不能だと噂の騎士隊長が『可能』なことを私だけが知っている(※のぞきは犯罪です)

南田 此仁

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11~20話

おでかけの続き【上】

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「見たこともないフリットだらけで楽しかったです! たくさんごちそうさまでした!」

 入店時に放したヨルグの腕にもう一度抱きつくキッカケを見つけられないまま、一人分の距離を空けてヨルグに向かい合う。
 私がギブアップしたあと、大量に残っていた料理がみるみるヨルグのお腹に消えていくのを見ているのも爽快だった。

「喜んでもらえたならよかった」

「えへへ、素敵なお店に連れてきてくれてありがとうございます。どれもとっても美味しくって、本当に嬉しくて、それで……」

 喜びを伝えるため笑顔でいようと思うのに、もう終わりかと思えば自然と顔が俯いてしまう。

 今日は、ハンカチ救出のお礼に食事でも、と誘われてやって来たのだ。
 本来の目的である『食事』を終えた今、これ以上ヨルグと一緒にいられる口実はなくなってしまったわけで。

「このあとだが」

「はい……」

 ヨルグの顔を見ていられず、じっと靴先を見つめて宣告のときを待つ。
 楽しい時間はいつもあっという間に終わってしまう。掴もうと伸ばした指の隙間を、するりとすり抜けるように。

「何か予定はあるか?」

「? なんにもないですけど……」

「もし時間が許せば、もう少し俺に付き合ってほしい。その……浮かれてこんなものまで用意してしまったんだ」

 思わず顔を上げた私に、ヨルグは胸ポケットから二枚の紙片を出してみせた。
 顔を寄せて覗き込み、鮮やかなインクで刷られた装飾的な文字を見る。

「これって……劇のチケットですか? たしか今話題のやつですよね、恋愛ものの」

「ああ。開演は夕方近いんだが……よければ、観劇後の夕食も一緒に」

「かんげきごのゆうしょくもいっしょに」

 意味を理解できずに復唱する。
 だって理解しようとしても、自分に都合のよすぎる解釈しかできないのだ。
 このあとも一緒に過ごして、一緒に劇を観て、一緒に夕食を食べましょうだなんて――。

「そんなまさか」

 呆けた口から、ポロリと思考が零れた。
 だって、それでは完全にデートじゃないか。

 本物の『デート』をしたことがないので確証は持てないけれど、特別親しい間柄でもない年頃の男女が一日中一緒に過ごすなんて、デート以外でもあることなのだろうか?
 それとも何か、あの言葉には私の知らない別の意味が?
 いや、そもそも聞き間違えの可能性も??

「…………困らせるつもりはなかったんだ。すまない、チケットのことは忘れてくれ。家まで送ろう」

「やっ――やだ! 行く! 行きますっ、劇と夕食!」

 方向転換しようとするヨルグのシャツの裾を咄嗟に掴んで引き止める。
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