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101~最終話
102c、私は今日の日をわかっていない
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不安に飲み込まれそうな心を置き去りに、上辺だけはどんどんと綺麗に整えられていく。
胸まである白いコルセットをぎゅうぎゅうと締め上げると、一人では到底着られそうにない複雑な構造のウェディングドレスを、前から後ろから三人がかりでせっせと着付けられる。
ドレスは上がぴったりと身体のラインに沿うデザインになっていて、仮縫いの時点でも十分フィットしていたのに、完成品のこれはもはや生地と皮膚が一体化してしまったかのような不思議な着心地だった。
ふんだんに生地を重ねたスカートはずっしりとかなりの重量を感じるけれど、しっかりと締められたコルセットによって上半身全体に均等に負荷が分散されている。
スカートのボリュームに邪魔されながら浅く椅子に腰かけると、今度はネックレスやティアラ、グローブなどの小物を足されていく。
ドレスに合わせて誂えた白い靴は銀糸の刺繍に沢山のビジューが散りばめられ、私は椅子の足元に差し出されたそれを履くと、全身の重みを感じながら床を踏みしめて立ち上がった。
胸まである白いコルセットをぎゅうぎゅうと締め上げると、一人では到底着られそうにない複雑な構造のウェディングドレスを、前から後ろから三人がかりでせっせと着付けられる。
ドレスは上がぴったりと身体のラインに沿うデザインになっていて、仮縫いの時点でも十分フィットしていたのに、完成品のこれはもはや生地と皮膚が一体化してしまったかのような不思議な着心地だった。
ふんだんに生地を重ねたスカートはずっしりとかなりの重量を感じるけれど、しっかりと締められたコルセットによって上半身全体に均等に負荷が分散されている。
スカートのボリュームに邪魔されながら浅く椅子に腰かけると、今度はネックレスやティアラ、グローブなどの小物を足されていく。
ドレスに合わせて誂えた白い靴は銀糸の刺繍に沢山のビジューが散りばめられ、私は椅子の足元に差し出されたそれを履くと、全身の重みを感じながら床を踏みしめて立ち上がった。
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