ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ～皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます！～

１０１～最終話

１０６c、愛がわかったそのあとに２ ※

「えっ！　それなら早く行かないと！」

「しかしマヤが……」

　ガルはお強請ねだりする時のようにしょんぼりとして訴えてくるけれど、人を待たせていると知りながらこのまま過ごすわけにもいかない。

「私はどこにも行きませんから。……用事が済んでから、いっぱい続きをしてください」

　私の言葉に、驚いたようにガルが目を瞬く。
　途端に自分の発言が恥ずかしくなってきて、ごにょごにょと言い募った。

「わ、私だって……もっとくっついてたいって、思ってるんですよ……？」

　力強い腕にぎゅううと抱きすくめられると、なだらかな谷間に顔を埋めたガルが、絶望的な声で呟いた。

「これを耐えろと言うのか……」







　どうにか着替えを終え、ガルに抱っこされて目的地を目指す。

「私も一緒に行っていいんですか？」

「無論。マヤがいなくては始まらない」

「？」

　庭に出ると、花の香りに混じって何やら別のいい香りがしてきた。
とっても美味しそうな……。

　匂いに釣られて急激にお腹が空すいてくる。そういえば、朝からカナッペ三つしか食べていない。

「旦那様、奥様、お待ちしておりました。どうぞこちらへ」

　執事に案内されて向かった先には、たっぷりの花で装飾された豪華なテーブルセットと、豚の丸焼きを筆頭にずらりと御馳走の置かれた長テーブルが並んでいた。
　なぜか使用人も勢揃いして、にこにことこちらを見ている。

「わぁ……！」

　本物のパーティーを目にするのは初めてだ。
　周囲に咲き誇る花々にも負けないほど彩り豊かな御馳走は目にも美味しいし、花や布で飾りつけられた空間は見ているだけで心がウキウキとしてくる。
　一体何のパーティーだろう？

　使用人達が目配せし、一斉に声を揃えた。