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休日の過ごし方【上】

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 ようやく訪れた定休日。
 結婚披露パーティーに向けて、私たちにはやるべきことが山積みだ。

「むぐむぐ……、パーティーの日程はいつにしましょう? 希望はありますか? ――はむっ」

「んぐ……。店の都合もあるだろう、俺のほうは融通が利くからリズに合わせる。それと、今日の食事もとても美味い。いつもありがとう」

「えへへへ」

 朝食の時間さえ無駄にすることなく、パンとスープを頬張りながら打ち合わせを進める。
 ヨルグは私と結婚したことで想いを隠す必要がなくなったからか、余計な緊張が抜けてストレートに気持ちを伝えてくれるようになった。
 こんなに素敵な人の奥さんになれてよかったと実感する毎日だ。

「それならお店の定休日に合わせるとして……、むぐむぐ……んっく。来週の定休日とか? ねえ、おじいちゃんはどう思う?」

 テーブルの向かいでパンを片手に新聞を読んでいたおじいちゃんは、新聞から視線を上げ、相変わらずのムスッとした表情でこちらを見た。

「来週じゃあ準備が追っつかねえだろう」

「それなら再来週は?」

「ま、妥当なとこだな。……ったく、せっかくの休日だってのになんで二人してに来てやがんだ」

「?? 朝はこっちで食べるって決めたじゃない」

 毎朝来ているというのに、今さら何が問題なのだろう? 首を傾げる私の隣で、ヨルグがハッとしたように腰を浮かせる。

「っ――! 休みの日にまで押しかけてしまってすみません! 俺がいては休まりませんよね!」

 慌てて席を立とうとするヨルグに向けて、おじいちゃんは煙を払うみたいにバサバサと手を振った。

「やめろやめろ、ばか言ってんじゃねえ! せっかくの休日くらい、じいさんの顔なんざ見てねえで二人で過ごしたらどうだっつってんだ」

 おじいちゃんの発言にきょとんと目を瞬く。まさかおじいちゃんが、そんなことを気にかけるとは思わなかった。
 椅子に座り直したヨルグは少し考えるような素振りを見せた後、私に向いて言った。

「それなら、今夜はどこか……外で食事するのはどうだろう?」

「いいですね! ヨルグさんと一緒に夕食なんて久しぶり!」

 遅くに帰るヨルグの意向もあって、普段はヨルグの分を取り置いたうえで、先におじいちゃんと夕食を済ませてしまう。
 一緒に夕食を食べるなんて、デートのとき以来ではないだろうか。

「おじいちゃんにも美味しいもの買って帰るわね!」

「俺ぁ俺で適当に済ませるから気にすんな」

 いらないと言われようとお土産は買って帰るつもりだけれど、それを言っても押し問答になるだけだろう。
 空になった食器を手に、すっくと席を立つ。

「さあ、そうと決まれば今日はやることがいっぱいですよ! ――ヨルグさんはまず、忙しくて後回しにしちゃってた実家へのお手紙を書きましょうね!」

「ああ、そうだったな……」
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