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71~80話
78b、私はプレゼントをわかっていない
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「……あー、その……気を悪くしないだろうか」
思案するように上へ下へと視線をさ迷わせていたガルが、ゴクッと喉を鳴らし、意を決したように口を開いた。
「? 怒ったりなんてしませんよ」
自分から望みを聞いておいて、伝えられた望みに対して怒ったりなどするわけがない。
「着てみてほしい物があるんだが……」
ガルは制服の胸元をガサゴソと探り、平たい包みを一つ取り出して私に手渡した。
渡された茶色い蝋引きの紙袋を見る。
着てほしいということは服が入っているのだろうが、それにしては妙に袋が薄っぺらい。
訝りながらも、簡単にテープで止められただけの封を開けて中身を取り出した。
「…………何ですか、これ……」
いや、わかる。わかりはするのだが、脳が理解を拒否している。
両手で摘まみ上げた細い肩紐の下に続くのは、透けた白いシフォン地の身頃。
胸の中央にはリボン、所々に同色糸で花の刺繍が施され、縁にはたっぷりとフリルがあしらわれている……が、透ける布地部分を通せば向こう側に見えるガルの制服のボタンだって数えられそうだ。
「あー……寝衣、だな」
本気で言っているのかとガルを見れば、ついと視線を逸らされた。
私が手にしているのは、可愛らしくひらひらとした、透け透けの白いベビードール。
「こんな物どうしたんですか……」
「その、今日の祝いにと……知人から貰ってな……」
ガルにプレゼントを贈るほど親しい人物など一人しか浮かばない。
絶対にウィルドだ……っ!
なぜガルへの誕生祝いが女物の下着なのか!?
手にしたベビードールをぎりぎりと握りしめれば、パサリと何かが床に落ちた。
申し訳程度に布地のついた細長い紐……とりあえず見なかったことにする。
「マヤ、嫌なら無理にとは……」
「……着ます」
覚悟を決めて答える。
だってこれは、数少ない『私にできること』だ。
私だって、ガルの誕生日を祝いたい気持ちは本当なのだから。
思案するように上へ下へと視線をさ迷わせていたガルが、ゴクッと喉を鳴らし、意を決したように口を開いた。
「? 怒ったりなんてしませんよ」
自分から望みを聞いておいて、伝えられた望みに対して怒ったりなどするわけがない。
「着てみてほしい物があるんだが……」
ガルは制服の胸元をガサゴソと探り、平たい包みを一つ取り出して私に手渡した。
渡された茶色い蝋引きの紙袋を見る。
着てほしいということは服が入っているのだろうが、それにしては妙に袋が薄っぺらい。
訝りながらも、簡単にテープで止められただけの封を開けて中身を取り出した。
「…………何ですか、これ……」
いや、わかる。わかりはするのだが、脳が理解を拒否している。
両手で摘まみ上げた細い肩紐の下に続くのは、透けた白いシフォン地の身頃。
胸の中央にはリボン、所々に同色糸で花の刺繍が施され、縁にはたっぷりとフリルがあしらわれている……が、透ける布地部分を通せば向こう側に見えるガルの制服のボタンだって数えられそうだ。
「あー……寝衣、だな」
本気で言っているのかとガルを見れば、ついと視線を逸らされた。
私が手にしているのは、可愛らしくひらひらとした、透け透けの白いベビードール。
「こんな物どうしたんですか……」
「その、今日の祝いにと……知人から貰ってな……」
ガルにプレゼントを贈るほど親しい人物など一人しか浮かばない。
絶対にウィルドだ……っ!
なぜガルへの誕生祝いが女物の下着なのか!?
手にしたベビードールをぎりぎりと握りしめれば、パサリと何かが床に落ちた。
申し訳程度に布地のついた細長い紐……とりあえず見なかったことにする。
「マヤ、嫌なら無理にとは……」
「……着ます」
覚悟を決めて答える。
だってこれは、数少ない『私にできること』だ。
私だって、ガルの誕生日を祝いたい気持ちは本当なのだから。
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