ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ~皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます!~

南田 此仁

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41~50話

50a、番外編 ご主人様はハロウィンをわかっていない

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■まえがき■

ハロウィン番外編です。
これを書いてた時期がハロウィンだったんです……_(┐「ε:)_

時系列は現在の二人。
ガル様視点。


————————————————


「あ……今日はハロウィンかぁ」

書き物机に向かって暦の勉強をしながら、マヤがぽつりと呟く。

「はろうぃん? なんだそれは」

俺に聞かれているとは思わなかったのだろう。マヤは一瞬ビクリと肩を跳ねさせ、そろりとこちらを振り向いた。

「あー……えっと、私のいた国での、お祭りみたいなものです」

「ほう、どんなことをするんだ?」

マヤを椅子からひょいと抱き上げ、ソファに腰を下ろす。

「私もあんまり詳しくは知らないんですけど……オバケの仮装をして、お菓子をもらうんです。『お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞー!』って言って」

「……ふむ。オバケの仮装とは、どんなものでもいいのか?」

「んー、一番有名だったのは、カボチャをくり抜いた被り物ですね」

「カボチャを?」

農作物を使うということは、収穫祭のようなものだろうか?

ローテーブルの上の呼び鈴を鳴らし、やってきたメイド長リーファに人の頭大のカボチャとナイフを持ってくるように告げる。
パントリーには常にあらゆる食材が貯蔵されているし、もし無ければ俺がパパッと転移して買ってくればいい。

ほどなくして、リーファが俺の頭ほどもある大きなカボチャとナイフを運んできた。

「おー、おっきい……!」

マヤの故郷の祭りにも関わらず、マヤ自身も大きなカボチャを見慣れない様子なのはなぜだろうか。

好奇心に瞳を輝かせたマヤは、ぴょんと俺の膝から下りると大きなカボチャを持ち上げようと試みた。

「んっ……しょ」

やっとのことでテーブルから微かに浮くくらいに持ち上げると、ふらつきながらも「持てた!」と言わんばかりに嬉しそうにこちらに視線を送ってくる。

この可愛い生き物を今すぐにでもどうにかしてやりた……いやいや、今はマヤの故郷の祭りが優先だ。

マヤはあまり自分のことを話さないからな。
こうして少しでもマヤについて知ることのできる機会を、逃すわけにはいかないのだ。
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