ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ~皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます!~

南田 此仁

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91~100話

99a、私はご主人様の喜びをわかっていない

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 ぎゅっと抱きしめたガルの頭を、よしよしと撫でる。
 きつく抱きしめ返す腕は苦しいけれど、少しでもくっついていたいから、これでいい。


 どれくらいそうしていただろうか。
 ふっと腕の力が弱まり、ガルが身動いだのを感じて頭を抱く腕を緩めた。

「っは……」

 緩んだ腕の中、顔を上げたガルがこちらを見つめる。

 上からガルを見下ろすというのもなかなかないことだなと、胸に押し当てていたせいで赤くなってしまったガルのおでこを見ながらぼんやり思う。
 ガルの表情は晴れやかとは言えないまでも、どこかスッキリとしたような、穏やかなものだった。

「マヤ……ありがとう」

「? いえ、私は何も」

 ふるふると首を振る。
 剣帯を作ったのはガルのお母さんだし、私は自分勝手に考えをぶちまけただけだ。

「マヤがいなければ、一生この剣帯にも……母の想いにも、気付くことはなかっただろう。マヤが想いを繋いでくれたんだ」

 そうだろうか? 私でもガルの力になれただろうか?
 真摯なガルの言葉が、嬉しくてくすぐったい。

「へへ……」

「ところで……マヤはなぜ、母の手芸用品入れの中身なんて知っていたんだ?」

 純粋に投げかけられた問いに、微笑みのままうっと詰まった。
 何でも私に与えていいと指示してくれていたように、お母さんの遺品に触れたこと自体は気にしていないようだけれど、そこに至った経緯については不思議に思うのだろう。

 そりゃあそうだ。私が急に、ガルのお母さんの遺した剣帯なんて持って現れれば。
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