ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ~皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます!~

南田 此仁

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81~90話

81a、私はご主人様の家族をわかっていない

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季節は少しずつ寒さを増して、式までも残り5ヶ月を切った頃。

「そろそろ式の参列者を決めないとな」

久々にドレスの打ち合わせもガルの仕事もない休日。のんびりとソファで寛いでいると、出し抜けにガルが言った。

「呼びたい相手はいるか? もちろん人族の者でかまわない。魔族の国アスディウム側は人族の国プルシッカ人の出入りを禁止してはいないからな」

そう言ったガルの腕の中、そこに居場所を求めるように逞しい胸に頬を擦り寄せる。
答えなど、考えるまでもない。

「いえ……、誰もいません」

「遠慮する必要はないんだぞ?」

俯いて首を振る。

「いえ、本当に」

ガルは私と出会った人族の国を私の故郷だと思っているようだけれど、そもそも異世界から来た私にこの世界の知り合いなど誰一人としていない。
元の世界でだって、結婚式に呼べるような親しい人はいなかったけれど。

「っガル様は、職場の方や親戚の方を呼ぶんですか?」

一抹の寂しさを振り払うように、話を変えてガルを見上げる。

「いや、騎士団はともかく、両親とのこともあり親戚とは折り合いが悪くてな。そうだな……、マヤも特に呼びたい者がいないのであれば、いっそ二人きりで式を挙げるか?」

「! いいんですか!?」

たくさんの招待客に囲まれ、自らの知人は一人もいないまま疎外感を味わわなくて済むのであれば、それは私にとってありがたい申し出だ。
しかしガルの付き合い上、問題はないのだろうか。

「ああ。騎士達を招待したらしたで、国王がついて来かねないからな。黙って済ませてしまった方が早い」

王様に対して邪険にするようなその言い草は大丈夫なのだろうか?
心配にはなるが、式に王様が来るのは私も御免こうむりたい。
本物の王様なんて見たこともないし、実際見たら見たで、たぶん緊張しすぎて結婚式どころではなくなる。

「二人で式、したいです!」

「ではそうしよう」

ガルがよしよしと頭を撫でる。
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