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2章
4.訪問
しおりを挟むああ‥やってしまった。
穴があったら入りたい‥
私は昨日、繰り返すフラッシュバックに
耐えられずにグレンの胸でわんわん泣いてしまった‥
大の、大人が、人前で、、、
ああもう!なにやってるのよ!
確かに辛くてしょうがなかったけど‥
「ぁあ…もっとしっかりしないと‥!!」
妹のジェシーにも心配をかけてしまう。
幸いジェシーはあの現場を見ても
私の様になることはなく逆に
犯人を捕まえてやると息巻いているらしい。
グレンにもジェシーにもジョザイアにも
心配をかけたくない。
早く立ち直って仕事に行かないと。
気丈に振る舞わないと。
でも今日は休めって
グレンに休みにさせられたのよね‥
急ぎの仕事が終わったらすぐ行くって
グレンは言ってたけど……
…暇ね。
グレンが来るまでどこかに行こうかしら。
外は晴れているし…
本屋さんとか、博物館とか、美術館もいい。
リフレッシュにはきっといいはず。
そんな事を考えながら窓の外をみると
私の家の玄関に人がいた。
それは不思議な雰囲気の美青年だった。
長身で筋肉質ながらスラリとした体格。
黒いタートルネックに
オフホワイトのスキニージーンズ。
端整な顔に、グレーの瞳。
サラサラとしたプラチナブロンズの髪は
少し崩れたオールバックになっている。
彼は長い睫毛を伏せながら、
私の家の玄関前で佇んでいる。
ちょっと独特感じで綺麗な人だなぁ‥
でもこんな人、近所にいたかな?
私はソファから立ち上がり、玄関に向かう。
「あの‥なにか、うちにご用ですか?」
私がそう彼に話しかけると、
彼は此方をバッと見て、私に笑顔を向ける。
「あ!アイリーン先生っ!おはよう!」
「ん?先生?」
その青年はポカンとする私に、
軽いハグをしてから愛おしそうに私の髪を撫でてそのまま私の頰を大きな手で覆う。
「うーん‥
ちょっとは顔色良くなったかなぁ‥」
彼は私の顔をまじまじと見る。
私も彼の顔をよく見た。
あ、ジョザイアだ。
「えー、先生もしかして僕がわからなかったの?髪型が違うだけだよ?ひどいなぁ」
「ああっ、ごめんねっ、
ちょっとイメージと違ったから‥
ジョザイアって普段、整髪料とか使うのね。」
「あー、これは、仕事仲間に少しは
しっかり決めろとか言われて」
「しっかり?‥ふふっ、ジョザイア、
ちょっとこっちきて?」
私は少し背伸びしてジョザイアの
乱れたオールバックを撫でて直す。
「うん、かっこ良くなったわ!」
「ん、あ、ありがと‥アイリーン‥先生」
彼は少し顔を赤くする。
髪が乱れてたのが恥ずかしかったみたい。
「先生は今日はお休み?」
「ええ、そうよ。」
「へぇ‥そうなんだ。いいね‥。」
ジョザイアは妖しく笑う。
「じゃあたっぷり休まないと!
今日は僕が先生のお世話してあげるね」
「えっ?いいわよそんなの!
恥ずかしいもの!」
私がそう言ってもジョザイアは
私の背中を押して部屋に戻すと、
一緒に部屋に入ってきて
内側から鍵をかける。
どうやら私は彼の
お世話になるしかないらしい。
ため息と一緒に笑みが溢れた。
「もう、しょうがないなぁ。ジョザイアは」
ジョザイアはやっぱり優しい。いい子だ。
患者に慰められて少し恥ずかしいけど、
たまには彼の厚意に甘えてもいいかもしれない。
あれ、そういえば‥なんで
彼は私の家を知ってるんだろう?
教えたかしら?
そう私が考えるのを遮るように
ジョザイアは声を弾ませる。
「ねぇ!先生!
今日は僕がご飯作ってあげる!
キッチン借りていい?」
「うん、いいわよ」
「じゃあ、アイリーン。
ちゃんとここでいい子にしててね?
どこにも行かないでね。」
「?‥うん、出かける予定は無いわよ?」
彼は私をソファに座らせてキッチンに向かう。
私には、もう一つの疑問。
ジョザイアって料理できるのかしら?
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