ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ~皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます!~

南田 此仁

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41~50話

49e、ご主人様は泣きそうな理由をわかっていなかった

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マヤは……マヤはどこだ!?
ザァッと全身の血の気が引く。

何もかも見知らぬ街中で、右も左もわからず一人で泣いているのではないか!?
愛らしいマヤのことだ、人攫いやよからぬ輩に絡まれる危険もある。

すぐさまきびすを返し今来た道を辿る。
わき道を覗き、連なる店の中を覗き、小さなマヤが誤って落ちていやしないかと側溝の中まで覗き込む。

闇雲に歩き回って遠くへ行っていないといいが……。

こんな時、いくら膨大な魔力量があろうと何の役にも立ちはしない。
出来ることといえば転移と魔力量に物を言わせ何かを破壊することぐらいで、強すぎる力は探知や結界など繊細な魔力扱いには向かないのだ。

「マヤ! どこにいる!? マヤ!」

マヤは今頃どれほど心細い思いをしていることか。
俺がしっかりと手を繋いでいたなら。
一時たりとも側を離れなければ。

マヤ、マヤ。どうか無事でいてくれ。


ただマヤを見つけることだけを考え、懸命に視線を巡らせながら歩を進める。

「…………っ、……さ……、ガ……ま……っ!」

微かな叫び声を拾う。

マヤだ! マヤが俺を呼んでいる!

「マヤ! ……マヤっ!!」

声のする方を確認するより早く、足はもう駆け出していた。
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