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41~50話
はじめての……【下】
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ちゅっ――――
「〰〰っ!」
唇に触れる初めての熱に、思わずぎゅっと目をつむる。
窺うように唇が離れ、もう終わりかと安心した瞬間、再び熱に奪われた。
ちゅ……、ちゅ、ちゅっ……、ちゅーー……
ついばむように唇の先で食まれ、離れたかと思えばまた触れて。
僅かに角度を変えながら、何度も、何度も。
「……んーっ! んんーっ!」
息ができなくて限界だと訴えれば、ようやく惜しむように唇が離れた。
「リズ……愛している」
「っぷはぁ! はぁ……、私も好きで――」
愛の言葉ごと飲み込もうとするかのように、再び口づけに襲われる。
息が苦しい。けれど、嬉しい。
人には見えないものが見える私を、信じて受け入れてくれた。変わらずに『愛している』と言ってくれた。
ずっと片想いしてきた。
十も年下の小娘なんて相手にしてもらえないだろうと、想いを伝えることさえせずに。毎朝顔を合わせるだけで、人には見せない姿をコッソリと眺めるだけで満足だと、自分に言い聞かせながら。
想いを受け止めてもらえた今、一層強く実感するのは。
ヨルグが好き――。
これ以上ないくらい好きだと思っていたのに、今こうしているあいだにもさらに『好き』が膨らんでいく気がする。
全身を満たし、あふれ出して、どこまでも、どこまでも。
暗く静かな夜の街。
ぽつぽつと浮かぶ家灯り。
家へと続く路地を横目に、大通りの真ん中で。
ヨルグの瞳のような満月だけが、空から静かにこちらを見ていた。
唇が離れると同時に、倒れ込むようにぐったりとヨルグにもたれる。
「はふぅ……」
「っは……、すまない。これ以上暗くなる前に家まで送ろう」
「はひ……」
唇を触れ合わせているだけでも、こんなにも胸がいっぱいでヨルグのことしか考えられなくなる。これ以上の行為なんてした日には一体どうなってしまうのか。
恐ろしいような、待ち遠しいような……。
ヨルグの腕に抱かれ、夜風に頬を冷ましながら家の前へとたどり着く。
朝が早いおじいちゃんはとっくに寝ている時間なので、家は灯りもなく真っ暗だ。
「送ってもらってありがとうございます」
「礼を言うのはこちらのほうだ。今日は本当に助かった……」
腕から降ろしてもらい、屈んだ体勢のヨルグと至近距離で見つめ合う。
……ちゅっ
「!!」
「家に入るまで、見届けさせてくれ」
「はい……」
普段の落ち着いた姿からは想像もつかなかったけれど、もしかしてヨルグは愛情表現が多いタイプなのかもしれない。
浮き上がりそうな足取りでふわふわと家屋側の玄関へ回り、ポシェットから鍵を取り出して……、取り出……、鍵を……、…………ええと、鍵はどこ?
ポシェットのなかを漁っても、スカートのポケットまで探ってみても、冷たい金属の感触はない。
「……私ったら、鍵を持たずに出ちゃったんだわ」
思い返せば昼間、慌ただしく家を出たときに鍵を持った記憶がない。
――これはもう、おじいちゃんを叩き起こすしかないようだ。
こんな時間に起こしてしまえば、再び寝つくのは難しいかもしれない。朝早いおじいちゃんの安眠を妨害したくはないけれど、だからといってこのまま一晩中家の外に立っているわけにもいかない。
大声で呼びかける覚悟を決めてすぅぅと深く息を吸い込むと、ヨルグにポンと肩を叩かれた。
「リズさえよければ……うちに泊まっていくか?」
「〰〰っ!」
唇に触れる初めての熱に、思わずぎゅっと目をつむる。
窺うように唇が離れ、もう終わりかと安心した瞬間、再び熱に奪われた。
ちゅ……、ちゅ、ちゅっ……、ちゅーー……
ついばむように唇の先で食まれ、離れたかと思えばまた触れて。
僅かに角度を変えながら、何度も、何度も。
「……んーっ! んんーっ!」
息ができなくて限界だと訴えれば、ようやく惜しむように唇が離れた。
「リズ……愛している」
「っぷはぁ! はぁ……、私も好きで――」
愛の言葉ごと飲み込もうとするかのように、再び口づけに襲われる。
息が苦しい。けれど、嬉しい。
人には見えないものが見える私を、信じて受け入れてくれた。変わらずに『愛している』と言ってくれた。
ずっと片想いしてきた。
十も年下の小娘なんて相手にしてもらえないだろうと、想いを伝えることさえせずに。毎朝顔を合わせるだけで、人には見せない姿をコッソリと眺めるだけで満足だと、自分に言い聞かせながら。
想いを受け止めてもらえた今、一層強く実感するのは。
ヨルグが好き――。
これ以上ないくらい好きだと思っていたのに、今こうしているあいだにもさらに『好き』が膨らんでいく気がする。
全身を満たし、あふれ出して、どこまでも、どこまでも。
暗く静かな夜の街。
ぽつぽつと浮かぶ家灯り。
家へと続く路地を横目に、大通りの真ん中で。
ヨルグの瞳のような満月だけが、空から静かにこちらを見ていた。
唇が離れると同時に、倒れ込むようにぐったりとヨルグにもたれる。
「はふぅ……」
「っは……、すまない。これ以上暗くなる前に家まで送ろう」
「はひ……」
唇を触れ合わせているだけでも、こんなにも胸がいっぱいでヨルグのことしか考えられなくなる。これ以上の行為なんてした日には一体どうなってしまうのか。
恐ろしいような、待ち遠しいような……。
ヨルグの腕に抱かれ、夜風に頬を冷ましながら家の前へとたどり着く。
朝が早いおじいちゃんはとっくに寝ている時間なので、家は灯りもなく真っ暗だ。
「送ってもらってありがとうございます」
「礼を言うのはこちらのほうだ。今日は本当に助かった……」
腕から降ろしてもらい、屈んだ体勢のヨルグと至近距離で見つめ合う。
……ちゅっ
「!!」
「家に入るまで、見届けさせてくれ」
「はい……」
普段の落ち着いた姿からは想像もつかなかったけれど、もしかしてヨルグは愛情表現が多いタイプなのかもしれない。
浮き上がりそうな足取りでふわふわと家屋側の玄関へ回り、ポシェットから鍵を取り出して……、取り出……、鍵を……、…………ええと、鍵はどこ?
ポシェットのなかを漁っても、スカートのポケットまで探ってみても、冷たい金属の感触はない。
「……私ったら、鍵を持たずに出ちゃったんだわ」
思い返せば昼間、慌ただしく家を出たときに鍵を持った記憶がない。
――これはもう、おじいちゃんを叩き起こすしかないようだ。
こんな時間に起こしてしまえば、再び寝つくのは難しいかもしれない。朝早いおじいちゃんの安眠を妨害したくはないけれど、だからといってこのまま一晩中家の外に立っているわけにもいかない。
大声で呼びかける覚悟を決めてすぅぅと深く息を吸い込むと、ヨルグにポンと肩を叩かれた。
「リズさえよければ……うちに泊まっていくか?」
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