ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ~皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます!~

南田 此仁

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51~60話

52c、ご主人様は許可の真意をわかっていなかった

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「マヤ……」

マヤは今、なんと言った?
俺からの口付けを……嫌ではない、と……?

頭で理解するよりも早く、逃すまいとする本能がマヤの頬を捉えて固定する。

「それは、本当か……?」

俺は、マヤに触れてもいいのか?
口付けても、傷つきはしないというのか?

真っ直ぐに俺の瞳を見ながら、マヤがコクリと首肯した。



たまらず額に口付ける。そうっと、傷つけてしまわぬように。
マヤはこちらへ身をゆだねるように全身から力を抜くと、静かに瞳を閉じた。

強張りも拒絶も見えないマヤの様子に、瞼へ、頬へ、軽く触れる程度の口付けを繰り返す。
微笑んだ拍子に俺の唇が口端を掠めても尚、嫌がる素振りはない。

どこまで触れていい? どこまで許される?
触れたい。もっと、もっと。

しばしの逡巡後、マヤの桃色の唇に、そっと口付けを落とした。

ピクリと一瞬反応したマヤは、しかしまたふっと身体の力を抜く。
これも、受け入れてくれるのか?

些細な変化も見逃さないよう、きゅっと目を瞑るマヤを見つめながら、ふっくらとやわらかな唇をむ。

ああ、マヤ。マヤ。
存在だけですら愛しくてたまらないというのに、その上こんなにも俺を受け入れてくれるのか。

唇のあわいを舐め辿り、息継ぎのため開かれた隙間に、ぬるりと舌を差し込んだ。
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