ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ~皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます!~

南田 此仁

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51~60話

53b、ご主人様は私の願いをわかっていなかった

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「マヤは、故郷くにに帰りたいと思うか?」

マヤが解放されたいと願う理由が帰郷だとすれば。
解放してやることはできなくとも、故郷につれて行ってやることくらいなら転移でいつでも叶えられる。

「やはり、家族が待っていたりするのだろうか……」

家族と共に暮らしたいのなら、家族ごとこの屋敷に呼んでもいい。

「……私に、家族は……いません」

マヤは静かな口調で、しかしキッパリと言い放った。

「帰る場所もないです。私は……」

祈るように服の胸元を握りしめる。

この幼さで家族も、帰るあてさえなくとも、それでもにはいたくないと言うのか。

「ガル様の側に、いたい……」

…………

「俺の元に?」

驚きに間の抜けた声が出る。

何かの聞き間違いだろうか。
マヤは今なんと言った?

信じられないものを見るような気持ちでマヤを見やれば、真っ直ぐこちらを見つめたマヤは、俺の言に答えるようにしっかりと頷いた。

「だが……」

つい今しがた『愛玩奴隷を辞めたい』と、そんな話をしていたところではないのか?

「……いや。本当に俺と共にいたいと、そう思ってくれるのか?」

余計な話を蒸し返してマヤの気が変わっては困る。
今はマヤが俺と共にいたいと言った、その事実の方が重要だ。

「はい。……その、ご迷惑じゃ、なければ……」

おずおずと向けられるマヤの真剣な眼差しが、これは本気の言葉なのだと教えてくれる。

「そう、か……」
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