ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ～皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます！～

５１～６０話

５２a、ご主人様は許可の真意をわかっていなかった

一直線に駆けつけると、その勢いのままきつくマヤを抱きしめた。

「マヤ！　ああ、マヤ、マヤ……！　よかった……っ！」

マヤだ。マヤがいる。
腕の中に、確かにマヤの温もりがある。
見たところ衣服の乱れも怪我をした様子もない。

「ガルさま……」

不安気に揺れる呟きに応えるように、抱きしめる手でマヤの背をさする。

「ガルさま……ガルさま……っ……ガル……さ……っ」

込み上げる感情のままひっくひっくと嗚咽を漏らしながら、マヤもぎゅうと俺にしがみついた。

「ガっ……さま……！　もうっ、会えないかと、思っ……」

「マヤ……怖い思いをさせてすまなかった」

マヤの涙に心臓が締めつけられる。

俺がマヤを一人にしてしまったがために、マヤには怖い思いをさせてしまった。
素直で芯の強いマヤが、こんな風に泣くのを見るのは初めてだ。

迷子のマヤを心配して声をかけてくれたのだろう、優しげな表情で成り行きを見守る老人に礼を言って、泣き続けるマヤを抱え屋敷へと帰った。