ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ～皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます！～

５１～６０話

５３c、ご主人様は私の願いをわかっていなかった

意味合いや程度に違いこそあれど、マヤも俺と同じように、二人で共にいたいと思ってくれるのか。
側にいたいと、願ってくれるのか。

ならばどうするべきか。
マヤが共にいたいと言ってくれるのなら、その気持ちが本当だとすれば、これはマヤを俺のものにできるチャンスだ。
手放しに喜ぶよりも先に、することがある。

そう。
そうだ。
そのためにはまず……

「ガル様……」

「ああ、マヤ。辛い話をさせてすまなかった」

未だ不安気に瞳を揺らすマヤを安心させようと、頬にそっと口付ける。

親も家もないなどと、そんなことを言わせるつもりではなかったのだ。

ああ、でも親も亡いのだとすれば、親の亡い者同士、当人間かんの取り決めだけで事が運べるはずだ。

そうだ。
それならば早急に用意しなくてはいけないものがある。
マヤの気が変わる前に、一刻も早く。

「明日は帰りが遅くなる。先に夕食を用意するよう伝えておこう」

「…………はい」

マヤの傷ついたような表情にも気付かず、俺は頭の中でせっせと明日の予定を組み立てていた。