不能だと噂の騎士隊長が『可能』なことを私だけが知っている(※のぞきは犯罪です)

南田 此仁

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61~70話

その先に――【上】 ※

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「ひぁっ――!」

 衝撃に、まぶたの裏がチカッと瞬く。
 ようやく待ち望んだものが与えられたかのように、身体の奥が熱く鼓動する。
 しかしムズムズは消えるどころかいや増して、波のような衝動となってもっともっとと打ち寄せはじめた。

「やっ……、足りな……っ! もっと、もっといっぱ……いぅっ、あぁ……っ!」

 膨らんでいくムズムズに耐えきれず身をよじりながらねだると、心得たとばかりに二度、三度と深く突き上げられた。

「っは……!」

「んんっ! ヨルグさっ……、気持ち、い……っ!」

 ぐりぐりと奥に押しつけては、再びギリギリまで引き抜いて一気に貫かれる。

 繋がれた両手、ゴツゴツした筋肉の境目を流れ落ちる汗、抽挿の動きに合わせてグッ、グッ、と盛り上がる腹筋。
 ――自分でも届かないほど奥深くに、ヨルグが触れている。

 見上げた視界は一面ヨルグに覆われて。
 何かに耐えるように眉根を寄せ、熱っぽく細められた双眸がじっと私の反応を追う。
 すべてを暴かれてしまいそうで恥ずかしいのに、目を逸らすことができない。
 赤く上気した目元、獣のような荒い息遣い。チラリと唇を舐める舌の動きを無意識に追って、ゴクリと唾を飲む。

 普段の穏やかなヨルグからは想像もできないほどの情熱的な姿。
 遮るもののない二人きりの空間で、覗き見ていたとき以上の熱が私だけに向けられている。

 ムズムズの表面がパシパシと弾けて、愛情があふれ出す。
 気持ちいい。
 気持ちいいのに。

 満たされていくようでいて、なぜか強まっていく渇望。
 もう少し。もう少しで何かに届きそうな――!

 激しさを増す瞬きの正体に手を伸ばしかけた瞬間――ヨルグの動きが止まり、ドプッと温かさが広がった。

「く――ぅっ! ……っは、っ……、すまない……」

「はぁっ……、んはっ……、な……んで、謝るんですか……?」

 衝動の余韻で腰が弾む。
 掴みそこねた瞬きが遠のいていくような名残惜しさよりも、お腹の奥に染み込む温もりへの愛おしさが勝る。
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