ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ~皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます!~

南田 此仁

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81~90話

88c、私は隠し場所をわかっていない

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「これ全部……本当に使っちゃっていいんですか?」

「はい、勿論でございます」

 戸惑う私の問いをメイド長がすんなりと肯定する。

「でも……」

 横目でローテーブルを見る。
 上に置かれているのは、裁縫用具の入ったお洒落な小箱に、大小の刺繍枠や色とりどりの美しい刺繍糸が詰め込まれたバスケット。

 刺繍をするため手芸用品を貸してほしいと頼んだのは私だけれど、使用人が使うようなちょっとした物を貸してもらえればと思っていただけなのだ。

 しかし実際に持ち込まれたこれらは、あまりにも豪華すぎる。

「これってもしかして……ガル様のお母様の物じゃ……?」

「はい、こちらは大奥様がお使いになっていた物です。マヤ様へは、遺品、財産含め屋敷内のすべての物を自由にお使いいただいて構わないと旦那様より申しつかっておりますので。……新しい物をご用意した方がよろしいでしょうか?」

「いえいえっ、これで大丈夫です! ありがとうございます!」

 こんな立派な手芸用品があるのに新たに買い揃えるなんてとんでもない!
 しかし、遺品や財産まで自由にって……さすがに私を甘やかしすぎでは!?

 とりあえず今は、買い足すことなくある物を借りられるだけ良しとしよう。思った以上に豪華だけれど。
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