ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ～皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます！～

７１～８０話

７１b、メイド長はご主人様の嗜好をわかっていない２

マヤ様は幼いながらもしっかりとして、不思議な魅力をお持ちでいらっしゃいました。

屋敷で不自由なくお過ごしかと思えば、部屋を飛び出して使用人の仕事を手伝おうとなさったり。
ガリュース様のご寵愛を一身に受けながらも驕ることなく、給仕する私相手にさえ恐縮したようにお礼をおっしゃってくださいます。

ただの一度たりともガリュース様を恐れる素振りはなく、その並々ならぬご寵愛ぶりもすべて好意的に受け止められているようでした。

何より一番の変化は、ガリュース様の纏う空気がやわらかくなられた事でしょう。

マヤ様がいらしてからというものガリュース様を蝕み続けた虚無感は鳴りを潜め、表情にこそお出にならないものの、毎日それはもう楽しそうにマヤ様のお世話をされていらっしゃいます。
屋敷内を走って部屋へと急がれるお姿も、ガリュース様のお心を思えば喜ばしく、毎夜見慣れた光景となりました。

小さく愛らしいマヤ様のお姿に屋敷全体の雰囲気も明るくなり、以前の物寂しい雰囲気も霧散してゆきます。
屋敷に仕える他の者達も、そんなマヤ様の訪れを心から歓迎しているようでした。