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91~100話

95b、私は自分の体型をわかっていない ※

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 ふと視線を感じて目をやれば、じっとこちらを見つめるあかと目が合った。

「……なんですか」

 盗み見られていたような恥ずかしさにむぅと唇を尖らせる。

「真剣に俺の髪を洗っている姿が可愛くて見ていた」

「っ!」

 聞くんじゃなかった!
 唐突にもたらされた『可愛い』の言葉に頬はどんどん熱くなってくるのに、上にあるガルの頭を洗っているせいで俯くことも手で顔を隠すこともできない。

 私はガルの眼前に真っ赤な顔をさらしながら、迂闊な質問を後悔する羽目になったのだった。



 身体も流して湯に浸かる。
 正面から抱きしめられ、ガルの手が確かめるようにゆるゆると数度、私の脇腹を撫でた。

「マヤ、少し痩せたか?」

「えっ? そうですか?」

 言われてみれば、一人きりで食べる食事は味気なく感じて、このところあまり食が進んでいなかった気もする。
 一人で食事することなんて慣れていたはずなのに。

「俺が食べさせてやれなかったばっかりに……すまない」

 ガルは暗い顔をするが、そんな深刻な話ではない。
 この屋敷に来てからの至れり尽くせり生活でちょっと太ってしまっていたから、多少痩せたところでここに来る以前の体型になったくらいだろう。
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