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ヒロセと、モロコシの収穫パーティー2

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 「もうヒロセ、遅いよー」

 「遅いですー」

 「スラスラー」

 俺が遅れて屋上のモロコシ畑前に行くと、ちみっこ妖精、スラちゃん、ナコから遅いよーと言われた。

 ちみっこ妖精なんか俺の頭上を旋回しまくっている。スラちゃんも俺の足をぷにぷにふにふにと攻撃している。

 いや、みんな早いな。元気いいな。俺なんか眠たすぎるぞ。。

 「すまん、みんな。みんなは早いなー」

 「ヒロセが遅いんだよー」

 「すまん、すまん」

 「もうー」

 もうーと言いながらちみっこ妖精がめっ、としてくる。相変わらず、ちっこかわいいやつだ。暗くてよく分からないけど。
 
 パンパン。

 「はいー、みんなじゃれ合っている場合じゃないですわ。これからモロコシの収穫ですわよー」

 「やっとですー。お世話を頑張った甲斐あったですー」

 ナコがしみじみと言う。そうだなー。今回モロコシが収穫できるのは、シアはもちろんナコがモロコシの世話を頑張ったからだ。

 「ナコ頑張ったな、よしよし」

 頑張ったナコの頭を俺はよしよしと撫でた。畑の世話が家賃の代わりとはいえ、頑張ったらよしよしは必要だ。

 日本で残業しまくって頑張ってた時、誰もほめてくれなかったな。あれはきつかったぞ。それどころか、給料払ってんだから残業して当然だとか言われた。残業には給料でてなかったんだけどな。。

 「気持ちいいですー」

 ナコは目を細めて気持ちよさそうにしている。暗くてよく見えないけどな。

 「あー、ずるーい。わたちもよしよししてー」

 「収穫頑張ったら、よしよししてやるぞ」

 「ほんとー」

 「ほんとーだ」

 パンパン。

 「はーいですわー。よしよしはその辺にしてモロコシを収穫するですわー。もう、何度も言わせるなですわー。モロコシの収穫は時間との勝負ですわー」

 わいわいきゃっきゃと俺たちが騒いでたら、シアがいい笑顔でそう言ってきた。……、やばいなこれ以上やったら、今日二度目のミチミチミチが待ってるぞ。

 「よ~~~し。収穫頑張るぞー」

 「「お~~~」」

 「スラ~~~」

 「まったく、ですわー」

 ◇

 「シア、モロコシって全部とっていいのか?」

 俺はふと思ったことを聞いてみた。いくらモロコシが収穫時期とはいえ、全部が全部いっしょではないだろ。

 「そうですわねー。モロコシの実についてるヒゲがこげ茶色になってるやつを収穫ですわー。茶色ではなくて、こげ茶色がポイントですわ」

 「こげ茶色かー。なかなか難しいな。暗くてよく見えないけど、なんとかやるかー」

 「やるですわー。頑張るですわー」

 「よ~~~し、やるぞー」

 茶色、茶色、スルー。

 こげ茶色、こげ茶色、もぎもぎ。

 茶色、茶色、スルー。

 こげ茶色、こげ茶色、もぎもぎ。

 こげ茶色、こげ茶色、もぎもぎ。

 …………。
 
 ……。

 …。

 茶色、茶色、スルー。

 こげ茶色、こげ茶色、もぎもぎ。

 「おー、結構とれたなー」

 俺は持っている収穫用のかごの中を見た。中には、ごろごろとモロコシがたくさん入っている。まだ、葉っぱにくるまってるのでおいしい黄色の粒粒は見えないけど、ごくり。

 想像しただけで唾液があふれそうだな。。

 「ヒロセー、取れたー?」

 俺がモロコシをむしゃる想像をしてたら、ちみっこ妖精とスラちゃんがやってきた。スラちゃんは何やらずるずると袋を引っ張っている。

 「おおー、取れたぞー。それより、スラちゃんは何を引っ張ってるんだ?」
 
 「スラー、スラスラ―」

 「わたち重いもの持てないから、スラちゃんにモロコシ持ってもらってるのー」

 「おおー、すごいなー。よしよし」

 俺はスラちゃんによしよしした。

 「スラ~~~」

 スラちゃんは気持ちよさそうにふにふにぷにぷにしている。

 「ヒロセー、わたちもモロコシ収穫頑張ったんだよー。わたちじゃあ、モロコシもげないから、スパッと風の魔法で切ったんだよー」

 「おおー、ちみっこ妖精もすごいなー」

 俺はちみっこ妖精によしよしした。

 「えへ~~~」

 ちみっこ妖精は気持ちよさそうにえへえへしている。

 俺たちがそんことをしていると、

 「みんなー、集合ですわー。もうそろそろ今日の収穫は終了ですわー」

 シアがみんなを呼ぶ声が聞こえた。

 「よし、二人とも行くぞ」

 「分かったよー」

 「スラ~~~」

 ◇

 いっぱいとったぞーって、シアのところに行ったら、シアとナコはもっといっぱいとっていた。

 かご、いっぱいでよろこんでたら、二人はかご、いっぱいがいっぱいだった。

 で、俺がくそーっと言ってたら、シアがよしよししてくれた。
 
 ふむ。これも悪くないな。

 

 
 そんなこんなで、俺はよしよしされながら日の出を迎えたのだった。

 「ヒロセー、ずるーい」
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