My Dr -貴女は僕の全てになった、だから貴女から僕以外の全てを奪おう

創作屋 鬼聴

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4章

3.プロポーズ《グレン目線》

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俺とアイリーンは高層ビルの60階。
豪華なレストランで食事をとっていた。

高い天井からは巨大ながらも
上品なシャンデリアが下げられていて
壁の一面がガラス張りになっていている。

席に座るとそこから夜の街が
輝くのが見えた。

が、頑張りすぎただろうか‥
いやプロポーズするのにこれくらいやるのは
当然のはずだ。

白いテーブルクロスの向こう、
俺と向かい合って座るアイリーンが見える。
彼女の深い色の肌に青いドレスが映えて、
まるで絵画の様に彼女は美しかった。

彼女は運ばれてきたローストビーフを
ハムハムと頬張っている。
‥可愛い‥

「ねぇねぇ、グレン!これ美味しいわよ!
食べないの?」

「え、ああ、食べるよ」


俺は食事を口に運ぶ、
そして、いつも通り彼女と会話を交わす。
彼女との時間はとても心地良くて、
俺は好きだった。


‥‥それはそうなんだが‥


いつ言えばいいんだ!!??

プロポーズって
どのタイミングで言うべきなんだ?!


‥落ち着け、俺。このままだと
ただ楽しく食事して終わるぞ‥
スマートに振る舞え。
ふられることは無いんだから‥


‥ないか‥?

本当に‥?


彼女はモテるぞ?
本人は気づいて無いが、この前の
ジョザイア・マクベインだってそうだったし、ハイスクール時代にも沢山‥

いや、いや!
俺はもう彼女と婚約してるんだ!
何を心配することがあるんだ!
大丈夫だ‥


俺はフーッと息を吐く。

俺は覚悟を決めてアイリーンを見据える。



よし‥



「あの、アイリーン‥」



そう俺が言いかけると、

「あっ!見てグレン!モンブラン!
楽しみにしてたのよねー。」

ウェイターが、
モンブランとショートケーキを運んできた。


ッッッ……!!!


嘘だろ!なんで今なんだ!!?
やっとの思いで言えるところだったのに!


俺が悶々としていると彼女がモンブランを
一口スプーンに乗せて、
それで俺の口をツンとつつく。


「グレン、これ美味しいわ、少しあげる」


俺はそれを口に含むと、
彼女は嬉しそうにふわりと微笑む。


彼女の笑顔を見ると思う、

ああ彼女は
優しくて、純粋で、本当にあたたかい。
まるで小さな少女みたいだ。

俺が何としてでも護りたい。

誰にも傷つけさせはしない。

俺はそう思って、
プロポーズに踏み込んだんだ。




「アイリーン。」


俺はアイリーンの手をとる。


「なぁに?」


彼女は首をかしげる。これから起こること
なんて考えてもみないんだろう。


「俺と結婚してくれ。」


俺は、指輪を渡し、そう告げる。


暫くの静寂。
彼女は目を丸くして、俺を見る。
そして、ポロポロと泣き出してしまった。


「あ‥アイリーン?」


心配になって席を立ち彼女の顔を覗き込む。
すると、彼女は言う。


「うっ‥ごめんなさい‥すごく、すごく

‥嬉しくって‥!」



彼女は涙を流しながら笑い、
俺に抱きつく。

 
「そのプロポーズ、お受けします‥!

グレン、愛してるわ、心の底から‥」


その言葉を俺は噛み締める。

これは俺にとって‥
人生で最良の選択だと確信してた。


‥こうして、俺のプロポーズは成功した。



帰り道、指輪をつけた彼女が笑いながら話す。


「私に、振られるかもって思ってたの?
ふふふっありえないじゃない!」

「だって緊張してたんだ。
それに君、泣きながら『ごめんなさい』
なんて言うから‥」

「ふふふっ!ごめんね!だって嬉しくって!」


彼女は俺の腕をとり、悪戯っぽく笑う。

「ねぇ!婚姻届いつ出す?」

「早ければ明日にでも出したいな。
仕事終わりに行くことになっちゃうけど」

「いいわね!私、明日は早あがりなの!
丁度いいわ!」

「あー俺は夜まであるな‥サボろうかな‥」

「こらこら!待っててあげるから!」


そんな会話をしていると前から男が歩いてきた。


金髪のオールバックで白いスーツの男。


それは、


ジョザイア・マクベインだった。


彼は、俺とアイリーンの前に立つと、
声をかけてくる。

「やぁ‥奇遇だね。
こんなところで会えるなんて‥」

何かがおかしかった。
別に、表情とか、振る舞いとかが
奇妙なわけではないのに。

こいつが声を出すたび、
空気が震えているのを感じる。
ヒヤリと冷たい何かを感じる。

グロテスクで真っ黒で吐き気を催すような‥
グチャグチャとした何かが奴の中に
蠢いている気がした。

「アイリーン先生と‥誰かな‥」

奴は俺を覚えてはいないらしい。
何回か俺も奴のカウンセリングをした筈なのだが眼中にも入っていなかったみたいだ。

俺はアイリーンとジョザイアの間に立ち、
話を続ける。早く彼女と立ち去らなければならない。そんな気がした。

「俺は、グレン・マッカーディだ。
精神科医。何度か会ったことがあるはずだが?」

「そうだっけ‥?
まぁよろしく‥グレンくん。」


奴は黒い手袋をした手を俺に差し出す。


「‥‥」


奴は酷く不気味に笑みを浮かべながら、
無言で俺を見据え

握手をした。

こいつと握手する日が来るなんて
思わなかった。


「アイリーン先生は今から帰るの?」


そうジョザイアは聞くと答えも待たずに、
アイリーンを自分の腕の中に強引に引き込む。

「もし、そうなら僕が送るよ。
今日は車で来てるしね。」

奴は手袋を外し彼女の後ろ髪を撫でて整える。
チラリと

俺は、彼女が危ないと思い、
彼女を此方に引き戻した。


「いや、結構だ。俺が送る。」


俺がそう言うと、ジョザイアは


「‥そう。」


とだけ言って去っていく。
思っていたよりあっさりと諦めたのが、
逆に酷く不気味に思えた。


‥だが、俺が今気になっているのは、
アイツではなく、アイリーンだ。


さっき、ジョザイアが彼女の髪に触れた時、
見えた気がした。

彼女の首筋に





それは紅く、
艶っぽく彼女に溶け込むような…
意図してつけられたもの。

いや‥きっと見間違いだ。ありえない。

アイリーンは俺の隣で
ジョザイアの背を見ていた。


そして、


「ジョザイア!気をつけて帰るのよ!
車は危ないんだから!」


と言って手を振っていた。

危機感ってものがないのか‥この人は。

やっぱり、彼女はなんだか危なっかしい。
俺が護ってあげないと。


そう、左手にはまる指輪を見て想った。

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