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51~60話
55d、ご主人様は自制の限界をわかっていなかった ※
しおりを挟む初めて目にするマヤの滑らかな首筋を指先で味わうと、肩から腕を伝いおり、行き着いたマヤの左手を湯からすくい上げた。
白く細い薬指に、心に繋がるとされるその指に、俺の瞳と同じ色をした赤い石が輝く。
「俺のものだ……」
声に出した自覚もなく幸福に酔いしれる。
もうマヤが金を貯めて自身を買い取ることもできなければ、結婚だなんだと他の男に取られる心配もない。
俺の、俺だけの、大切な―――
「はい!」
俺の呟きに答えるように、唐突にマヤが俺を振り返った。
「全部ガル様のもので……」
ほんのりと上気した頬に張り付く濡れた髪、嬉しそうに細められた瞳、揺れる水面から透ける薄桃色の先端に、掴んだままの左手に輝く指輪。
「……ん?」
「!」
まずい!
ザバァッ
後ろからマヤの両脇を支え持って勢いよく立ち上がる。
「少々湯あたりしたようだ。もう上がろう」
「え! 大丈夫ですか?!」
心配したマヤが振り返ろうとするのを阻むように、支え持つ腕をピンと伸ばしてマヤを遠ざける。
「ああ……いや、少し水を浴びてから行く。先に自分で身体を拭いていられるか?」
「はい」
脇を支え腕を伸ばしたままぶらんぶらんとマヤを運び、浴室から出すとすぐに戸を閉めて引き返した。
「先が思いやられるな……」
浴室の壁に凭れて落とした視線の先では、欲望がはっきりと鎌首をもたげていた。
白く細い薬指に、心に繋がるとされるその指に、俺の瞳と同じ色をした赤い石が輝く。
「俺のものだ……」
声に出した自覚もなく幸福に酔いしれる。
もうマヤが金を貯めて自身を買い取ることもできなければ、結婚だなんだと他の男に取られる心配もない。
俺の、俺だけの、大切な―――
「はい!」
俺の呟きに答えるように、唐突にマヤが俺を振り返った。
「全部ガル様のもので……」
ほんのりと上気した頬に張り付く濡れた髪、嬉しそうに細められた瞳、揺れる水面から透ける薄桃色の先端に、掴んだままの左手に輝く指輪。
「……ん?」
「!」
まずい!
ザバァッ
後ろからマヤの両脇を支え持って勢いよく立ち上がる。
「少々湯あたりしたようだ。もう上がろう」
「え! 大丈夫ですか?!」
心配したマヤが振り返ろうとするのを阻むように、支え持つ腕をピンと伸ばしてマヤを遠ざける。
「ああ……いや、少し水を浴びてから行く。先に自分で身体を拭いていられるか?」
「はい」
脇を支え腕を伸ばしたままぶらんぶらんとマヤを運び、浴室から出すとすぐに戸を閉めて引き返した。
「先が思いやられるな……」
浴室の壁に凭れて落とした視線の先では、欲望がはっきりと鎌首をもたげていた。
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