ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ～皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます！～

７１～８０話

７６a、私は違和感の正体をわかっていない

「いつあるんですか！？」

「来月初めの休息日だから……、二週間ほど後か」

「ガル様のお仕事は……？」

ガルの仕事は交代で休みを取るため曜日による決まった休日はなく、大体六日から八日、忙しい時には十日に一度程度の間隔で非番がある。
この国にも七日に一度の休息日はあるようだけれど、ガルの場合は休息日だからといって、休みだとは限らないのだ。

一縷の望みをかけてガルの瞳を見つめれば、申し訳なさそうに頭を撫でられた。

「すまない。祭りの日は騎士団総出で城と街の警備にあたるんだ」

「あ……」

騎士の仕事といえば、王族の警護と街の治安維持。
治安の乱れやすいお祭りの日に忙しくなることなど、ちょっと考えればわかることだ。

考えなしに期待して、ガルに気を遣わせてしまうなんて。

「…………執事エンカムやメイド長リーファ達と来るか？」

少し考え、俯いて首を振る。
以前街中で迷子になったこともあり、ガルがいない状態での外出はやはりまだ不安が大きい。

何より、ガルと一緒に来られたら楽しいだろうと思っただけなのだ。
ガルがいないのでは、来る意味もない。

「ちょっと気になっただけなので気にしないでください」

これ以上ガルに気遣わせまいと、顔を上げてにこりと笑いかける。

「……来年・・は休みをもぎ取っておく」

その一言に、気持ちがふっと浮上した。

そうだ。ガルと結婚したら、来年も再来年も、もっともっと先だって、ずーっとガルと一緒にいられるのだ。
例え次もお祭りに来られなくたって、来年の今頃もこうして同じような会話をしているのかもしれない。

未来の約束に、胸の中にじわりと幸福感が広がっていく。

「へへ……無理はしないでくださいね」

今度は心から、笑顔でガルに告げた。