ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ~皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます!~

南田 此仁

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91~100話

93b、ご主人様は深夜の人影をわかっていない2

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「その少女を拐ったのはお前の判断か?」

「判断? ええ勿論! あれは我ながらいい拾い物でしたよ」

 まるで自らの手柄でも誇るかのように、オーナーはフフンと鼻息を吐く。

 宵闇を映しているはずの視界が赤く明滅し、こめかみがドクドクと脈打つ。
 まだ何事か発しているオーナーの声が遠く響き、吹き付ける風の冷たさも感じぬほどに全身が熱い。

「おや? そういえば貴方もどこかで……」

「……話は終わりだ」

 抑えきれない感情に震える声が、低く地を這う。
 抜き身の剣を手に、一歩、また一歩、ゆっくりと歩を進める。

「ひっ」

 俺の様子の変化を感じとったオーナーは、もつれる足で数歩後ずさると、そのまま踵を返して走り出した。



「はっ、はぁっ……、く、来るな!」

「……」

 大股でゆっくりと後を追う。
 そもそもの歩幅が違うのだ。

 街の中心を抜けたとはいえまだちらほらと民家の並ぶ広い街道を脇に入ったオーナーは、建物の陰に隠れるようにして右へ左へよたよたと走り、結局幾許いくばくも行かぬうちに長い路地の行き止まりで音を上げた。

 ぜぇぜぇと息を吐きドサリと座り込んでこちらを向くと、大振りな指輪の着いた両手を胸の前で組み、荒い呼吸の合間に切れ切れに話す。

「っま、参りました。っはぁ、はぁ、降参です! っはぁ、な、なんでも言う通りにします、ので……どっ、どうか、命だけは……!」

「……」
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