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91~100話
97b、私は奥に秘められたものをわかっていない
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「えーと、普通の糸は……」
刺繍糸がたっぷりと入れられた大振りなバスケットを探り、縁をまつるための白い縫い糸を探す。
上に見えているのは色とりどりの刺繍糸ばかりなので、縫い糸は奥の方だろうと当たりをつけてぐっと手を突っ込んでみると、何やら固いものが指に触れた。
「……?」
奥にあるそれを、指先だけでつるつると撫でてみる。
一度見つけて眺めたことのある、綺麗なボタンの詰まった小瓶とも違う。
ひんやりと冷たい、金属の、輪っかのような……。
私の知らない手芸用品だろうか?
興味を引かれ、上に積まれた刺繍糸や大小の刺繍枠などをローテーブルの上にどかしながらズルリとそれを取り出した。
「……ベルト? ガル様がつけてるのと同じやつだ」
指に触れていたのは、ベルトのバックル部分だったらしい。
装飾の彫られた銀色のバックルに、黒い帯状の革。途中には剣の鞘を固定するためのホルダーが下がっていて、ガルが普段から身につけているベルトとよく似た形をしていた。
違いといえば、ガルのベルトは無地なのに対し、今手にしているこれにはびっしりと精緻な刺繍が入っていることだろう。
「うわぁ、すごく細かい。綺麗……」
いぶし銀のような深い銀色の糸で、ベルトの全体にアラベスク模様のような有機的な柄が刺されている。糸を重ね立体感をつけて描かれた模様は、一色のようでいてほのかにグラデーションがかっても見える。
バックルの付いていない方の先端には、赤の糸で複雑な模様のワンポイントが入っていた。
刺繍糸がたっぷりと入れられた大振りなバスケットを探り、縁をまつるための白い縫い糸を探す。
上に見えているのは色とりどりの刺繍糸ばかりなので、縫い糸は奥の方だろうと当たりをつけてぐっと手を突っ込んでみると、何やら固いものが指に触れた。
「……?」
奥にあるそれを、指先だけでつるつると撫でてみる。
一度見つけて眺めたことのある、綺麗なボタンの詰まった小瓶とも違う。
ひんやりと冷たい、金属の、輪っかのような……。
私の知らない手芸用品だろうか?
興味を引かれ、上に積まれた刺繍糸や大小の刺繍枠などをローテーブルの上にどかしながらズルリとそれを取り出した。
「……ベルト? ガル様がつけてるのと同じやつだ」
指に触れていたのは、ベルトのバックル部分だったらしい。
装飾の彫られた銀色のバックルに、黒い帯状の革。途中には剣の鞘を固定するためのホルダーが下がっていて、ガルが普段から身につけているベルトとよく似た形をしていた。
違いといえば、ガルのベルトは無地なのに対し、今手にしているこれにはびっしりと精緻な刺繍が入っていることだろう。
「うわぁ、すごく細かい。綺麗……」
いぶし銀のような深い銀色の糸で、ベルトの全体にアラベスク模様のような有機的な柄が刺されている。糸を重ね立体感をつけて描かれた模様は、一色のようでいてほのかにグラデーションがかっても見える。
バックルの付いていない方の先端には、赤の糸で複雑な模様のワンポイントが入っていた。
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