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61~70話
68e、クリスマス番外編 12月25日
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「こんなに素晴らしいプレゼントを貰ったんだ。俺からも何か、見合うものを贈りたい。何がいい? ……そうだな、別荘でも買うか?」
ブンブンと千切れんばかりに首を振る。
別荘の、どこがどうクッキーと見合っているというのだろう!?
「ガル様からは、もういっぱい贈り物を貰ってるからいいんです!」
「だが、こんなに素晴らしいものを……」
ガルは尚も何か贈りたいと食い下がる。
しかも候補に挙がるのは別荘や宝石やドレスなど不釣り合いなものばかり。
断る私と諦めないガルとの埒の明かないやりとりに、とうとう私は実力行使に出た。
ソファに置かれた臙脂のリボンをむんずと掴むと、腕を伸ばしてぐっとガルの頭を抱え込む。
ガルがされるがまま抵抗しないのをいいことに、短い髪をなんとか束ねると、リボンでちょこんと蝶々結びを結った。
「これ! 私のプレゼントには、ガル様貰います!」
広い胸にぎゅうと抱きつく。
「マヤ……」
ガルの腕が力強く抱きしめ返してくれる。
「俺でよければ、いくらでも」
私が自分の発言の失敗に気付いて青ざめるのは、もう少し夜が更けてからのお話―――。
ブンブンと千切れんばかりに首を振る。
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