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61~70話
誓いの儀式【中】
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おじいちゃんはすでに朝食を済ませていたらしく、新聞片手に淹れたてのお茶をすすっている。
たっぷりとジャムを載せたパンを頬張っていると、ヨルグが言った。
「今日の日中、どこかで時間を取ってもらえないか?」
「むぐ……っ! お昼のピークを過ぎれば多少手が空きますけど、何かあるんですか?」
「教会で誓いを立てたい」
「!!」
それはつまり、正式に婚姻を結ぶということだ。
貴族も同じかどうかはわからないけれど、庶民の結婚は教会で誓いを立て、その後親しい人を自宅に呼んでささやかなパーティーを開くのが一般的だ。
パーティーは教会に行った当日だったり、後日だったり。もちろん誓いを立てるだけでパーティーをしない人もいる。
「披露パーティーについては後日十分に準備したうえで行うとして、教会へは今日のうちに行っておきたい。昼過ぎに一時仕事を抜けてくる、それでいいだろうか?」
「は、はいっ!」
咄嗟に承諾してしまってから、お店を抜ける許可を取っていなかったことに気付き『大丈夫よね?』とおじいちゃんを見る。
おじいちゃんは読み終えた新聞を伏せて老眼鏡を外すと、いつも通りの怒ったような表情で言った。
「教会なんざ目と鼻の先にあんだ、朝のうちに行ってきちまやぁいい」
「えっ? でも開店準備をしないと……」
「三人がかりでやりゃあすぐ終わんだろ。今日は『朝一の客』も来ねえんだ、とっとと終わらせてさっさと行ってこい」
掃除を請け負ってくれたり重いものを運んでくれたりと、ヨルグの大活躍によってあっという間に開店準備が終わった。
あとは順次焼き上がるパンを棚に並べていくだけ――という段になると、それくらい一人でできると言っておじいちゃんにお店を追い出された。
たっぷりとジャムを載せたパンを頬張っていると、ヨルグが言った。
「今日の日中、どこかで時間を取ってもらえないか?」
「むぐ……っ! お昼のピークを過ぎれば多少手が空きますけど、何かあるんですか?」
「教会で誓いを立てたい」
「!!」
それはつまり、正式に婚姻を結ぶということだ。
貴族も同じかどうかはわからないけれど、庶民の結婚は教会で誓いを立て、その後親しい人を自宅に呼んでささやかなパーティーを開くのが一般的だ。
パーティーは教会に行った当日だったり、後日だったり。もちろん誓いを立てるだけでパーティーをしない人もいる。
「披露パーティーについては後日十分に準備したうえで行うとして、教会へは今日のうちに行っておきたい。昼過ぎに一時仕事を抜けてくる、それでいいだろうか?」
「は、はいっ!」
咄嗟に承諾してしまってから、お店を抜ける許可を取っていなかったことに気付き『大丈夫よね?』とおじいちゃんを見る。
おじいちゃんは読み終えた新聞を伏せて老眼鏡を外すと、いつも通りの怒ったような表情で言った。
「教会なんざ目と鼻の先にあんだ、朝のうちに行ってきちまやぁいい」
「えっ? でも開店準備をしないと……」
「三人がかりでやりゃあすぐ終わんだろ。今日は『朝一の客』も来ねえんだ、とっとと終わらせてさっさと行ってこい」
掃除を請け負ってくれたり重いものを運んでくれたりと、ヨルグの大活躍によってあっという間に開店準備が終わった。
あとは順次焼き上がるパンを棚に並べていくだけ――という段になると、それくらい一人でできると言っておじいちゃんにお店を追い出された。
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