ドランリープ

RHone

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1章 D Dream of Tail

オープニング 『ユーステル・アルスレーイの既視感』

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 時たまに見る夢は、いつも奇妙に私の心に余韻を残す。
 言葉を借りればデジャウ、いつかどこかで見た事のあるはずの光景。
 あるいは啓示?
 どこかに囚われた者が繰り返し願う救いの声。
 または予知夢?
 いずれで出会う事になる一時を垣間見ているのか?

 何度も繰り返し見る夢は、私の心を何故か不思議と揺り動かす。

 私にはそんなウィザードの素質はないはず。
 ウィザード……魔法使いの素質は遺伝だと聞いた事がある、私の先祖に素質があった人がいたという話は聞いた事がない。

 この夢は呪いとか、私自身には関係ない何か別の、強引な力の所為ではないのだろうか?
 そうであって欲しい。
 あの夢を見ると切なくなる。
 またあの夢を見たと思い出すとぞっとしてくる。
 そうやって私の心を強く束縛する。

 その日もそう。
 今更夢で見なくても、何度も反芻してそれがどんな夢なのか分かっているのに。
 まるで釘を刺すように私は、久しぶりにその夢を見た。

 龍がさらって行く。
 誰か、少年か?
 龍と思える何者かがそれを腕に掴み、空を泳ぎどこかへと。

 何故かは解らないけれども私は、その少年を助けなければならないと思う。
 焦っている。
 とてもとても。
 姿も顔も、声も名も、何もかも知らないその少年を救うために私は、龍を追いかけている。

 そんな、夢。


 長い長い人類の歴史の中で……それは、唐突に繰り返される。


  龍と眠りを共にする者は、とこしえを知る
  その大きな体を、世界に架けて
  見えざる翼で全てを跨ぐ
  力を込めた宝玉を持ちては、待ちわびる
  龍の最後が極東で、始まりへと繋ぐ


 呪いの預言は告げられた。

 行かなくちゃ。
 夢を見るたびにそうやって、急かされている気がする。
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