!!」




ドスッ-



針は私のほおを掠めて、
まくらに突き刺さった。

ほおに鋭い痛みが走る。

羽毛が舞って、
彼はまた、針を振り上げる。

その瞬間、
少しだけ、身体が離れ、
私はその隙に彼の手を勢いよく振り払い、
抵抗し必死で腕から逃れた。


腰が抜けて、這いずる様に、
檻の端まで逃げる。



ガシャガシャとドアを揺らすが、
檻のドアはもちろん空いていない。


「うぅ‥あぁ‥もう嫌だ‥もう嫌‥」


後ろから彼の動く気配がする‥
ズキズキと痛む傷を抑えて、檻を背に叫ぶ。



「ジョザイア‥!!もうやめて‥!!」


恐怖し、ガタガタと震えながら、
汗で濡れた鉄格子を握りしめる。


彼は私を見ながら‥ゆっくり立ち上がる。


そして、

一歩、また一歩と近づいてくる。



‥来ないで‥来ないで‥!!


いくら願っても、

彼の歩みは止まらない。



「おねがい‥っおねがいっっ!!
やめて‥!
‥これからはっっ‥言うことも聞くからっ
‥おねがい‥やめて‥!」


私は必死で命乞いをする。

‥このままでは、殺される‥!!
嫌だ‥!!嫌だ‥嫌だ‥


嫌な汗が流れて、
身体が震え、涙で視界が滲む。


そしてまた、彼は針を振り上げ、
私に向かって突き下ろす。


針がヒュンと音を立てて、

顔の真横を通り過ぎ、ベットに深く突き刺さる。


「ひっ!!やめて‥!!やめてっ‥」


私は泣き叫びながら、
小さな檻の中を逃げ回る。

彼に折られた脚がジンジンと痛んできて、
うまく動けない‥

逃げ回っても、針を避けても、
また彼は何度でも、私に襲いかかってくる。

‥もう‥何もかも絶望的だった。



「アイリーン、アイリーン‥‥
避けないで‥
大人しく、僕の愛を受け取ってよ?
いい子にしてくれないと怪我させちゃうよ ‥
ふふふっふふふっ‥」


なにが‥"怪我させちゃう"だ‥
‥この狂人‥!!



薬のせいか彼はフラフラと倒れこむように
腕を振り下ろし、私にまた襲いかかってきた。

ドスッと針はベットに突き刺さり、
ベットには無数の穴が空く。
私は檻に身体をぶつけながら
何度も避ける。



「ひぃっ‥ひぃっ‥やめて‥やめて‥!
ジョザイアぁ‥!ジョザイア‥」





彼は針を自分のほおに滑らせ、
またジリジリと近寄ってくる。

薬のせいなのか、
足取りはフラフラとしていて、
銀色の眼は虚ろになり、
狂気じみた笑顔を浮かべている。




「アイリーン‥アイリーン‥
僕はまた、
二人きりの世界を取り戻したいだけなんだ‥
僕だけの可愛いアイリーン‥」



彼は再び、針を振り上げる。


彼はもう、すぐ目の前まで来ている。

檻と彼に挟まれ、もう逃げ場がない‥


‥殺されるのは嫌‥グレンに会いたい‥


それだけを考えて、
私はある覚悟をきめ、彼に近づく。

握りしめた手は汗ばみ、震える。


「…ジ‥ジョザイア‥あ‥あなたは
私を従わせたいんでしょ‥?
私を‥犯したい‥のよね‥」



身体が声が震える。
自分の心臓がバクバクと鳴るのが聴こえる
冷汗が、涙が止まらない‥


私は彼の空いた手を取って
自分の胸にあてがった。


彼の指が胸に食い込んで、私はビクリと震える。


何度も、行為の最中に弄ばれた胸に
彼の手が触れるだけで、

今までされた陵辱が蘇るようだった。

拘束され、彼のモノが私の中に無理矢理
押し込まれるあの感触‥
あの水音、嬌声‥
あのむせかえる様な甘い匂い‥

えぐられて、擦られて、
何度も達させられて、何度も中に流し込まれた‥

怖くて‥悲しくて‥仕方なかった‥
もう‥あんなのは嫌‥
でも、やるしかない‥


「…しても…いいからっ‥
言うことも聞く‥から‥」


決死の思いでそう告げた。
殺されて、グレンに逢えなくなるのなら、
少しくらい‥耐えてみせる‥

あと少し待てば
きっとグレンは助けに来てくれる‥


きっとジョザイアだって、これで満足でしょ‥


そう思って顔を上げると、
彼は涙を滲ませ、悲しそうに顔を歪めていた。


「えっ‥?」

 
‥どうして‥?

すると、彼は頭を抱え
ヒステリックに叫び出す。


「‥違う‥違う!!」



彼は私の手を払い除け、

そのまま私の首に手を掛け、締め上げると、

檻に叩きつけた。

ガシャンと大きな音がして、
背中に激痛が走る。

そして、彼は叫ぶように振り絞るように
悲痛な声を上げる。


「僕は‥

僕は‥‥貴女に愛されたいだけなのに!!!

なんでそんなこと言うの?! 
そんなの嬉しくない!!欲しくない‥!!


犯しても‥犯しても‥意味がない‥
‥満たされない‥!!


いくら身体を重ねても‥
どんなに愛してるって伝えても‥

あんたは違う男の名前を呼ぶから‥!!



気持ち良くても、愉しくても‥



‥虚しい‥悲しい‥‥」



彼は泣きながら、
ギリギリと首を絞める。


私の頭には、恐怖に混じって
彼を憎む様な憐れむような感情が
グルグルと取り巻いていた。


「受け入れてよ‥僕のこと‥
‥僕だけ見て‥愛して‥それだけでいい‥

それだけで‥」


そう言うとパッと手を離し、
私はベットに倒れる。


「ゲホッゲホッ‥けほっ‥」


喉が焼けるように苦しく、
私は激しく咳き込む。

それを見ながら彼は、
自分の腕に刺さりっぱなしになっていた
注射器を抜いて、
私の枕元に投げ捨てると

そのまま私を組み敷いて、
顎を抑え、無理矢理に唇を合わせる。


舌を挿れ、蹂躙し、
口を犯すような、いつも通りのキスだった。


「ふっ‥んぁ‥んん!!んっー‥!」


口元から唾液が漏れて、
唇が離れる。
すると、彼は私の口を手で塞いで、
恍惚と嗤う。


「アイリーン‥アイリーン‥
頭の中‥全部掻き回して‥壊してあげる。
‥そうすれば、僕らはまた‥愛し合える‥ 」


彼は針をまた、こちらに向け、構える。


「んっーー!!んん‥!!」


もう、逃げられない。
もう、諭すこともできない。


 
私は壊され、彼のものにされる。



目頭が熱くなって、
勝手に涙が溢れる。

それを見ると、
ジョザイアは少し、悲しそうな顔をする。

銀色の眼からは血が流れ
ボタボタと枕元に落ちて染みていく。



「‥仕方がないんだ‥

こうでもしないと‥好きになってもらえない‥

僕なしでも生きていける貴女なんか
見たくない‥


アイリーン‥愛してるよ‥




ごめんね‥」






小さく呟かれた謝罪に
私は止まる。


そして、針は風を切り
ヒュンと音を立ててこちらに降り突き刺さる。




そして、私は赤く染った。
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