不能だと噂の騎士隊長が『可能』なことを私だけが知っている(※のぞきは犯罪です)

南田 此仁

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51~60話

未知の世界【下】 ※

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「……リズ」

「ごめんなさい、ヨルグさんのことが怖いわけじゃないのに……」

 ヨルグが身体を起こす気配がして、顔の近くから呼びかけられても、顔を覆った両手を外すことはできない。
 ヨルグは幼稚な私に呆れているだろうか。困らせてしまっただろうか。

 手の甲に、ちゅっと優しい口づけが落ちた。

「気付いてやれなくてすまなかった……。これから何をするかがわかれば、リズの不安も減らせるだろうか?」

「……………………たぶん」

 呆れも怒りも感じさせない気遣わしげなヨルグの声に、おそるおそる顔を覗かせる。

 未知の世界が怖いなら、知っておけばいい。心構えができていれば幾分不安も薄れるはずだ。

「余計に怖がらせてしまわないといいんだが……」

 ヨルグはボソッと恐ろしい独り言を吐いて、何も知らない私にもわかりやすく行為の手順を説明してくれた。

「これは本来子作りのための行為だが、愛を確かめ合うときにも行う。最終的には――俺のコレを、リズのココに挿れたい」

 ヨルグが左手で示す雄芯はビキビキと張り詰めて、私の手首ほどもありそうに見える。
 対して、『ココに』と右手で撫でられたのは私の秘部だ。

「――えっ!? でもソコに、そんなに大きな穴なんて空いてないですよ?」

 小の出る穴は問題外として、大の出る穴だってそこまで大きなものには対応できないと思う。

 子作りということは、世の大人たちの大半が通ってきた道ということ。
 ならば私にもできないことはない思うのだけれど……たとえ穴が空いていたとしても、こんなに大きなものを挿れたら代わりに内臓の一個や二個、口から飛び出てしまいそうな気がする。

「穴はあるはずだが……おそらくまだ、狭くて小さい。極力挿入時の痛みを軽減するためにも、まずはリズのココをしっかりとほぐしておく必要があるんだ」

「……口で、ですか?」

「舌と指で、だな」

 なるほど、これから指も参戦予定だったらしい。そして最終的には雄芯が挿入るわけか……。

「ほぐしておかないと、どうなりますか?」

「……ひどく痛んで、かなりの出血を伴うだろうな」

 なんということ。
 先ほどまでの恥ずかしい行為は全部、私の身体のためを想ってなされたものだったのだ。
 それを私は、ヨルグの思いやりも知らずダメダメと拒絶ばかり口にして……。

 下着越しとはいえ排泄場所に口をつけるなんて、ヨルグだって望んでしているはずがなかったのに。――それこそ、愛がなければ絶対にできない行為ではないだろうか?
 今になって、ヨルグからの深い愛情を実感する。

「愛を確かめ合うって、そういうことだったんですね……」

「リズ?」

「わかりました! 私もヨルグさんに愛を伝えたいので、続きをお願いします!」

 恥ずかしさに耐える覚悟を決め、愛を受けとめるべくバッと両手足を広げた。
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