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51~60話

握った手の熱【上】 ※

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 初めて直視するヨルグの笑顔に、ドキリと鼓動が跳ねる。

 あふれそうなほどの愛情をたたえて。
 愛おしそうに。
 宝物みたいに。
 こんな風に見つめられて、どうして今まで気付かずにいられたのだろう。

 目を逸らすこともできず見惚れていると、伸びてきた手がすぽんと私のシャツを取り去った。

「あっ……」

 シャツへは一瞬でベッドの外に放り捨てられ、身一つで取り残される。

 ガッチリと鍛え上げられた彫像のようなヨルグの身体とは違い、筋肉とは無縁のふにふにな身体が恥ずかしい。
 隠したいのに……ヨルグがあまりにも嬉しそうに見つめてくるものだから、隠そうと動きたがる手を耐えてきゅっとシーツを握りしめる。

 ヨルグの視線がゆっくりと下に下りて、節くれだった指がサラリと和毛を撫でた。

「……もしまた不安を感じたら、いつでも言ってほしい」

 決意を込めてコクリと頷く。
 ヨルグは、私の不安な気持ちごと受け止めてくれるとわかったから。

 再び秘部に顔を寄せられ、ピッチリと閉じた割れ目をそっと左右に割り開かれる。

「…………」

 言葉はない。
 それまで空気に触れていなかった箇所に熱い吐息がかかって、お腹の奥がきゅっとする。
 目元が見えていることで、ヨルグがどこに視線を注いでいるかがわかってしまう。

「あ、あんまり見ないでくださいっ」

「それは難しい相談だな……」

 感慨深い様子で、はぁぁ……と熱いため息が吹きかかる。
 話しながらも視線はずっと秘部に注がれたままで、秘部と会話しているかのようだ。

「あの、を使ってほぐすんですよね? それなら見なくても、手探りでできるんじゃないですか……?」

 ほぐすのは『舌と指で』だと言っていた。少なくとも、しげしげとそこを眺める必要はないはずだ。

「一応の知識はあっても、俺も正確な『穴』の位置までは把握していない。リズに負担をかけないためにも目視確認の必要がある……が、たとえ必要性がなくともリズのすべてが見たい」

 『穴』に関しては私自身どの穴がなのかわかっていないので、代わりに位置を誘導することもできない。
 しかも胸のときと同様、ヨルグたっての希望とあっては甘んじて視線を受け止めるしかなさそうだ。
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