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薄れゆく記憶の中で

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僕(私)はこの声を知っている。そう、この声は…あの人だ。
今じゃもう名前も顔も思い出せないけれど、僕(私)が愛したあの人に違いない。

とは言え、もちろん確証なんてない。けれど、この胸の鼓動で分かるんだ。
あの人を見るたび、鼓動が早くなって、何度も何度も深呼吸をしては平常心を装っていた事、それだけは覚えている。

僕(私)の記憶がだんだんと薄れてきて、やがてゼロになるその前に、これだけは伝えたい…

「月が綺麗ですね」
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