ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ~皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます!~

南田 此仁

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51~60話

57e、ご主人様は私の歳をわかっていなかった

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仕事を片付け軽いため息と共にペンを置くと、腕の中で眠るマヤを見やる。
ずっと抱かれていて暑かったのかほんのりと頬を上気させ、すやすやと気持ちよさそうに寝息を立てている。

起こしてしまわないようにそっと抱きかかえると、ウィルドに短く別れを告げて執務室を出た。

まだ薄っすらと明るさを残す窓の外を眺めながら、長い廊下を進む。

「ふぁぁ……んん? ガルさま……?」

「ああ、起こしてしまったか」

「あ……すみません。私、寝ちゃってましたか……」

寝起きのマヤに先刻の怒りが見えないことに、小さく胸を撫で下ろす。

「気にするな。気持ちよさそうに眠るマヤを抱えていて、俺の仕事は捗った」

「捗ったんですか……?」

「それはもう。だからほら、もう屋敷へ帰れる」

廊下に面した窓の外を眺めたマヤが、ハッと顔を上げた。

「あ! 私、ウィルド様にさよならのご挨拶してないです」

「気にするな。あいつも細かいことは気にしないたちだ」


そうして俺は絞首台へと歩を進めた。
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