310 / 486
71~80話
73d、私は紳士的な指先をわかっていない
しおりを挟む
恐ろしい予想に反して、紳士的な指先は裾を摘まむとクンと引っぱり、押し倒されて膝まで捲れたワンピースを整えてくれたようだった。
「っは、……何か期待させてしまったか?」
覆い被さったガルに、至近距離から悪戯っぽく見下ろされる。
「し、してませんっ!」
ガルの唾液に濡れた唇を直視していられなくて、ぷいっと顔を背けた。
色とりどりの花々が整然と咲き誇る立派な植物園も見て、充実した一日も終わり帰路につく。
と言っても例のごとく、転移によって一瞬で屋敷だ。
「っはぁー。公園とっても楽しかったです!」
ソファに腰かけたガルの膝の上で、にこにこと口を開く。
「楽しめたのならよかった」
「……ガル様も、楽しめました?」
私一人ではしゃいでしまっていないだろうか?
優しい眼差しを覗き込んで問えば、そのまま近付いた唇に口付けを拐われた。
「マヤと一緒ならばどこだろうと楽しめる」
「!」
しっかりと目を合わせ私のことだけを見つめて、ガルはこんなにもはっきりと愛情を示してくれる。
ああ、ダメだ。
大好きすぎる。
腕を広げてガルの広い胸にぎゅうと抱きつけば、当然のように逞しい腕に囲われて優しく抱きしめ返される。
それでももっともっと近付きたくて、ぐりぐりと胸に顔を押し付けた。
「……マヤ、そろそろ一週間経ったと思うんだが……どうだろうか?」
頭頂部に唇を当てて囁かれる。
何のことかなんて、言われなくてもわかる。
ぴたりと動きを止めた私は、ガルの胸に顔を埋めたまま小声で答えた。
「終わりましたよ……、月のサワリ……」
本当は昨日の昼のうちに出血は止まっていたものの、自分から言い出すのも恥ずかしくてそのままになってしまっていたのだ。
「! では今日からまた、一緒に風呂に入れるな!」
頭上から嬉しそうな声が降る。
こんなに喜んでくれるなら、昨日のうちに早く伝えておけばよかった。
「っは、……何か期待させてしまったか?」
覆い被さったガルに、至近距離から悪戯っぽく見下ろされる。
「し、してませんっ!」
ガルの唾液に濡れた唇を直視していられなくて、ぷいっと顔を背けた。
色とりどりの花々が整然と咲き誇る立派な植物園も見て、充実した一日も終わり帰路につく。
と言っても例のごとく、転移によって一瞬で屋敷だ。
「っはぁー。公園とっても楽しかったです!」
ソファに腰かけたガルの膝の上で、にこにこと口を開く。
「楽しめたのならよかった」
「……ガル様も、楽しめました?」
私一人ではしゃいでしまっていないだろうか?
優しい眼差しを覗き込んで問えば、そのまま近付いた唇に口付けを拐われた。
「マヤと一緒ならばどこだろうと楽しめる」
「!」
しっかりと目を合わせ私のことだけを見つめて、ガルはこんなにもはっきりと愛情を示してくれる。
ああ、ダメだ。
大好きすぎる。
腕を広げてガルの広い胸にぎゅうと抱きつけば、当然のように逞しい腕に囲われて優しく抱きしめ返される。
それでももっともっと近付きたくて、ぐりぐりと胸に顔を押し付けた。
「……マヤ、そろそろ一週間経ったと思うんだが……どうだろうか?」
頭頂部に唇を当てて囁かれる。
何のことかなんて、言われなくてもわかる。
ぴたりと動きを止めた私は、ガルの胸に顔を埋めたまま小声で答えた。
「終わりましたよ……、月のサワリ……」
本当は昨日の昼のうちに出血は止まっていたものの、自分から言い出すのも恥ずかしくてそのままになってしまっていたのだ。
「! では今日からまた、一緒に風呂に入れるな!」
頭上から嬉しそうな声が降る。
こんなに喜んでくれるなら、昨日のうちに早く伝えておけばよかった。
21
お気に入りに追加
3,296
あなたにおすすめの小説

【完結】呪いを解いて欲しいとお願いしただけなのに、なぜか超絶美形の魔術師に溺愛されました!
藤原ライラ
恋愛
ルイーゼ=アーベントロートはとある国の末の王女。複雑な呪いにかかっており、訳あって離宮で暮らしている。
ある日、彼女は不思議な夢を見る。それは、とても美しい男が女を抱いている夢だった。その夜、夢で見た通りの男はルイーゼの目の前に現れ、自分は魔術師のハーディだと名乗る。咄嗟に呪いを解いてと頼むルイーゼだったが、魔術師はタダでは願いを叶えてはくれない。当然のようにハーディは対価を要求してくるのだった。
解呪の過程でハーディに恋心を抱くルイーゼだったが、呪いが解けてしまえばもう彼に会うことはできないかもしれないと思い悩み……。
「君は、おれに、一体何をくれる?」
呪いを解く代わりにハーディが求める対価とは?
強情な王女とちょっと性悪な魔術師のお話。
※ほぼ同じ内容で別タイトルのものをムーンライトノベルズにも掲載しています※

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。


転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
責任を取らなくていいので溺愛しないでください
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
漆黒騎士団の女騎士であるシャンテルは任務の途中で一人の男にまんまと美味しくいただかれてしまった。どうやらその男は以前から彼女を狙っていたらしい。
だが任務のため、そんなことにはお構いなしのシャンテル。むしろ邪魔。その男から逃げながら任務をこなす日々。だが、その男の正体に気づいたとき――。
※2023.6.14:アルファポリスノーチェブックスより書籍化されました。
※ノーチェ作品の何かをレンタルしますと特別番外編(鍵付き)がお読みいただけます。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて
アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。
二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――
泡風呂を楽しんでいただけなのに、空中から落ちてきた異世界騎士が「離れられないし目も瞑りたくない」とガン見してきた時の私の対応。
待鳥園子
恋愛
半年に一度仕事を頑張ったご褒美に一人で高級ラグジョアリーホテルの泡風呂を楽しんでたら、いきなり異世界騎士が落ちてきてあれこれ言い訳しつつ泡に隠れた体をジロジロ見てくる話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる