上 下
149 / 200
51~60話

ヨルグの長い夜《ヨルグ視点》【中】 ※

しおりを挟む
 なにより、もしも想いを伝えて振られたら――あまつさえ好意を気持ち悪がられでもしたら、毎朝の笑顔さえ見られなくなるかと思うと恐ろしかった。
 毎朝顔を見て、一つ二つ言葉を交わせるだけで。リゼットの幸せを離れた場所から見守ることができれば十分だと、自分に言い聞かせてきた。

 けれど……。
 風に飛ばされた思い出のハンカチを再びリゼットから手渡されたあの日、名前も聞かずに別れてしまったかつての後悔が甦った。
 またハンカチだけを手にリゼットのもとを去るのか。日々の笑顔を失う可能性に怯え、何もせずに諦めるのか。
 そんな考えがちらついて、思わず食事の誘いを口にしていた。
 お礼だなどと、見え透いた言い訳を盾に。

 そのリゼットがこうして目の前で、俺を受け入れたまま無防備な姿を晒している。
 何度となく想像したリゼットの身体は想像よりもずっと綺麗で、やわらかく、甘く、俺をたまらない気持ちにさせる。

「リズ……」

 呼びかけてもリゼットが目を開く気配はない。軽く揺すり起こそうとして、結合部にまで振動が伝わり慌てて手を離した。

 以前、酔って寝てしまったときもそうだ。どんなに声をかけようと、俺が抱き上げようと、リゼットが起きる気配はなかった。
 リゼットの眠りは深いらしい。

「んっ……」

「ぐ……っ!」

 揺すられたことが気になったのか不意にリゼットが身動みじろぎ、生じた摩擦に危うく達しかける。

 ……このままではダメだ、動かずともそう持たずに達してしまう。とにかく一度引き抜かなくては。

 真実断腸の思いで、痛みを与えないようゆっくりと腰を引いた。

「……っ」

 出て行かせまいとするかのように絡みつく内壁。愛情に包まれているかのような温かく密着した空間のなかで、全方位からぎゅうぎゅうと雄を擦り上げられる。
 ――限界だった。

「く――っ!」

 痛みを気遣う余裕もなく一気に雄を引き抜くと、抜けたと同時に白濁がほとばしった。

 なめらかで薄い腹に。
 控えめな和毛に。
 充血して色を強めた秘部に。
 ビュルビュルと大量に飛び散った白濁が、リゼットを汚してドロリと流れ落ちる。

 ――その姿を前にして、また雄に熱が集まるのを感じた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

くっついちゃった!? ~ちんちくりん魔法薬師にガサツな騎士隊長を添えて~

南田 此仁
恋愛
「いっけなーい、遅刻遅刻!」  王宮魔法薬師のチェリアは、謁見室へと急ぐ途中うっかり人とぶつかってしまった。  相手はなにかと失礼な言動の多い筋肉の塊――もとい、騎士隊長のディノ。  手を引いて助け起こされ、いつものように憎まれ口を叩きながら手を振り払おうとして……  あらっ?  手が離れない――!?  チェリアお手製の超強力接着剤『スーパートレナインX』によって、しっかりバッチリくっついた二人の手。  剥離剤が完成するその日まで、と一緒に生活を送るも、あんな所もこんな所も連れ添って行かねばならず純情可憐な乙女の精神は消耗。  お互いの職場では少しずつ特技を生かして助け合い、遠征先でも二人でピンチを切り抜ける!?  言い合いながらも息ピッタリの二人が織りなす、共同生活の行きつく先は……? ■一話 800~1000文字ほど。 ■濡れ場は※マーク付き。行為は両想いになってから。 ■ご感想いただけるととっても嬉しいです☆

ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ~皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます!~

南田 此仁
恋愛
 突然異世界へと転移し、状況もわからぬままに拐われ愛玩奴隷としてオークションにかけられたマヤ。  険しい顔つきをした大柄な男に落札され、訪れる未来を思って絶望しかけたものの……。  跪いて手足の枷を外してくれたかと思えば、膝に抱き上げられ、体調を気遣われ、美味しい食事をお腹いっぱい与えられて風呂に入れられる。  温かい腕に囲われ毎日ただひたすらに甘やかされて……あれ? 奴隷生活って、こういうものだっけ———?? 奴隷感なし。悲壮感なし。悲しい気持ちにはなりませんので安心してお読みいただけます☆ シリアス風な出だしですが、中身はノーシリアス?のほのぼの溺愛ものです。 ■R18シーンは ※ マーク付きです。 ■一話500文字程度でサラッと読めます。 ■第14回 アルファポリス恋愛小説大賞《17位》 ■第3回 ジュリアンパブリッシング恋愛小説大賞《最終選考》 ■小説家になろう(ムーンライトノベルズ)にて30000ポイント突破

どうせ去るなら爪痕を。

ぽんぽこ狸
恋愛
 実家が没落してしまい、婚約者の屋敷で生活の面倒を見てもらっているエミーリエは、日の当たらない角部屋から義妹に当たる無邪気な少女ロッテを見つめていた。  彼女は婚約者エトヴィンの歳の離れた兄妹で、末っ子の彼女は家族から溺愛されていた。  ロッテが自信を持てるようにと、ロッテ以上の技術を持っているものをエミーリエは禁止されている。なので彼女が興味のない仕事だけに精を出す日々が続いている。  そしていつか結婚して自分が子供を持つ日を夢に見ていた。  跡継ぎを産むことが出来れば、自分もきっとこの家の一員として尊重してもらえる。そう考えていた。  しかし儚くその夢は崩れて、婚約破棄を言い渡され、愛人としてならばこの屋敷にいることだけは許してやるとエトヴィンに宣言されてしまう。  希望が持てなくなったエミーリエは、この場所を去ることを決意するが長年、いろいろなものを奪われてきたからにはその爪痕を残して去ろうと考えたのだった。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。

三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。 それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。 頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。 短編恋愛になってます。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

処理中です...